toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「日本一の女」 斉木香津

2018年04月30日 | 読書日記
町の商家から農村に嫁いだサダの物語。

気が強くて徹底的な合理主義なところが他人とは思えなかった。

ストーリは可もなく不可もなくといったところだけど、何が日本一なのか読み終わっても謎のまま。。




小学館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「科学のミカタ」 元村有希子

2018年04月29日 | 読書日記
小川洋子の「科学の扉をノックする」と同じ系統の本。
文系の著者が科学を説明するという内容だけど、この本の著者は文系とは言え毎日新聞社の科学環境部長ということで、小川洋子のように全くの素人が「わあ、すごい」と言うだけでなく、ジャーナリストの立場で正確に(ただし割と主観的に)伝えるというスタンス。

この手の本が大好きな私はここで取り上げられているテーマはすべて既知だったけど、詳細となるとはじめて聞くことも色々あった。

軽快でありながら決して軽薄にならない文章で難しいことを分かりやすく書いてあり非常に読み易い。
たまに群ようこや椎名誠チックな比喩や感想がサラッと入るところに著者のセンスの良さを感じる。
科学に興味ない人に、手に取って欲しい一冊。

第一章は科学にまつわるトピックの紹介といった内容で、第二章と第三章は現代の科学技術に対しての著者の主張。否定はしないけれど皮肉交じりに警告をする。
ちょっと堅苦しい部分もあるけれど納得したり考えさせられることが多い。

第四章と最終章は科学的なものをテーマにしたエッセイと言うった内容。

いくつか正確性に欠けると思われる記述が有るけれど、ジャーナリストとしてどうだろう。。
江戸時代の日本にも科学技術は確実に存在していたはずです。





毎日新聞出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「オリンピックに行こう!」 真保裕一

2018年04月28日 | 読書日記
卓球、競歩、ブラインドサッカーとなじみの薄い競技の話が3篇。

最初の半分以上が卓球の話で、競歩とブラインドサッカーはおまけのような短さ。
でも「競歩」が一番作者らしい内容だった。
とは言え、やっぱり真保裕一は冒険小説やミステリーの方が良いかも。

「卓球」は、技の名前とか細かなテクニックを全く知らないので、物語の大半を占める試合の場面がまるで理解できなかった。。




講談社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「レッドリスト」 安生正

2018年04月22日 | 読書日記
テーマとしては良くある人類滅亡のサスペンス。
ありふれたテーマだけにその原因とストーリ展開をどう持って行くかが作者の腕の見せ所。
この小説はストーリ展開はもちろん、各登場人物のキャラクタ設定やその役割分担も申し分ない。
細かなことまできちんと書かれていて丁寧な作品作りが感じられる。
ただ最初に場面が変わるたびに次々と新しい登場人物が現れるので、付いて行くのがちょっと辛いところが・・。

最初のきっかけから、次から次へと異常な出来事が起こり、なんだか分からなくなってきたところで真打登場と言った感じで、今までの人類滅亡物とはちょっと違うぞという波状攻撃型展開。
そんなに単純じゃないから一筋縄ではいかないよ、と言われた気分。
ただ、ちょっと不自然で強引なところも無いでもない。

中盤、風穴内での村上と武田の会話が、読者に説明するためとは言えあまりに不自然。
専門家同士がこんな初歩的な話する訳ないでしょ。。
それと村上のキャラが後半異常過ぎるところも。

製薬会社の野望と村上の野心をもっと中心に持って来た方が収まりが良かったように思う。

最後は続編の予告??






幻冬舎
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「姥捨て山戦争」 松本博逝

2018年04月20日 | 読書日記
キャッチコピーを読んで、日本の未来に起こっても不思議じゃない(けど絶対に起こりえない)筒井康隆あたりが書きそうな一種のアンチテーゼのような物語なのかと思っていたけれど・・・。

タイトルのテーマで物語が動き出すのは真ん中くらいから。
それまではひたすら主人公の告白だけが続く。
これが利己主義で軽薄で、とにかく読んでいて嫌悪感しかない代物。
なるほど・・と思う部分も一部あるけれど、読むのが苦痛でしかない。
西村賢太を読んでいるような気分だった。

中盤すぎ、革命が起こってようやく本来のテーマの物語が始まるけれど、ここまででもう主人公にすっかり嫌気がさしているから読みたくない指数がかなり高くなている。
でも、小学生の教科書みたいな構成になっていて物理的には読み易いので何とか読み進めていった。

後半は前半以上にかなりどぎつい内容で、それをオブラートで包むことも無くストレートに書いてあるけれど、前半のいやらしさですっかり慣れてることと、そもそもの設定がそうであることから、それほど嫌な気分になることも無く読めた。
と言うよりあまりにバカバカしすぎて現実味が無いからか。

最後は強烈なブラックだけど、想定内。
もうこの作家の作品は読むことは無いと思う。

最後に一言。ページの番号表示が文章とくっついていて非常に読みにくい。






ロックウィット出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「引き抜き屋2」 雫井秀介

2018年04月18日 | 読書日記
ヘッドハンターとして活躍を始めた小穂。
サブタイトルが「鹿子小穂の帰還」なので、最後はフォーンに戻って社長になるのかと思いきや・・・ちょっと予想外の展開でした。一ひねり効いて「そう来たか。。」と言った感じ。

木曽の源流に行ってフライフィッシングする場面は物語の中で需要なところだけど、フライ歴30年の私に言わせればリアリティが無さ過ぎるけど、全体を通して面白かったから目をつぶろう。。





PHP
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「14歳のバベル」 暖あやこ

2018年04月14日 | 読書日記
設定が非常にユニークで魅力的なうえ、伏線もちゃんと生きていて、終盤にはハラハラドキドキの展開も有り、ストーリも面白いのに、イマイチ物語の世界に入り込めずに読み終えた。

主人公の冬人が真相に近づいてゆく過程が中盤の重大事項なのに、様々なことが何の脈絡もなく突然分かってしまう。もちろん徐々にたどり着く事も有るけれど、重要なことはことごとくいきなり理解してしまうので読んでいて「?」だらけになってしまう。
また描写が稚拙で情景がさっぱり見えてこない。
素人が新人賞に応募して、設定のユニークさで大賞を受賞して本になりました・・・と言った感じで作品としての完成度が低すぎる。
設定の面白さが全く生かし切れていなくて残念な小説。
一流の作家が書いていてもおかしくないような設定だけに本当に惜しい。
たとえば宮部みゆきが同じ設定で書いたら10倍面白い作品になったと思う。

主人公の母親がかなり異常な性格に描かれているけれど、そこまでする必要はない。

8年前の出来事と言うのが重要な問題となっているけれど、「未曾有のテロ事件」と言うだけで何が起こったのか何も書かれていない。
物語の中で、インターネットや携帯電話があると都合が悪いからそういうものが何故ないのかという暗黙の説明だと思うけど中途半端で違和感だらけ。

また最後の場面は余計。

良いテーマなだけに色々残念。






新潮社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「たべもの九十九」 高山なおみ

2018年04月08日 | 読書日記
「あ」のアイスクリームから始まって五十音順に食べ物をタイトルにしたエッセイ集。

タイトルからどんどん話題がズレていくものも有ったりして著者が書きたいことを書きましたと言う感じの内容。
とは言えタイトル通り食べ物に関する内容がもっとも多くて、読んでいるとお腹が減ります。




平凡社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「彗星パンスペルミア」 チャンドラ・ウィックマシンゲ

2018年04月07日 | 読書日記
彗星パンスペルミア説の解説と啓蒙の書。
この本に寄れば、生命の誕生だけでなく進化も宇宙からの影響であるという。
言われてみれば宇宙に生命の種のようなものが沢山あって、それによって地球上で生命が誕生したのなら(パンスペルミア説)、誕生だけでなくその後も影響を受け続けるということは当たり前のこと。
その点は深く納得。

パンスペルミア説は元々知っていたけれど、彗星パンスペルミア説をはじめて唱えた著者によるこの本でその根拠となる考えや証拠を知ることができた。
ただ、個人的にはこれを読んだからと言って直ちにパンスペルミア説の信者になるほどは納得できる内容ではなかった。
なるほどと思う部分はもちろん多いけれど、ちょっと強引すぎる理論展開もかなりある。
状況証拠から推定してもおかしくない内容を確実な事柄のように扱い過ぎている。
また事実と著者の考えを区別なくすべて事実のように記述するのもどうかと思う。
パンスペルミア説を否定するような事柄に対しては徹底的に反論し、自説に対してはわずかな証拠をもって肯定するというのは科学者としてはどうかと思う。
それにしても様々な事象を自説のためにこれだけ都合よく解釈できるものだと感心。

翻訳のせいもあると思うけれど、とにかく文章が分かりにくく、何度も読み直してようやく理解できたという個所が多くて読みにくい。
もう少しこなれた日本語で書いて欲しかった。
それに「、(てん)」と「。(まる)」の区別がつかないことも読みにくくしてる。何でこんな分かりにくい書体にしたのか・・?
そのうえその「。(まる)」と区別できない「、(てん)」を多用しすぎているから余計読みにく。
余計なお世話かも知れないけれど、この本はパンスペルミア説を啓蒙するために多くの人に読んでもらうことが著者の望むところだろうだから、読み易さが重要なのでは?
最後に監修者と訳者の紹介が有るけれど、肝心の著者の紹介が無いので、著者が何者かイマイチわからない。

パスツールの「生命は生命からしか生まれない」を重要な根拠の一つとしてあげているけれど、著者のパンスペルミア説であっても宇宙のどこかで生命が誕生したわけだから、時間のスケールが違うとは言えそれが地球で生命が誕生しなかったことの絶対的な証拠にはならないんじゃないのかなぁ・・・。

それにしてもどこかで一度だけ誕生した生物で宇宙が満ちていて、彗星の中には酒が有るとは・・・・。
ただこの話はDNAに寄らない複製機能を持つ生物が地球外生命である証拠という話とは矛盾しますね。
著者には申し訳ないけれど、この本は虚実取り交ぜたSFとしてとらえるとすんなり読める。
ちなみに私自身は現在のところ、この説を肯定も否定もしていません。
著者がもっと真摯に事実とそこから導き出されたオリジナルの仮説をきちんと分けて説明していればパンスペルミア説の信者になってたかもしれないけど。。




恒星社厚生閣
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「引き抜き屋」 雫井秀介

2018年04月06日 | 読書日記
私は2度ヘッドハンティングされて転職してるけれど、この小説のような経営者ではなくエンジニア枠なので給料など全く違う世界の話だった。

雫井脩介ってミステリー作家だと思っていたのでこの小説は私の中ではらしくない感じだったけど、内容はなかなか面白い。

第一話は鹿子小穂がひょんなことからヘッドハンティングの会社に勤めるようになる話。
第二話は彼女が社長について困難な仕事をやり遂げる話。
第三話は彼女がヘッドハンターとして活躍する話だけど、これが一番いい。

続編が出ているけれど、そちらも読みたい。





PHP
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする