①蝉しぐれ 面白さ(5点満点):☆☆☆☆
著者:藤沢周平
生年:1927年 出身地:山形県鶴岡市
出版年 出版社:1988年 (株)文藝春秋
コメント:鶴岡市にあった酒井家の家中を彷彿とさせる海坂藩が舞台。下級藩士の息子で15歳になる文四郎は午前中は私塾で経書を学び、午後からは道場で剣道をしている。2人の親友と隣家の幼馴染のお福が藩の大事に巻き込まれながら成長していく物語である。田園風景の自然描写が日本の昔の風景をよみがえらせて懐かしい。
②クリスマス・プレゼント 面白さ(5点満点):☆☆☆☆
著者:ジェフリー・ディーヴァー
生年:1950年 出身地:あめりか、シカゴ
出版年:2003年 邦訳出版年 邦訳出版社:2005年 (株)文藝春秋
訳者:池田真紀子 土屋晃 藤田佳澄 森嶋まり
コメント:16の短編を集録した短編集である。リンカーン・ライムが登場する「クリスマス・プレゼント」をはじめ。意表をつくミステリーばかり。特に印象に残ったのは、一番初めの「ジョナサンがいない」と「サービス料として」。
③ある男 面白さ(5点満点):☆☆☆☆
著者:平野啓一郎
生年:1975年 出身地:北九州市(愛知県生まれ)
出版年 出版社:2018年 (株)文藝春秋
コメント:里枝は離婚して九州の実家に戻ってきてから知り合った男と再婚した。ところが事故でその男が亡くなってしまい、生前全く交流のないかった男の実家に連絡すると、男が全く別人であるということが分かった。城戸という離婚時に世話になった弁護士に相談すると、城戸も興味をもって調べてくれることになった。なりすまし、戸籍の交換とか闇の世界が浮かび上がってくる。過去を期し去りたい衝動を持つ人は多いだろう。なりすましはアイデンティティーの喪失だし、在日韓国人・朝鮮人の通名の問題とも絡んできそうだ。