詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

鳥の名を覚えるたびに

2018-11-19 22:08:44 | 鳥紀行



鳥の名を覚えるたびに抽斗のガラクタが増えるみたいで愉し

ぼくは物覚えが悪い
バカだから仕方ないのだが
歌人のくせに
花の名も 星の名も 鳥の名も
あまり知らない

葦原でカメラを並べていたぼくよりずいぶんと
年上らしいお姉さまが
そこそこ大きな鳥が飛んでくるたんびに
「これなに?」と訊いてくる

カメラを覗きながら
「トビですね」「普通のチュウヒですね」
「ああハイタカですね」
と猛禽類なら少し自信があるから教えていた

すると近くで小鳥のさえずりが聞こえる
いままでこれなに?と訊いてきたお姉さまが
「これジョウビタキよね」と同意を求めて来た
ぼくは耳を澄ますふりをして
「そうみたいですね」と完全に知ったかぶっていた

樹に止まる小鳥の姿を確認して
「やっぱりジョウビタキだわ」
とお姉さまが言いぼくはそれと知る 
色が地味だからメスだ
図鑑で見るとオスはとても綺麗

いまは覚えたつもりでいるけれども
フィールドに出たら
きっとわからないんだろうな



並並ならぬ

2018-11-19 12:28:46 | 千駄記


並並のいや並以下のモノだった並並ならぬと思いおりしに

これは並並ならぬ!とつい意気込んでしまいます。
そういう性分だから諦めるしかありません。

昔のフランスの偉い人は

相手が目の前からいなくなると
並並の恋は醒めて、並並ならぬ恋は募る。
風が吹くと
蠟燭の炎は消えてしまうが
山火事の炎は勢いを増し火が火を生む
ように。

と言ったとか言わないとか。

ぼくはもう恋とは無縁ですが
恋でなくともこれは言えてると思うわけです。

掲げたうたの肝は「モノ」です。
モノは「物」であり「者」でもあり「事」でもあります。

宝だったモノがガラクタに見えたり
信頼していたモノが嘘だったり

これらは自分の勝手な思い込みです。
あとになって怨みごとを言ったところで
まったくの無力であって
自分を責めるほかはないのです。