『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想275  ゴルディオスの結び目

2020-01-01 22:11:32 | 小説(海外)

 

読書感想275  ゴルディオスの結び目

著者      ベルンハルト・シュリンク

生年      1944年

出身地     ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州

出版年     1988年

邦訳出版年   2003年

邦訳出版社   (株)小学館

訳者      岩淵達治&石丸英子 大田文子 大塚仁子 北川和代 北村春子 林啓子 増田久美子 望月節子 安彦恵子 

本書の受賞歴  ドイツの優れたミステリーに与えられるグラウザー賞受賞

☆☆感想☆☆

 2年前に恋人と一緒にドイツからフランスに移ってきたゲオルグ

は、仕事が見つからないまま、南フランスの田舎に素敵な一軒家を見

つけて住むことにした。しかし経済的な困窮が続き恋人はドイツに

戻ってしまった。今はマルセイユのモーラン翻訳事務所からの翻訳

で生計を立てている。その翻訳は新型攻撃ヘリコプター開発のヨー

ロッパ共同プロジェクトに参加しているメルモ社からのものだ。し

かしそれも不定期で安定した収入は得られない。そこに新しいブル

ナコフ翻訳事務所がゲオルグに接触してきた。ゲオルグに運が向い

てくる。ブルナコフの秘書のフランソワーズと恋人になり、モーラン

が事故死した翻訳事務所を引き継ぐことになる。ある日、フランソワ

ーズはゲオルグの下から離れていき、翻訳依頼もぱったり来なくな

る。ゲオルグはフランソワーズを捜しに、わずかな手がかりからニュ

ーヨークへ飛ぶ。舞台は南フランスの片田舎からニューヨークの大

都会に移る。

 ゲオルグがフランソワーズを探していく過程で、ゲオルクが巻き

込まれていた陰謀がわかっていく。陰謀は、題名の「ゴルディオスの

結び目」の通り複雑である。編集部の注では「ゴルディオスの結び

目」とはギリシャ伝説で複雑に入り組んだ綱の結び目のことだとい

う。デルフォイの神託ではこれを解いた者が全アジアを征するだろ

うと予言され、アレクサンダー大王がその結び目を剣で断ってしま

ったという。

 この物語ではゲオルグの恋が印象に残る。ニューヨ

ークの町の様子が生き生きと描写されていて行ってみたくなる。


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