風呂場のふたに張り付いている赤い花びらは何?ときかれた。
風呂場の窓の外には、花鉢を置いてある。風に散った花が、風呂場の窓から入って、一枚だけフタに張り付いていたのだ。
ゼラニウムでしょう。と説明した。
全然風情は違うのだけれど、こんな場面があったなあ、グレアム・グリーンの英語の読本に。
~~新聞記者の男性が、サイゴンの部屋に帰ってくる。一緒に暮らした女性はおらず、タイプライタ―のキーの上に、枯れた黄色い花びらが無数に散りこぼれていた。その場面しか覚えていない。
女性の名はフオングと言ったっけ。みんなは続きが読みたくて、訳すよりも、すぐにグレアム・グリーンの本を買って読んだのだった。
小さな花びらが呼び起こした記憶。どうにも題名が思い出せないけれど・・・
さんざん調べてやっとわかった。
書名は「THE QUIET AMERICAN」
映画にもなっていた。