
ここに嫁いできましてまず驚いたのは、
こんなにも美しい花が、
ごく自然に、当たり前のように自生しているということでした。
この花との出会いは、感動と言うほかありません。
朝に、昼に、夕べに、と何度も観に行きました。
ある日の夕方、ふとそこに美しい女性がたたずんでいる、
そんな気がしました。
この花が、散ってしまうまでに
夕方に観に行くと、必ずそんな気がするのです。
それからというものは、どの花にも必ず「精が宿っている」と信じるようになりました。
そして、野山に咲く花にも、庭で育てている花にも
「かわいいね、きれいに咲いてね」となるべく声をかけるようにしています。


大切に見守っているうちに、だんだんとその数が少なくなり、
それが盗掘によるものと解った時は、
本当にがっかりしました。
十年程前、「ササユリ保存会」を立ち上げました。
盗掘は相変わらずですが、
皆さんの力で、徐々に又増えつつあります。
深山に有って蝶や、蜂の目に留まって子孫を残すように
より美しく咲くことに一生懸命だったササユリは、
その美しさゆえに 人間の被害に遭ってしまう………。
皮肉なものですね。
とても育たないと、思うのですが………。
でも、その会のお陰で、いろんな方達と出会い、
花の交換をしたり、育て方を教えて頂いたり、と大勢のお友達が出来ました。
まさに、「ササユリに感謝」です。