もう5回くらい続けて読んだ。
【文明は人をしあわせにするか】、というのがいつもこころのテーマにあるので、こういう本はすきなのである。
5回目にぼくのこころを掴んだのはこの一文。
「文明人のように相手の感情を忖度する習慣のないシシミンたちは、みんな畑中さんの方が若いと答えた。」
文化人類学者である畑中幸子に誘われて、当時すでに小説家として名を成していた有吉佐和子がニューギニアの未開の土地に出向いたのは1968年頃。
普段から若く見られる畑中さんは得意になって、現地人であるシシミンたちに「どっちが若く見える?」と訊ねるシーンだ。
相手の気持ちを考えてベストな回答を伝えることに慣れてるぼくは、「ほえ〜!」って思った。
つまり文明人は何か聞かれた時に、思ってることよりもまず、相手がよろこぶ返事を考えるくせがついてしまってるのだ。
「どっちが若く見える?」と聞かれ、若く見える方を指差す。そのシンプルで潔いことよ!
まあ、文明国でそれをやると、「空気読めない。」ってことになって、本人が生きづらくなるからね。
未開と文明。どちらがしあわせなのかはまだまだ分からない。