子供の頃はスポーツと言えば、プロ野球と大相撲が人気の筆頭だった。
その頃はラジオ放送が盛んで、放送を聞くのが楽しみの一つだった。
小学生の時に田舎の祭りの時に子供相撲が行なわれた。寺の境内の土俵に2度程登った記憶がある。
一度は確か「清恵波」の四股名で土俵に登らされた筈である。4年生の頃だと思う。勝ったのかどうか記憶がない。
TVが放映開始された昭和30年頃に、唯一のTV局だったNHKの大相撲の放映が始まった。
まだ我が家にTVは無く、高校生の時に学校帰りに父親の勤め先で良く観た記憶がある。
その当時は「柏鵬時代」の一角を担った、柏戸関が「富樫」の名前で幕内に登場した。
郷土の庄内地方から現れたヒーロに、山形人はTV放映に熱狂して絶大な応援の声を送った。
その後「大鵬」と「柏戸」は共に横綱に昇進。大相撲史上「柏鵬時代」と言はれる一時代を築いた。
ほぼ同じ世代のこの力士達が、小生の相撲好きを増進させて呉れた。
それから40年余が経過した。その間に幾多のヒーロが誕生して大相撲の人気を支えてきた。
可笑しいのは小生の贔屓力士達は、必ずしも時の横綱やヒーロでない事だ。
先頃までは「貴ノ浪」が好きだった。青森県三沢市出身の彼は、不器用を絵に描いた様な力士で力任せに相手を振り回して戦う様が面白かった。
そして現在は「高見盛」が贔屓である。他の取組みは観なくても彼の取組みの時はTVの前に座る。
あの大袈裟で自分を鼓舞する仕草は駄々っ子の様で楽しい。勝った時はTVCMの様に天井を見上げて引挙げる。
相撲は不器用だし、極めだしの様にもろ手を差して相手を押していく取組み方は「貴ノ浪」の様だ。
しかし気弱な面があるのか、ここ暫く七勝八敗と八勝七敗を繰返している。歯痒いばかりだが仕様がない。
しかし今場所は少し違う様だ。これまで十一連敗を喫していた同郷の「安美錦」を破ったのだ。
土俵下で何度も目をこすっている仕草が観えた。安堵の涙を流していたのではないかと思った。
しかしその後は二連敗して、今日ようやく勝ち七勝目を挙げた。
あと四日間何とか勝ち続けて、七勝八敗力士の汚名を払底させて欲しいものだ。