ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

最近読んだ本から

2009-06-20 11:19:23 | 読書
最近はよく時代劇小説を読んでいる。そのうちの1冊を紹介してみる。

山本兼一著「火天の城」

欧州の名だたる城郭をも凌駕したという、戦後時代の末期に織田信長が建築した「安土城」の誕生秘話である。主人公は勿論、天下布武を称えて戦国の世を駆け抜けた織田信長その人であり、熱田神宮の宮大工だった岡部又右衛門である。

京を望む屈強の要所である安土山の地に、己が権力の象徴たる遠大な城郭と城下町を建設を決意した信長。相次ぐ戦乱の合間をぬい、未だ我が国に登場していなかった五重の天守を建てることを命じた。それに挑む宮大工棟梁親子の一大プロジェクトの物語だ。

五重の天守建設の為に、木曾の山奥からの良材の檜の伐採、近隣の由緒ある寺院を解体させるなどしての木材の回収。あるいは巨大な石垣用の石の運搬等々の困難も山積する。さらに建設のために京大阪や近国から優秀な職人を寄集めたための混乱など、人と金と権力による、実に迫力ある建設現場の模様の描写で終始する。

最終的には七重御殿つくり天守の建設には、何万石もの用材、長さの違う釘が11万本、屋根瓦も何と11万枚、動員した棟梁や職人は優に百万人を超すだプロジェクトになる、あの信長でないと出来ないものだったと思う。これはまさに大戦争に匹敵するものだった様だ。

著者の「利休にたずねよ」に描写されている、信長の類い稀なる審美眼が描いた城郭の建設と、御所の清涼殿さえ本丸の隣に建設させたという、この名城も信長が本能寺で横死したあとはあっけない最後をむかえて廃墟となる。幻の名城と称えられたが、近年その設計図が発見され、その模型が復元されてもいる。

城の破壊には、信長の二男信雄の父に対する反感からくる暴挙だとするする説にも触れているが真相は不明である。戦国の世を駆け抜けた織田信長と安土城、その城つくりと天下統一は大阪城の豊臣秀吉に引き継がれて戦国時代は収束する。

          


コメント
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