ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

映画「必死剣鳥刺し」

2010-07-14 11:40:38 | 映画
 大好きな作家である藤沢周平原作の秘剣モノ「必死剣鳥刺し」の映画を拝見して来ました。舞台は例により海坂藩であり、鳥海山を背景にした雄大なスケールを誇る庄内映画村で撮影されたそうである。

 藩主に対して、藩政を揺るがすほどの発言権を持つ愛妾を、寡黙で知られる主人公が殺害する。死を覚悟した行動だった筈だが、何故か一年間の閉門だけの寛大な沙汰が下る。既に主人公の妻は亡くなったあとだったが、妻の姪が閉門中の主人公の世話をすることになる。

 そして閉門期間が過ぎ、3年目に入った頃、主人公は急な沙汰で、藩主近くの近習頭としての勤務を命じられることになる。これは藩主に敵対する従兄弟の「別家」に対する備えの意味があったのだ。

 終盤、懸念された如く「別家」が藩主の執務室まで刀を振りかざして乱入してくる。主人公がどうにか小刀だけで敵を切り伏せるが、彼自身も乱心者として、多くの家臣たちに攻め立てられる。藩主自身は決して、主人公を許してはいなかったのだ。 多勢に無勢で、やがて切り倒される主人公が、最後の最後に放った「必死剣鳥刺し」とは。

 生きることも死ぬことも許されなかった主人公。そして身の回りの世話に明け暮れた、妻の姪との密かな愛のかたち。時代に翻弄される主人公に涙を禁じえなかった。姪の役の池脇千鶴だがいささか華が感じられないのが残念である。

 主人公は豊川悦司が演じているが、寡黙で武士らしい風格を充分に感じさせ適役だと思う。終盤の殺陣の凄さは一見に値すると思った。本来の時代劇らしい出来栄えであり 「Aの下」 の評価 である。

  映画のHPから流用

         
 



 
コメント (4)
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