マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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豊井町・小正月の苗代御供は小豆粥にカヤススキ立て

2019年07月04日 08時59分43秒 | 民俗あれこれ
Oさんが立てると話していた苗代の場が気になって仕方がない。

この日の朝は早起きして出かけた天理市豊井町。

初めて見た日は平成25年の1月19日

その日は同町に鎮座する豊日神社の年頭行事があった。

ケッチンの名で呼ぶ年頭行事の取材に訪れた際にたまたま発見した、というか、目に入った荒起こしの田。

土ばかりの田んぼに立ててあったカヤススキに、いったいこれは何っ、と驚いたものだった。

後日に訪れた際にお会いした田主のOさん。

小正月の朝は、小豆粥を炊いて食べる。

一口、二口、口にする小豆粥を食べる箸に使うのがカヤススキ。

食べてから、そのカヤススキを苗代にする場に立てると話していた。

小正月の日から4日も経過していた状態を撮っていたものの、やはり見たい15日の朝の状態。

翌年の平成26年1月15日に見た苗代の場にあったカヤススキ。

そこにあったお供え物は二つ。

1号枡に盛っていた2品。

小豆粥と手でちぎったような餅片である。

すぐ傍には白い布で包んだお鏡餅も供えていた。

小正月の朝に願う豊作。

その場が苗代。正月明けの11日にする鍬初め(くわはじめ)もまた苗代の場である。

地域によっては初耕式、御鍬立て(おくわたて)の名がある鍬初め(くわはじめ)である。

山添村の毛原や切幡に室生の下笠間に住む人から聞いていた鍬初め(くわはじめ)は農家にとっての仕事始め。

話してくれた人たちは、一様に苗代をする場であると・・。

豊井町のOさんからはその話はなかったが、また見たくなって朝8時過ぎにやってきた。

数年前にも当地に来たことがある。

朝6時半だった。

雨の降る日だったからなのか、いくら待ってもご当人と会えずに諦めて帰ったこともある。

代替わりがあったのか、それとも・・。

気になるほどにまた見たくなる豊井町の苗代場に・・あった一合枡の小豆粥とちぎり餅。

平成26年に拝見したときと同じあり方。



傍にある白い布包みのお鏡餅もまた同じであるが、粉を噴いたような状態。

霜が降りていたことを考えれば、もっと早い時間帯に供えたと思われる。

布包みの隙間から見えたお鏡餅に串柿も・・。

包みを広げるわけにはいかないから写真は撮れない。

その場に立ててあったカヤススキ。

丁度、朝日の光が穂の部分に当たって美しく輝きだした。

撮り位置を替えてまたシャッターを押す豊作願いのかたち。

数えたカヤススキの本数は13本。



数え間違いはないと思う。

以前、お聞きしていたカヤススキの本数は家族人数分。奇数が正しければ13人。

一対の偶数であれば・・。

平成26年のときの本数は16本だったから数え間違い。

偶数と推定したら7人であろう。

出勤、通学に忙しい家族は出かける前に慌ただしく小豆粥を食べているのだろうか。

(H30. 1.15 EOS40D撮影)