風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

ヒツジを抱いて眠る

2020年12月25日 | 「新エッセイ集2020」

 

ヒツジが眠っている
先を越されてしまったので
きみはなかなか眠れない

ヒツジがいっぴき
きみもひとり
ヒツジの夢を追いかける
やがて指のさきから温かくなり
いつもの枯草の道に迷いこむ

草の先がやわらかい
眠るヒツジの背中があたたかい
きみの国に朝がきて
オレンジ色の小鳥が来るまで
ヒツジは眠りつづける


  *

はるかな光りの国
ミエニアヴロ市トゥントゥリコルヴァ村8番地の
サンタクロースから届いたプレゼント。
可愛いヒツジの湯たんぽ、なまえは“ゆったん”という。
寒い夜は、愛する“ゆったん”を抱いて寝る。
暑がりのヒツジは
夢の中から逃げ出そうとするので
寒がりの羊飼いは
夢の中までヒツジを追いかける。

 
春夏秋冬のサンタ

 

 

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