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queen elisabeth music competition




毎年、ベルギー人は...少なくともわたしの周りのベルギー人は...この季節になるとそわそわする。
ユーロビジョン・ソング・コンテストとエリザベト王妃国際音楽コンクール (Koningin Elisabethwedstrijd / Concours musical international Reine-Elisabeth-de-Belgique) が開催されるからだ。

ユーロビジョンの方はブラック・ジョークのネタにされるだけだが、ベルギーのブラッセルで開催される世界で最も権威ある3大コンクールのひとつエリザベト・コンクールの方は、市井の人々も中継をTV前で正座せんばかりの勢いで鑑賞し、大真面目に語り合って楽しむ。

語り合うと言っても高度な話ができるわけではないから、ようはあのコンチェルトが一番好きだとか、華がある演奏家は観客にアピールして得だとかいう話になり、でもそういう話を聞いているだけでも人々の関心の高さが伺えておもしろい。また、技術的芸術的なネタをそれぞれが新聞やラジオなどで仕入れて来ているので、そういう受け売りをああだこうだと料理し直すのも楽しいのである。さらに専門家が座に加わると、別の視座を手に入れたような気になり、展望が開け、爽快で興味深い。


今年のコンクールはピアノで、そのファイナル開催が娘のハーフ・ターム(一週間の学校休暇)に合うのに目を付けた夫がチケットを早々に購入していたものの、翌週から学年末試験が始まるということは忘れていたそうで、わたしは行かないつもりにしていた...

しかしブラッセルの友達とごはんに行けるという誘惑と、また娘のピアノの恩師がメジャーなメディアでコメンテーターをするというので、一緒に食事をしながら普段は聞けないような話を聞けるという下心もあり、結局1泊の強行でブラッセルまで往復。

結果、行きは特にユーロトンネルの遅れの影響が3時間も出、9時間近くかかってブラッセルに到着...それでも行ってほんとうによかった。運転手には気の毒だったが。
生で鑑賞できたことの喜びは大きく(1夜目の Zhang Zuo のヴィヴィッドな演奏!)、また娘の恩師に話が聞けたのは本当に有益で、あるいは会場でプログラムを貸してくれたりした隣のマダムの独善的な劇場論ですらもおもしろかった。友達と念願のレストランにランチに行けたのはもちろんのこと!!


今も昨夜の演奏を聴きながらこれを書いている。今夜、3夜目も楽しみ。そして明日も明後日も...しばらく楽しみがある。今夜は義理両親が観に行くので、またそれでわが家は盛り上がるだろう...

ヨーロッパは音楽に彩られたいい季節なのである。
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