代役アンドロイド 水本爽涼
(第275回)
二人? は互いに研鑽を積んだ技術を実際に試した。即ち、上腕部、脚部、胸部、などを約2時間に渡り交互に組立分解したのである。
『まあ、なんとか無事に終わりましたね』
『ええ…。まだ十分とはいえないけど、一応ってとこね』
『どうしましょう? 今夜は時間的にこれまでですが、もう一度、機会を作ってやられますか?』
『その方がいいわね。それに、新しく住む所とかさ、いろいろ準備する第二段階もそろそろ考えとかないと…。急には無理でしょ?』
『そうですね。では、住む所とか、いろいろ探っておきます。あっ、そうそう! 機器、機材、道具とかの購入費用は、すぐなんとかなりますから、安心なさって下さい』
『えっ!? どういうこと?』
『この前、競馬を試してみたのですが、100%予想が的中しました。ですから、僅(わず)かな金額さえあれば億単位の儲けは出来ます』
『それって、凄いじゃない!』
沙耶は、その手があったか…と思った。公営ギャンブルの競馬は、決して警察沙汰になるような社会悪ではなく、正当な資金の調達法なのである。
『そう思われますか?』
『私には浮かばなかったアイデアだわ。その件は三井さんにお任せするわね』
『畏(かしこ)まりました。では、再度の技能研修については、来週の木曜正午にお電話するということで…』
言い終えると三井は静かに瞼を閉ざしたが、それは瞬時で、ふたたび両眼をパチリ! と開けた。