この話は、私が幼いころ、母が寝物語にしてくれた、
話の一つです。
梅がボツボツ咲き出したので・・・。
鶯は、春の鳥の中では、良く鳴きますが、
何故あんなに鳴くのかは、余り知られていないような、
気がしますので、書き留めておきたいと思います。
昔々、鶯の兄弟がいて、兄は意地悪のへそ曲がり、
弟はその反対に、気の良い正直者だったんだって。
ある時、兄が病気になったので、弟は一生懸命働き、
自分は粗食に耐え、兄には美味しい、栄養のあるものを、
食べさせていました。
その甲斐有って、兄は元気になってきました。
ところが、元気になってきた兄は、生来のへそ曲がり、
「働きもしない自分に、こんな美味い物を、
食わせているのだから、弟はもっと良い物を、
食っていたのだろう」と弟を責めるのです。
弟は、そんな事は無いと、一生懸命話しますが、
兄は聞く耳を持ちません。
弟は、たまりかねて「そんなに言うなら、
私のお腹の中を調べて下さい」
と言うと、兄は本当に弟の腹を切って、
調べるのです。
すると、お腹の中には、芋つるや、野菜くずの様な物しか、
入っていませんでした。
それを見た神様は、痛く悲しんで「今日からお前は、
千回鳴いて虫一匹食べなさい、但し、途中で人に
鳴き真似をされたり、姿を見られたら、
最初からやり直しなさい」
それ以来鶯は、人の目に触れないように、
一生懸命鳴くように、なったのだそうです。
でもこの話は変です。
この弟は、とても心優しく、兄思いです。
この兄が、一人悪かっただけなのに、鶯全体に罰を与えてしまいました。
どう考えても、兄一人に罰を与えれば済むことですね。
神と言えども万能ではない、ということなんでしょうね。