時間の空(あ)きが出来たから、ひとつ今日は食欲をそそるものでも作ってみよう…と小坂七郎は思った。冷蔵庫の中を調べるのがまず、料理の第一である。いわゆる、調理の第一歩だ。梅雨時でウインナが臭い始めていた。これは、調理崩れになる危険性を孕(はら)むと予見した小坂は、使用するのをやめ、それを湯がいた。食べられなくはないが危うい食材を捨てるのは、俗(ぞく)に言う『もったいない』だ。湯どうしすれば、これはもう医学で言うところの殺菌消毒に他ならず、目に見えない菌達は時代劇的にバッサリ! 斬られたことになる。死滅するのだ。料理はスムースに進行し、冷やし中華が完成した。だが、まだ調理は終わっていなかった。
「さてと…」
小坂はひと声、呟(つぶや)くと手を動かし始めた。料理のあと片づけである。まず、使った料理用具、食器を普通料理用洗剤で洗い、収納した。調理の一を終えた。俎板(まないた)を殺菌用の洗剤で洗い流した。調理の二を終えた。続いて、食器などを拭(ふ)いた布巾(ふきん)を漂白剤+洗濯洗剤+水の溶液につけ殺菌処理をした。調理の三を終えた。なんか、身体がジメジメしたのでシャワーでサッパリした。調理ではなかった。
THE END