百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

食糧自給率

2007-08-11 23:28:57 | 農業
農水省が10日に2006年度の食糧自給率を発表した。カロリーベースで前年度比1ポイントの低下の39%となり、2015年度の目標45%の達成はやはり難しくなっている。
そこで農水省は今後の自給率向上策として①コメ②油脂類③飼料作物④野菜・・・の重点4品目に集中することを確認したというが、そんなに簡単な論理で自給率が向上するとは思えない。
国として、国民の“食”をどう考えるか、守る気があるのか、どこかの国に委ねる気なのか、中途半端な政策は様々な面で支障をきたす。
コメの消費が増えてきた・・・からコメの増産??輸出も可能??ってそんなに簡単なものではない。集約化された農家は、今後どこまでしっかりしたコメ作りに励めるのか、大変不安だ。
世界的なバイオ燃料のブーム等を考慮すると油脂類の確保も大切なことはよくわかるが、その政策に関しても疑問が残る。
飼料作物や野菜はもっともっと国産が増やせるだろうという考え方のようだが、国産の飼料をどう将来活用するか、また野菜は業務用の拡大ではなく、一般家庭用として何故地産地消が定着しないのかという根本的な課題解決から始めるべきで、昨年12月に可決成立した『有機農業推進法』とどう関連付けるのか、国民は食糧の供給についてどこまで望んでいるのか、もう少し近い未来からしっかり見据えた食糧政策が必要になってきている。
ちなみに、農水省の『食料自給率早見ソフト』を用いて私達の日常食している“食”の自給率を計算してみると天丼なら68%、カレーライスは49%、なんとスパゲッティミートソースやラーメンはそれぞれ8%と4%になるという・・・。
なんとも侘しい・・・。

立秋!

2007-08-08 23:04:50 | 季節
今日は立秋。やっと夏らしくなってきたところなのに、立秋過ぎると朝夕やはり少し涼しくなってくるのが、百姓の立場からすると少し残念。
暑いと暑いでしんどいのですが、暑くないといけない時に暑くならないと、どうしてもどこかに負担がかかってしまうのがこの世の常。
そこが農業の良さであり、辛いところなのですが、暑い中、汗を拭きながら少し顔を上げた瞬間に、やさしい風が通り過ぎるとなんともいえない幸福感に満たされるもの。やはり百姓は、自然とともに生きている。

有機農業

2007-08-07 23:48:30 | 農業
私達は、有機農業を農業の単なるひとつの農法として捉えているのではありません。
農の営みは、自然の大きな循環の中にあり、いのちの尊さを感じ、地球全体のことを想う中で、未来を創造するものでなくてはならないと思っています。
戦後の近代農業は、化学肥料と農薬や過度に頼った結果、環境に負荷を与え、土壌を劣化し、生態系の破壊に及ぶまで様々な問題を生じさせ、一部では、もうこれ以上、化学肥料と農薬に依存した農業の継続は不可能に近い状況に陥ってしまっているとさえ言われています。
昨年12月、有機農業推進法が可決、成立され、有機農業への新しい取り組みが、わが国においてもいよいよ始まろうとしています。
私達は、食べ物の作り手と受け手がともに信頼しあい繋がっている世界をベースに「農薬、化学肥料を使わず自然の物質を循環させて作物や家畜を育てる農業」を共に育てていこうと思っています。
また、将来的な目標には『美しい琵琶湖の再生(自然との共生、生態系の維持)』を掲げ、山と川、そして平野とムラ、森と湖の繋がりを大切に、生物多様性を重視し、生命の豊かさを育む地域づくりを目指したいと考えています。
私達は以下の内容をここに宣言し、本会の設立趣意といたします。

『私達は、地域の歴史と文化を大切にし、常に切磋琢磨する中で質の追求を怠らない生産者を守り、消費者と生産者との顔と顔のみえる関係を大切にします。そして、広く食の学習をおこなう中で、豊かな社会づくりを目指します。』

トマトジャム その2

2007-08-06 22:29:33 | 料理
新しいトマトの調理方法にチャレンジ!!そうです、トマトジャムです(blog上で2007/08/01 調理に至るまでの経緯を説明)!!トマトを約2時間煮詰め、蜂蜜と若干のレモンの搾り汁で仕上げ、なかなか美味しい!子供達には匂いや食感にもう少し工夫が必要とは言われたが、我ながら満足、マンゾク!!来年のメニューに加えよう!!

新規就農

2007-08-05 21:16:11 | 農業
農のある暮らしにチャレンジしてみたいと思っても何から始めていいのかよくわからない。そういう時には
全国新規就農相談センター[http://www.nca.or.jp/Be-farmer]等で先ずは『情報』を入手。そこには各都道府県の就農状況や新着情報(例えば、「和牛を育ててみませんか?」とか。)が掲載されている。
情報の次は、やはり『知識』や『技術』をどのようにして習得するかが問題になってくる。
そのあたりの支援は、就農準備校[www.ryeda.or.jp/junbiko/index.html ]が担う事になるが、なかなか自らの勤め先の近くや自宅の近くにそれがあるかというとそうではなく、どういう形態で学ぶかについては各々がどういうレベルをどの時期までに習得したいか等を考え合わせて検討する必要がある。日本農業実践学園(茨城県内原)等に入学して栽培だけではなく加工や販売に至るまですべてを習得することから、ある農作物の栽培だけを短期間で学ぶことまでその範囲は広い。・・・都道府県の中に必ずひとつはある農業者大学校の中でもいろいろな学び方(短期間や短時間等)があるようだ。
ある程度自分のイメージが出来てきたら、就農イメージをしっかり持つ中で、土地や環境、村や文化に触れ、『土地』や『経営』について自らのこだわりと譲れないポイントを明確にし、周囲の方々の理解を得ることに努めるべきだ。
結構いろいろな場面で「土地」の話は出てくるが、それぞれの「土地」には周辺の環境があり、村の中で過ごすには協調性が最も尊ばれる。
単なる憧れではなく、自分のこだわりや自分の人生観を明確にする中で、決して一人では生きていけない、また、厳しい自然と対峙?!ではなく、どう共生を図るかを深く考え合わせた中で、もっとも自分らしい“農のある暮らし”を捜してみよう。

小川町の有機農業

2007-08-04 23:53:01 | 農業
今日、小川町の有機農業が『受験の神様(日本テレビ PM9:00~)』の中で紹介される。受験の視点からみて、有機農業とは・・・エコとは・・・発酵とは・・・バイオマスエネルギーとは・・・という通常の紹介ではなく、ドラマの一部で中学受験を目指す小学六年生達が合宿をしながら現代社会のテーマとなりつつある有機農業や循環型社会のあり方を学ぶというストーリーで、有機農業がこういう番組の中で少しずつ紹介されていくことに時代の変化を感じる。
有機農業者にとって小川町は、自然エネルギー(太陽電池、バイオガス)を利用し、化学肥料や農薬を使わない有機農法で農作物を生産していることはつとに有名。堆肥や液肥を利用した土づくりや少量多品種栽培は連作障害をなくし、使用済み植物油から取り出したBDFを用いたトラクターの排ガスは天ぷらの香りがする、バイオマスタンクで発酵させたメタンガスを使った調理場等様々な工夫がされ、それらが環境に配慮しているとして最近評価されている。
永年有機農業を実践してきた金子美登氏のもとに全国から集まってきた方々が、そのまま小川町で独立し、各々が各々の有機農業を展開している。私の認識は環境を重視する農業というよりも、その農業は、その土地その土地の特徴を活かし、環境負荷を出来るだけ小さくし、自然の力(土の力・微生物の力他)を活用した本来あるべき農業の姿の飽くなき追求だと思っている。

農のある暮らし

2007-08-03 23:35:22 | 農業
結構、農のある暮らしを求めている人達がいる。
人それぞれの考え方や生き方がそのまま反映できる“農”だからこそ、そういう暮らしが可能なのだということと、暮らしの中に一部だけ農を取り入れてみるという両者の考え方があり、人里はなれた場所で自給自足の生活を営むことや農を生業とする前者とベランダでプランターを使って万能ネギを栽培したり、休日を利用して貸農園で家庭菜園を楽しむ後者は、全く違うようで、ある部分は共通していて、どれを選択するかはあくまでも個人の自由であったり、出来る範囲内であったりして、いろいろな方々に話を聴くとそれぞれ個性的で大変面白い。
最近逢ったある方は、証券会社のアナリストをしておられ、個人で顧客を持ち、ほぼ自由にご自身の時間を使いこなしておられ、ある日は都会で大きな商談を、ある時はPCを自在に操り、そうかと思うとネクタイ姿で軽トラに乗って田んぼのあぜに赴く・・・理由を聞くと「ゴルフをしているより、田んぼにいる方が落ち着く」といわれる。そういう話をしんみり聴くと、こういう“農”のあり方もあるのだなぁと今更ながら実感する。
ある方は、大手企業でPCのプログラマーをされていて、MGまでされていたが、「PC業界の進化についていくことに意味を感じなくなった。」と辞められ、自分にとって最も適した“農”を求めたいとしんみりと話しておられた。人にとって“農”のある生活とは何なのか、現代社会のスピードが人の精神をどのように傷つけてしまっているのか、なかなかの難題である。
人それぞれにとっての“農”、それはおそらくその方々の“生き方”であり、“考え方”なのだろう。それは、ある意味であらたな『豊かさ』への挑戦なのかも知れない。


ニゴロブナ

2007-08-02 22:18:30 | 農業
先日NHKのプロフェッショナルで合鴨農法の古野さんが紹介されたが、抑草効果を期待した農法の中には、田んぼにニゴロブナを直接放流する農法もある。その農法は水温の変化をみながら、つがいのニゴロブナを水田に放流し、受精、産卵を促進。そのニゴロブナの幼魚達に水田の中のミジンコ達を食べさせ、通常ミジンコが食する微生物達を保護する。ミジンコは3週間あまりでほぼ食べつくされ、それ以降ニゴロブナはユスリカの幼虫を土壌を掘りながら食するようになる。1ヵ月で3㎝余りに成長した幼魚達は、それ以降田んぼを後にし、川を下り琵琶湖に出ても、あまり外来魚に食べられることはなくなるという。また、ニゴロブナ達が直接、抑草するということではないが、多くの微生物達の活動が水の濁りを生み出し、ユスリカの幼虫を探すフナたちの行動は更に微生物達の活動を促進する。
これが現在滋賀県が主体的に行っている『魚のゆりかご水田プロジェクト』の概要であるが、それは魚達の産卵場や稚魚を守り、琵琶湖にやさしいだけではなく、水田の抑草をも可能にする、これから楽しみな農法になる可能性を秘めている。
□参考資料『魚のゆりかご水田プロジェクト』・・・・・
○琵琶湖周辺の水田は、魚類(フナ、コイ、ナマズ等)にとって絶好の産卵繁殖場所です。
○琵琶湖と水田間の魚の移動経路としての機能が損なわれ、水田では魚類の姿が見られなくなってきました。
○水田の魚類繁殖機能を取り戻すことにより、湖辺域の田園環境を再生し、人と生き物が共生できる農業・農村の創造を目指します。
・・・・・滋賀県農村振興課・・・・・
 

巨匠映画監督相次いで他界!!

2007-08-01 21:56:54 | 季節
一昨日、昨日と世界的に有名な映画監督が亡くなった。
ブログ上ではあるが、お悔やみを申し上げたい。
一昨日亡くなったのは、イングマール・ベルイマン。彼は世界に誇るスウェーデン映画界の巨匠である。1945年に『危機』で映画監督としてデビュー。『インド行きの船』(1947年)がカンヌ国際映画祭に出品され、スウェーデン以外でもその存在をアピール。『夏の夜は三たび微笑む』(1956年)でカンヌ国際映画祭詩的ユーモア賞を受賞。それに続く『第七の封印』(1956年)、『野いちご』(1957年)、『処女の泉』(1959年)が各国の主要映画祭で受賞し、国際的に評価されるようになる。その後も<神の沈黙> 三部作と呼ばれる『鏡の中にある如く』『冬の光』『沈黙』を発表し、その名声は世界的に確立される。あのゴダールが「誰よりもオリジナリティがある映画作家」と絶賛し、あのウディ・アレンが最も影響を受けたという。そんな彼は、誰にも真似出来ない研ぎ澄まされた感性を持ち、神と悪魔、人間の心の奥底を深く凝視し続けた孤高の映画監督といえる。
昨日亡くなったのは、ミケランジェロ・アントニオーニ。イタリアが誇る世界的に有名な映画監督で、生存する“最後の巨匠”とも呼ばれていた。1960年代から70年代にかけて「赤い砂漠」「情事」、ロンドンを舞台にした「欲望」、米国ロケの「砂丘」など愛と存在の不条理をテーマに斬新な映像表現と音楽の使い方で、フェリーニやヴィステコンティと並んで海外でも高い評価を得え、ロシアの映画監督タルコフスキーが、いろいろな面でかなりの影響を受けているというのも有名な話。
こういう20世紀の巨匠達が次々に他界されると大変淋しくなる。一方、最近の日本映画界は、様々な作品が様々な形態で上映されるようになり、少し光が射してきたような気がする。
上映の方法にも選択肢が増えたが、実際、映画を製作するにはたくさんの費用が必要になる。そのために、ファンドをつくり資金回収をする方法やあの新藤兼人監督(もう95歳なのですぞッ!)のように自ら出演し話題性を持たせる手法等、決して一部の映画人だけが大きな負担感を持った映画づくりではなく、21世紀の映画づくりはいろいろな方々を巻き込んだ中で進めていくことで、映画人の独りよがりをなくし、映画本来の質を向上を図り、それが決して万人受けを狙うのではなく、決して商業ベースでないとするなら、大きな未来へ架け橋になり、日本文化の中で映画の地位は不滅のものとなることだろう。