詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

空(くう)の境地に

2018-11-07 21:17:38 | 千駄記



色づきし公孫樹見つむる自由さえ奪われいたる年月と知る


公孫樹は東京都の樹です。
都内の公孫樹も色づいてきましたが
ここ数年、黄葉の時期が少しずつ
遅くなっているような気がします。

黄金に色づいた公孫樹とは
なんと美しいのでしょう。

日を浴びる黄葉
街灯に浮かぶ黄葉
雨に濡れる黄葉

見上げるゆとりがなくたって
かつては見上げている時間は
あったような気がします。

苦しいとき
せつないとき
哀しいとき
怒りを鎮めるとき
無念を耐えるとき

そのときどきの、その年の公孫樹が
ぼくにはあった
ような気がするのです。

「無にはなれても空(くう)にはなれない」

ぼくは今年の公孫樹を
空の境地に近づいて仰ぎたい

そう思います。