一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

『翼はいつまでも』川上健一(集英社文庫)

2006年08月03日 | 読書・音楽・美術・その他芸術
川上健一の『翼はいつまでも』をまだ読んでいない人がいたら、幸せである。 初めて読んだときの感動を、これから味わうことができる。 本書をすでに読んだことがある人がいたなら、幸せである。 二度、三度と読み返し、何度も「美しい夏」を体験することができる。 夏になると、私は『翼はいつまでも』を読みたくなる。 とくに今年は『ビトウィン』を読んだから、なお一層、欲求が募った。 初恋と友情。 少年と少女の永 . . . 本文を読む

トマス・H・クック『夏草の記憶』(文春文庫)

2006年08月01日 | 読書・音楽・美術・その他芸術
トマス・H・クックのミステリーが大好きだ。 作品はほとんど読んでいる。 中でも、『夏草の記憶』が大好きだ。 何度読んでも面白い。 ストーリーはわかっているのに、再読、再々読に堪えうる魅力がある。 ミステリーとしてだけではなく、文学としても読める。   名医として町の尊敬を集めるベンは、今まで暗い過去を胸に秘めてきた。 それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだった。 犠牲となった美しい . . . 本文を読む