[いつ地球を離陸されるんですか?]
[明日の夜だ。むろん、その様子は地球人には見聞き出来ないがな。さて…お前は、どうする? 我々とともに行くか、それともこのまま地球に残るか?]
[はい…。今の心境はこのまま残りたいと思います。家族を連れていくことは、無理なんでしょうね?]
[無理ではないが、お前と同様の措置をせねばならんぞ]
[と、いいますと?]
[今のお前のように我々の星に適応する措置だ]
[どうなるんです?]
[ははは…どうもならさ。地球での記憶が消去されるだけだ]
[それじゃ、私達は家族ではなくなります]
[安心せよ。その記憶は存在する]
城水は指令の言葉が理解できなかった。宇宙科学には地球科で到底、解決できない未知の分野が存在するように思えた。脳内数値は、その通りだ・・と城水独自の考えを肯定し、yes,文字を青く点滅させた。
[なるほど、私達は家族のまま、移住することになるんですね]
[そういうことだ。ただ、お前が今言った移住という感覚は我々が住む星の時空感覚とは違う。お前はすでにクローン化しているからすぐ馴染むだろうが、家族の者達が環境に順応するまで、しばらくかかるだろう…]
[空気とかは地球環境と同じなんですか?]
[その発想は地球科学の発想だな。我々の星は自由に環境を変化できるのだ]
指令は、さも当然のようにテレパシーで話した。