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着物 湯通しについて1

2013年09月02日 | 着物(湯通し・湯のし・新反洗い)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

きものの仕立て前に行う一番大切な

湯通し(ゆどうし)についてご説明いたします。

湯通しとは読んで字の如しできものの糊と余分な染料等を生地から抜く為に

洗剤の入ったぬるま湯に通す事です。

辞書には、「織物を湯に浸して糊気(のりけ)を取って柔らかくし、

あとで縮むことのないようにすること。」と載っています。

ではなぜ湯通しが必要なんでしょうか?

これはきもにの製造工程に訳があります。

きものは大きくわけて染物織物に分けられます。

染物の代表的な物は友禅染です。

産地により京都は京友禅金沢は加賀友禅東京は江戸友禅があります。

 

江戸小紋(捺染)が発達普及しました。

染物は白生地に手描きや型染やで行っています。

色無地は染液で煮込み(浸染)染るか又は刷毛で引き染してその後蒸し工程を経て生地に

染料を定着後に水洗いをして仕上げます。

白生地に後で生地に染めるので後染め(あとぞめ)と言います。

友禅染は手描きや型染後に糊で防染し地染めた後に定着の為に蒸しの工程を行います。

その後、防染に使用した友禅糊を落とすために、昔は川で友禅流しを行い糊と余分な染料を落としました。

現在では、工場の敷地内にて人工の川を作り友禅流しを行っています。

 

湯通しが必要なのは織物です。

織物の代表的なのは茨木県・栃木県の結城紬、鹿児島の大島紬、石川県の牛首紬です。

他にも、各地で紬は、織られております。

紬は本来農家が絹の良い部分を年貢(税金)に差し出した、残ったくず繭を手で紡ぎ

機織りした物で、農家の普段着に着用した物の為、いくら高価の物でも正装には成りません。

糸の段階で染めた後に生地に織り上げるために先染め(さきぞめ)と言います。

先染めの糸を機織り(はたおり)する為に糸は強い力が掛かり切れるのを防ぐ為に

糸に糊を付け保護して糸切れを防ぎます。

この糊は製造段階では絶対に必要ですが、織り上がるた後は不要になります。

仕立ての前に必ず糊抜きの為に湯通しが必要になります。

仕立て上がった紬のきものの中には、たくさんの湯通しをしていないきものも多数あります。

これは小売店や仕立て屋さんや顧客の知識不足による事と考えられます。

また心無いお店や加工店は、湯通しと称して湯通しせずに、機械湯のしのみ行っている所もあります。

当店で長年洗張りや湯通しの仕事をしている為に良く分かります。

湯通しをしないと風合いは悪く、糊で生地は固く耳つり(耳が縮んだ物)しているものもあります。

湯どうしは出産後の赤ちゃんを産湯に入れると同じ事です。

湯通しをする事で絹本来の風合いとしなやかさを出し生地の地の目を通すことで

仕立て上がりにおいて生地の歪みを防ぎ、保管時のカビの防止にもなります。

その後しみ抜きで水処理後の輪じみ防止等きものの寿命も縮める事にもなります。

和服の悉皆(加工)業の方でも、湯通しをお願いしても湯のししかせずに

湯通しをしたと言っている業者も居ますので、気を付けて下さい。

 

下の写真は洗い張りの大島紬ですが、湯通しせずに仕立てをしている為に

風合いはカサカサ、キシキシ、バサバサ、カチカチでした。

湯通ししていない大島紬

 が抜け洗浄液が糊で濁っています

本来は湯通しで抜けるはずの糊が抜けておらず

洗い張りの工程により糊が抜け洗浄液が糊が抜け出てこんなに濁っています。

洗い張り後この大島紬は本来の風合いになりました、

風合いはツルツル、フワフワ、シットリです。

 

湯通しの工程を説明します。

 糊抜きの為に洗浄液にいれます。

生地の糊抜きと余分な染料を落とします。油断したいると、色泣きするので気が抜けません。

 ゆすぎ工程

ゆすぎの工程で生地がシワにならない様に点検しながら生地をたたみ上げます。

乾燥工程

引っ張って乾燥する事で小じわと耳つりが防げます。

特に大島紬や黄八丈は、小じわが発生し易く、発生すると直しづらいので要注意ですね。

大島紬の産地の奄美大島や結城紬の産地でも引っ張って乾燥しています。

 

乾燥後は、ロックミシンにより、機械に掛かる様につなぎます。

ロックミシン

筆者機械湯のし工程中

実際に湯のしの機械を掛け初めて、父の教えが良く分かりました、

山三三ツ屋染舗では、生地の地の目を曲げない為と

仕立て屋さんに少しでも良い仕立てをしていただく為と

お客様が着た時に地の目が曲がらないようにする為に

湯のしの機械を二度掛けしています。

 

地の目とは、生地の目です。

生地は縦糸と横糸から出来ています。

横糸が真っ直ぐになっていないと色々と不具合が生じます。

地の目が歪んだ紬の裾

この様に柄が歪んでしまったり

地の目が曲がった生地に紋入れをすると紋が歪んだり、紋の周りの生地に不自然なシワが生じます

この事は縫い紋の職人さんから聞いた事です。

また糊抜きが悪いと生地が固く仕立て屋さんが縫いづらかったり

着ていて、着心地も悪い事と生地が摩擦で切れやすいです

きちんと湯通しをして織り物本来の風合いを感じていただきたいと強く願っております。

現在は、染物もおすすめしています。

また湯通しをしていない紬等は、洗い張りをする事により糊を落とす事が出来ます。

仕立てる前の湯通しと湯のしはきっちり行って下さいね。

当店の加工代金(平成25年9月2日現在)

紬他反物(三丈物)長さ13.5m位まで 2.000円+消費税

紬他反物(四丈物)長さ18.5m位まで 3.000円+消費税

紬他反物(AS及び疋物)長さ24m位  4.000円+消費税

 

紬他反物(三丈物)長さ13.5m位まで 3.000円+消費税

紬他反物(AS及び疋物)長さ24m位  6.000円+消費税

 

地方発送の場合は加工代金10.000円+消費税以上の場合は送料は無料です。

それ以外は、送料が掛かります。

仕上がり加工商品はヤマト運輸にてお送りします。

*注意 ヤマト運輸にてコレクト便(着払い)現金のみとなります。

 

紬の湯通しお困りな方は、

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

営業時間 平日(月曜~土曜) 午前8時~午後6時

休日 日曜 祝日

(平成27年8月27日 一部書き換えいたしました。)

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