不明な星雲からやって来たUFO群は、地球文明では考えられない高度な文明を築いていたのである。
異星人間の会話は、すべてがテレパシー である。地球上の生物のような音による意思の確認や伝達という低レベルな情報交換はしないのだ。当然、指令と城水の場合もそうで、辺りに音等は一切しなかった。しかも、指令の姿や眩(まばゆ)く輝く光は城水には見えたが人間の目には見えないのだ。だから、若芽(わかめ)巡査の目には、見えたとしてもただ閉ざされたマンホールの蓋が見えるだけだった。城水の前に浮かびながら漂っているマンホールの蓋は、指令とともに異次元空間にあった。しかし、若芽巡査の目にはクローン化したとはいえ異星人でない城水の姿は見えるから、城水は心せねばならなかった。
[それで、お呼びになった理由は?]
[最終分析の結果が出た。あとは私の決断のみとなった]
[残念だが、どうも地球人達には反省の色が見えない。たださの反面、我々の発想にはない素晴らしい一面も持ち合わせていることが分かった。その点を考慮に入れれば、地球の動・植物園化は憚(はばか)られる]
[はあ、それで…]
[私は地球人達に三年の猶予を与えることにした。すべてはそのとき決するということだ]
[で、私はどうしろと?]
[我々は一端、地球を離れる。以前言ったように、残るか否(いな)かはお前次第だ。むろん、接近中の者達もUターンして星団へ帰還する]
三年の猶予という指令のテレパシーに、城水は一応、ホッとした。城水はまるで自分が被告席に立たされた犯罪者で、裁判官から執行猶予の付いた判決を言い渡された気分がした。