水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

連載小説 代役アンドロイド 第269回

2013年07月22日 00時00分00秒 | #小説

 代役アンドロイド  水本爽涼
    (第269回)
『私の方もOKなんだけどね。ただタイミングが問題なのよね。急に消えるのは保にとってメンタル面で、かなりショックだと思うわけ。心配かけるからね。そちらだって同じじゃない?』
『ええ…それはそうです。私も先生や里彩さんにショックを与えたくはないですし…』
「私達って人と違うからさ。警察へ捜索願なんか出せないじゃない」
『はい…』
『それとさ。一度、出会って、お互いに技術がOKか実地でやっておかないとね』
『訓練ですか?』
『そう。最初の第一実行段階ね。で、第二が、この前、三井さんが言ってた相応の暮らしていく準備でしょ?』
『沙耶さんは私以上に細部に至るまで考えておられるのですね』
『そりゃそうよ。失敗は許されないじゃない。だってさ、私達の死活問題でしょ?』
『はあ、それは言われるとおりです。どうでしょ。まず、第一段階のお互いの技術確認をするっいうのは?』
『簡単に言うけど、その実行にしたって、かなり難しいわよ。お互いが離れてるって問題じゃないのよ。私が走れば、三井さんのところまでは、すぐだからさ。問題は、お互いが拘束されずに単独で自由になれる時間よ。保に悟られないように実行するとなると、私の場合、部屋へ戻って起動停止した時から朝の起動開始までの間だけど。三井さんは?』
『私も同じようなものです』
 三井は事務的に淡々と電話で答えた。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする