( 博多千年門 )
つづき (第4話)
「う ー ん ・・・」と唸った後、斜め上に視線を向け しばし無言になった。
やがて視線をゆっくりと彼女に下ろし口を開いた 「感想言わせてもらっていいかな」
「えぇ、是非お願いします」
「はっきり言って、嬉しくないと思うな~ このマップ。
おすすめのラーメン屋が中洲の『一蘭』って一番に目に飛び込んでくるけど
こんなの市販のガイドブックに載ってる店だし、一蘭なんて東京にも大阪にも
あるんだよ。 そのほかの店もガイドブックの焼き直し、グルメ目的で博多に
足を運んだ食通は、たぶん 喜ばないんじやないかな」
「それよりも 地図に書かれているすぐ近くのお寺 ここ(承天寺を指で押さえた)」
「しょうてんじって読むんですか?」
「(首を横に振り)んーん 違うな。ここにうどん発祥の碑があることを知ってる? 」
「えっ!! 博多ってうどん発祥の地なんですか!?」
「だめだよ 君がそんなに驚いてちゃ 福岡は、あのタモリが言うとおり
ラーメン屋よりうどん屋の多い うどん文化圏ってわかってないな
ちょっとしたグルメ通にすぐに見透かされるよ」
「それに東は貝塚あたりから西は赤坂あたりの広いエリアのこの地図だけど
もっと足元に目を向けた方がいいと思うけどな・・・」
「それから・・・このお寺 (聖福寺を指で押さえた)」
「せいふくじ? ですかね 」 「んーん それも違ってる」
「菊のご紋のこのお寺のおかげで、この一帯を空襲から救ってくれたと
地元の人は口々に言ってること知ってる?」
「いぇ、知りませんでした」 「まずは、この呉服町・御供所町の通に
なることが大事じゃないかと思うよ。 もしかして、Kさん
福岡の人じゃないだろ?」
「実は、周南市出身なんです」「以前の徳山市だよね」「なんで知ってるんです?」
「そんなの新幹線で通るし ・・・ とにかくこのグルメマップ、他県の私が
言うのも何だけど まずは、足元から固めていかないかい。ねっ! 」
「たくさんの貴重なご意見ありがとうございました。」
思いのほか長く受付にいただろうか。 そんな会話をしてホテルを出た。
夕暮れの博多・御供所町 日本酒目当てに「鎌田製作所」に向かった。
つづく・・・
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(寅)