応援して、その甲斐なく相手の選手やチームが敗れたときに出る涙がある。当の本人には関係ないのに流れる涙、これはもう訳が分からない。^^ 感情の昂(たかぶ)りの仕業(しわざ)としか思えない涙なのである。
とある競技場である。二人の観戦者が席に座り、放心したように項垂(うなだ)れながら話し合っている。
「静山選手、負けましたね、ぅぅぅ…」
「ぅぅぅ…勝てると思ってましたが…」
「ですよね、ぅぅぅ…」
二人ともタオルがすでに涙でビショビショに濡れ、それを絞って鼻水をまた泣いている。競技場を出ようと席を立った後ろの観戦者が声をかけた。
「もう、終わったんですから…。また次があるじゃありませんかっ! 今日のところは、彼は負けてやったんだ…と思って! 私がラーメンをご馳走しますから。ねっ!」
「はいっ!」「はいっ!」
涙でビショビショの二人は打って変わって笑顔になり、サッ!と席を立った。
応援の涙は、ラーメンで止まるのです。^^
完
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