信念のない人間ほど頼りないものはない。しかし、この世において、信念を貫こうとすると、次から次へと、障害や妨害が出てくるものだ。そして人は試される。自分が本当は弱い人間か。それとも強い人間か。批判の一つで意気消沈してしまうか。それとも反撃の機会をじっくりと待つか。「試み」とはよく言ったものだ。しかもこの世には、神仏のおわす実在界とは正反対の、価値観や誘惑が満ち満ちている。この世的な人々に囲まれるとた . . . 本文を読む
人の世に男と女が存在するということ。まことに不思議な感じがする。なぜ男は男で、なぜ女は女なのか。宗教や道徳は、永年にわたり、男と女の間に戒律をつくり、罪をつくり続けた。地獄の存在を信じない人間が増えて、教会の牧師の説教が、むなしく虚空(こくう)に響き渡る頃になっても、テレビや週刊誌が、男女のスキャンダルを追い続け、さも当然といわんばかりに、断罪する。エデンの園で、知恵の木の実を食べたのは、イヴでは . . . 本文を読む
気がつけば、背後から壁がせり出してきて、自分は前にしか進めない。ところが前方に向って歩みはじめると、前からもこちらに壁が押し戻して来る。人間は永遠に、過去の壁と、未来の壁との間にはさまれて、立ちすくんでいる自分を発見する。確かに、過去なくして現在の自分はありえない。過去の壁が押し出してくれるからこそ、現在の自分がある。しかし、なんと未来の見通しの悪いことか。目の前の壁にはばまれて、一歩先すら見えな . . . 本文を読む
自由であるとしても、人は一人だけで生きていくのはつらい。だから集まりをつくりたがる。人がたくさん集まると、ルールと秩序が必要となる。商品には、売り手と買い手がある。買い手は、ある時は消費者となり、ある時は、何かをつけ加えて、次の売り手となる。こうして経済が起きるが、物々交換や、お金の蓄積だけで、人間社会が成り立つわけではない。経済は、人間活動の努力の結晶ではあるが、人間活動の目的そのものではない。 . . . 本文を読む
(祝福することによって、自分もまた成功への道に入れる)前述(ぜんじゅつ)したように、「成功した人が次の人を引っ張り上げていくカルチャー」をつくっていったほうが、全体としては、豊かになるし、成功者も多くなります。したがって、日本特有の人間関係の問題については、次のように付け加えておきたいと思います。“カニの挟み下ろし”は、おそらく、日本的な平等社会の原点でしょうが、これからの . . . 本文を読む