( 「なら泉勇齋」 奈良市)
■2012/4/21(土) 晴時々曇
好天で始まった朝も昼からは雲が覆ってきた。予報では、夜から雨だと言っていたが果たしてどうか・・・
半日以上を用事があって橿原神宮近隣で費やし、時計を見ると既に17:30。気が付けば近鉄橿原神宮駅からそのまま家に向かう阿部野橋行では無く、午後6時前の京都行 急行電車に乗っていた。そして なんとなく奈良に着いてしまった。というのが、気持ちの表現としては近いだろうか。
近鉄奈良駅に着いて地上に上がった時には、辺りは暮れかけていて「ひがし向き商店街」から「もちいどの通り」を抜け、「酒蔵ささや」から『なら泉勇齋』と名が変わって初の訪問となった。
時刻は、18:30 店に入ると熟年のご夫婦が、割と長い間、日本酒を利(き)いてらしたみたいで、ご主人は、8杯目と言われていた。 そして奥さんの前に置かれていた瓶は、「篠峯・八反」であることに気が付いた。
入ってきてそう時間が経たない中、失礼を顧みず私が「そのお酒いけるでしょう!? 」と声をかけた。 奥さんは、両手でグラスを包み込むように携えて「 ええ、このお酒とっても美味しいわ」と応えてくれた。 「関西では珍しい、広島の酒米・八反を使った甘みを感じる酒で、私も大好きな酒のひとつなんです。」と付け加えた。
店に入るなりいきなりこんな入り方するもんだから、店の人に 「こいつ何者?」と思われてはいけないと思い、即座にカウンターの中のお兄さんとの会話に切り替えた。 「お兄さん、お名前は?」 「山中です。」 「ということは、父子で?」 「そうなんです。息子なんですよ。畑違いの仕事をやってましたから、只今日本酒勉強中なんですよ」と話しがすすんだ。
「だったら 時間もあまりないし、今夜は200円の値付けの中から、私おすすめの酒を頼んでみるよ」と注文した。「なら泉勇齋」となって初の利き酒
① 最初に選んだのは、「鷹長の純米吟醸」を「大和ポーク」をアテに頂いた。
(鷹長 純米吟醸)
② 二番目は、中谷酒造の萬穣・奈良吟 「奈良県産山田錦100%の純米吟醸酒」 萬穣は、暑くなってくるとキリッと冷やして飲むと美味しい。 私にとっては、個人的に夏酒にしている銘柄のひとつだ。
( 萬穣 奈良吟)
③ 今夜は後もあるし三番目をラストに。 選んだのは、やはり「つげのひむろ」菩提元 この酒には、なぜか魅かれる。いつも美味しいと思っているのは、自分だけ? と思って「ささや」の時にもまわりの人に飲んでもらったら やはり「美味しい」と返ってきた。 倉本酒造という名を刻んだ酒でもある。 ずりをアテに頂いた。 思った通り、なかなかいける~
(つげのひむろ 菩提元)
後半、客が私一人となった店内で、店主とお話しすることができた。 役所時代には、菩提元づくりのプロジェクトチームのリーダーをされていたとのことで、退職後も引き続き「奈良の酒」のPRに尽力したいとおっしゃっていた。そのあたりは、このリーズナブルな値付けからも伝わってきた。
と同時に私が提案したひとつをお伝えした。節分の恵方巻きの際、お酒の神様をまっつている三輪神社で、奈良県の蔵元が集まって、是非恵方呑みイベントを実施したらどうか というもの。
そんなニュースが全国に流れたら 「なぜ奈良県?が、日本酒のイベントなの?」 そういう疑問符を一人でも多くの人に持たれたらチャンスだと思いますよ と。 「なぜならば、奈良は清酒発祥の地なのだから」といち日本酒ファンとして声高に言ってみたいですよ。
いきなり店に入ってきて、私がこんな話しをしたので、父子ともども ちょっとあっ気にとられていたみたいだけど、これも奈良の酒を愛するがゆえということでお許しいただきたい。
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最後に 勉強の一環として 県内のほとんどの蔵見学をさせてもらったという息子殿に尋ねた。 「その蔵見学の中で特に印象に残った蔵はあった?」と聞くと、即座に返って来た。
「五神の五條酒造さんですね。 80歳になられる当主さんから、2時間みっちりと色々と教えて頂き、感動しました。そして、梅乃宿さん、なかなかてきぱきと積極的な常務さんでした。」という興味深い回答コメントを付け加えておこう。
(寅)