10月の誕生色は野に咲く紫苑(しおん)の明るい紫。秋の野を代表する花です。「しおん」という美しい呼び名は漢名をそのまま音読みしたもので、台風に倒れてもいち早く立ち直る花としても知られています。
昔、親を亡くした兄弟がいて、兄の方は忘れ草である萱草(かんぞう)を、弟の方は思い草と言われる紫苑を、そのお墓に植えました。兄は親のことを忘れてしまいましたが、弟の方はいつまでも覚えていたというのです。
この話しに鬼も感動したので、紫苑は「鬼の醜草(しこくさ)」と呼ばれるようになったとか・・・。ちょっとひどい名前のようですが、「醜(しこ)」とは強いという意味なんです。
か弱そうに見えますが、どんなに強い風が吹き荒れても、心には決して忘れない思いを秘め、倒れてもすぐに起きあがる・・・。
風の強い日は、野でその風に耐えているであろう紫苑の花のことを想います。