ゲルダ・ミューラー[作] ふしみ みさお[訳] あすなろ書房刊(1500円+税)
春、パンジャマンたちが引っ越してきた家には広い庭がありました。
けれど、長い間人が住んでいなかった家の庭は、荒れ果ててジャングルのよう。
春は庭づくりには一番いい季節!町一番のすてきな庭を作ろう~~
パパ、ママ、パンジャマンとカロリーヌは張り切ります。
小さな兄妹たちが、春夏秋冬、一年間の庭つくりの中で出合ったのたくさんの楽しみーー庭つくりは、土を耕し植物を育てるだけじゃない。小鳥やともだち、いろいろな遊びにもつながっていたのです。
俯瞰的なおおらかな画面からは、豊かな愛しい時間が伝わってきます。
読者も一緒になってワクワクしてきます。こんな絵本を待っていたのです。
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(ルピナスのおまけの話です)
カラマツの下の花畑
子どもの頃、近所に花好きのおばさんがいたので、春にはよく花畑の手伝いをした。子どもたちは、みな自分のちいさな花畑を持っていて、おばさんのお余りのダリアなどの球根をもらって育てたり、サクラソウやクリンソウ、苧環、山百合など、思い思いの花を植えていた。そこは、大きな落葉松の木の下の、あまり日当たりの良くない場所で、5~6センチも掘れば、軽石がごろごろでてきた。それでも、せっせと世話をしては、花が咲くとおばさんを呼びに行った。
「まあ まあ、きれいに咲きましたこと。ようございましたに」
ちょっと太目の、和服姿のおばさんは、子どもたちに案内されて、5-6箇所の花畑を見て回っては、ほめてくれた。
おばさんに子どもはいなかったが、毎日のように遊びに行って、石灯籠や錦鯉泳ぐ池のある日本庭園の中を、駆け回った。さぞ迷惑だったことだろう。が、いつもにこやかだった。
石楠花や、牡丹、ケマンソウを知ったのもこの庭から。
TOOYAMA さんのおばさん! 私の花好きのルーツは、あなたでしたね。