フランスで30日に開幕したアングレーム国際漫画祭で、「旧日本軍が慰安婦を強制連行した事実はなかった」と訴える日本の市民団体「論破プロジェクト」(藤井実彦・実行委員長)のブースや展示物が、「政治的」として主催者側に撤去された。一方、「従軍慰安婦が強制連行された」とする韓国の漫画は展示されたまま。この事態について岸田文雄外相は、「友好親善、国際的理解を深める趣旨に沿わない動きがあることについて残念に思う」と不快感を示した。
漫画祭をめぐっては、昨年8月、韓国の家族女性省が主導で、慰安婦関連の漫画を出展すると発表。これを知った藤井氏らが同プロジェクトを結成。「慰安婦の強制連行はなかった」という事実を世界に広めるため、史実に基づいた漫画づくりに乗り出していた。この動きは、これまでに本欄や本誌でも報じてきた。
同プロジェクト関係者のFacebookによると、29日、漫画祭の出展準備中、同プロジェクトのメンバーが30分ほどブースを離れている間に、漫画祭のアジア部門のコーディネーターと名乗る男性が現れて展示物を撤去。一部始終を見ていた日本の記者の質問にも答えず、ブースを壊した。
何も無くなったブースに戻ってきたメンバーは、その場で記者会見を始めたが、再び男性が現れ、「ここで記者会見を開く許可などしていない!」と会見をも中止させた。同プロジェクト側が、漫画祭の広報担当者に記者会見の許可を取っていたと食い下がっても、男性は「俺が決まりだ!」と聞き入れなかったという。
この男性は「日本の極右団体が作った政治宣伝であり、祭典にはそぐわない」(31日付産経新聞)と話しているといい、その一方で、別の主催者は、韓国側を擁護し、「韓国の趙允旋女性家族相が『(戦時下の女性への暴力は)日韓間だけでなく普遍的な問題』と語ったことは間違っていない」と発言。韓国の漫画は、そのまま展示されている。
さらに、現地フランスのニュースサイト「Le nouvel Observateur」は30日、今回の問題について論じ、日本は1993年の河野談話で謝罪が行われている一方、安倍政権になってからは、慰安婦問題を反省する姿勢が見えないと批判している。
だが、韓国の漫画の展示は許可し、日本のものを撤去した主催者の態度は、明らかに不公平である。百歩譲って、撤去の理由が「政治的である」ならば、政府の紐付きの韓国漫画も同様に撤去すべきだろう。
今回の撤去の謎や同プロジェクトの動きについては、今後とも追いかけていきたい。また、こうした混乱が起きないよう、日本政府には、いち早く、慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」を撤回し、「従軍慰安婦」が戦後に捏造されたつくり話であることを訴えるべきだ。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『神に誓って「従軍慰安婦」は実在したか』 大川隆法著
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幸福の科学出版 『従軍慰安婦問題と南京大虐殺は本当か?』 大川隆法著
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【関連記事】
2013年12月号記事 韓国の慰安婦漫画に日本から「倍返し」 - 「論破プロジェクト」始動! 論破プロジェクト 実行委員長 藤井実彦氏インタビュー
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6820
2014年1月28日付本欄 韓国が反日包囲網を形成中? 自らの首を絞めていることに気づくべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7308
ドイツのメルケル首相が、再生可能エネルギーの新設設備に対する優遇措置を縮小する方向に見直す方針を明らかにしたことを、30日付日経(電子版)が報じた。
ドイツ政府は、2050年までに電力の8割を再生可能エネルギーで供給する体制を整えることを目標に、これまで設備の新設を後押しする優遇措置をとってきた。だが、今回の見直しの背景には、この措置によって、導入コストが電気料金に転嫁され、2000年当時の平均的な家庭の電気料金が2倍以上に高騰したことがあると見られている。
日本でも「脱原発」を唱える人々は多いが、再生可能エネルギーをめぐる問題は絶えない。ドイツ以外のヨーロッパの国々でも多発している。
たとえば、スペインは、風力を中心とした再生可能エネルギーで総発電電力量の3割をまかなっている。同国政府は1994年、電力会社に対して、再生可能エネルギーの電力を高い固定価格で買い取らせることを決める一方で、電気料金に価格を転嫁させない方針を決めた。
しかし、増加する買い取りは、電力会社の負担増大を招き、政府は買い取り価格の引き下げや設備の設置制限をするなどして政策を修正。しかし、巨額の負担が問題となり、結局、2012年に買い取り制度を停止した。ちなみに、13年5月時点で、同国の電力会社は3.4兆円ほどの赤字となっている。
他にも、イタリアは2005年、太陽光発電導入の補助金給付と、買い取り制度を設けることを決めた。だが、太陽光発電の導入コストを、電気料金への上乗せでまかなった結果、平均的な家庭の電気料金が約20%の値上げとなった。同国政府は、増加する補助金を抑制するため、買い取り制度の上限を設けたが、昨年7月にその上限を超えてしまい、結局、買い取り制度そのものを廃止した。
こうして見ると、再生可能エネルギーを中心に据えた国々のエネルギー政策は、すでに崩壊しつつあることが分かる。3カ国に共通するのは、優遇措置を講じ、再生可能エネルギーを導入する。それに伴う買い取り価格の増大により、電気料金が高騰し、優遇措置を縮小させるが、最後に残るのは「電気利用者の負担増」という構図だ。
東京都知事選では、脱原発が話題になっているが、先発の“脱原発諸国"の失敗例を直視するべきだ。そもそも地方自治体の政策に、全国民に関わるエネルギー政策を持ち込むべきでないし、一昨年の衆議院選では、原発容認派の自民党と維新の会が勝利し、原発の是非に国民は審判を下したと言える。
脱原発の将来は国民の負担増でしかない。安倍首相は、都知事選の結果に関係なく、原発を推進すべきだ。(慧)
【関連記事】
2014年1月26日付本欄 【都知事選の見方】「脱原発」は国防問題でもある 都知事には国政レベルの見識が必要
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7299
2014年1月23日付本欄 【都知事選】告示 細川元首相の「脱原発」に、ヤジとまばらな拍手
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7288
2013年12月24日付本欄 固定価格買取制度で大企業を優遇するドイツをEUが非難 脱原発は失敗する
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7137
「非常に不慣れであったこと、これは、誠に申し訳なく思っております」――。
NHKの籾井勝人会長は、参考人として出席した31日の衆院予算委員会で、先の就任会見で批判された「慰安婦」発言などに対し、そう釈明した。しかし、言葉足らずな面はあったものの、籾井氏が就任会見で語った内容は大筋で公平・中立であり、本来、謝るようなものではない。
同委員会で民主党の原口一博・元総務相は、慰安婦発言に対する直接的な言及は避け、就任会見時の籾井氏の特定秘密保護法に関する、「一応、通っちゃった。もう言ってもしょうがない」などの発言について質問。「政府の広報放送ではなく、自立的に様々な問題について、国民に届けるというのが、NHKではないでしょうか」とし、遠回しに慰安婦を含む一連の発言について責任を追及した。
これに対し、籾井氏は、「初めての会見で、非常に不慣れであったこと、これは本当に、誠に申し訳なく思っています」と釈明した。
日本の言論空間は、いつの間にか「言論の自由」を認めない、韓国や中国のような国に近づいてはいないか。商社出身の豪放磊落な籾井氏には、今後とも、本音で語り続けてほしい。そしてこれを機に、ウソやごまかしがまかり通る日本のマスコミ界を変革し、組織のトップや政治家が、国益について本音で語れる社会をつくってほしい。(格)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『NHKはなぜ幸福実現党の報道をしないのか 受信料が取れない国営放送の偏向』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=826
【関連記事】
2014年1月26日付本欄 NHK新会長の発言に一部メディアが反発? メディアが国益を重視するのは当然のこと
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2013年11月30日付本欄 NHKの偏向報道は「報道の自由」? クールジャパンはどこへ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7015
Web記事 公開霊言抜粋レポート NHKはなぜ中国政府の言いなりなのか?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=4893
もちろん、籾井氏が参考人として呼ばれた理由は、慰安婦に関する発言が発端だ。「どこの国にもあった」「今のモラルでは悪いこと」「日韓基本条約で解決済み」などの発言が、マスコミに取り上げられ、まるで犯罪者のような吊るし上げにあっている。
だが、籾井氏の発言内容は、大筋で公平・中立な発言だ。欲を言えば、韓国や日本の左翼陣営が捏造し、世界に広まっている「慰安婦イコール性奴隷」というイメージをきっぱりと否定してほしかった。そして、「彼女たちは、業者の募集に応じた人々であり、旧日本軍は強制連行などしていない。さらに、彼女たちは当時、故郷に豪華な家を建てるなどして、商売として成り立っていた」などと、事実関係を詳細に述べてもらいたかったほどである。
そもそもの間違いは、「慰安婦イコール性奴隷」という捏造について、調べもせずに認めた1993年の「河野談話」にある。その意味で、いま国会で参考人招致すべきは、籾井氏ではなく、河野洋平・元官房長官であろう。
実は私は、イスラエル議員のワシントンD.C.の事務所で、政策秘書と議論したことがある。「イスラエル議員はなにかというと河野談話を盾に慰安婦問題を主張されるが、そもそも河野談話は従軍慰安婦の証拠なしに発信され、現在、その根拠が疑われていることを知っているのですか?」と聞くと、その秘書は慌てた表情で、「河野談話がそういうものだったとは知らなかった。もし本当なら話は違ってくる」と述べた。
イスラエル議員は昨年7月、自身の支援者に対して、「慰安婦問題は、日本政府が謝罪要求に応じず、事態は行き詰まっています。私はこれを打開するために、新たな策を行うつもりです。ジョン・ケリー国務長官に、日本政府に対して謝罪を迫ってもらいます」と伝えている。今回、歳出法に謝罪を促す文章を盛り込んだのは、まさにこの言葉を実行に移したものといえる。
菅義偉官房長官は、今回の歳出法に盛り込まれた慰安婦謝罪の件について、20日の記者会見で、「外交ルートを通じて、米議会も含めて日本の考え方を説明して理解してもらえるよう努める」と述べた。
私が問題視するのは、2007年の慰安婦についての対日謝罪要求決議の中身だ。この決議自体は法的な拘束力があるわけではなく、具体的政策に移すような性質のものではないが、「日本は若い女性を性奴隷にした」といういわれなき誤解・中傷に満ちた内容なのだ。
決議では、先の対戦中、日本政府は「慰安婦」と呼ばれる若い女性たちを性的奴隷にし、「集団強姦」「強制流産」「身体切断」「自殺に追い込む性的暴力」等、残虐性と規模において前例のない20世紀最大の人身売買を行ったとされている。さらに、日本政府に謝罪を要求するだけでなく、教科書に従軍慰安婦の罪を盛り込んで、日本の子供たちに教えるように求めているのだ。
この決議採択に先立って開かれた公聴会では、“自称"慰安婦たちが、どれほどの被害を受けたかについて聞くに堪えない話をしている。それを聞いた米下院議員の一人は、「日本は北朝鮮による日本人拉致事件を問題にするが、その前に自国が行った罪を清算すべきだ」とコメントした。すなわち、この従軍慰安婦問題は、日本を極悪非道の国家に貶めるのみならず、日本の拉致事件解決の障害となり、現在の国民の生命や安全をも脅かしているのだ。
この決議採択は、現在、カリフォルニア州グレンデール市をはじめとし、各地で建設が進められようとしている慰安婦像、慰安婦の碑の正当性の根拠に使われている。
そして、繰り返すようだが、米下院がこのような決議をした唯一の根拠は「河野談話」なのだ。この「河野談話」の根拠が崩れたとき、アメリカにおいて、従軍慰安婦問題を持ち出して日本を貶めようとする韓国系ロビーの論理的根拠はすべて崩れ去る。
この屈辱的な談話は、日本が自ら出している。そして、この談話はずさんな調査に基づいて作成され、韓国に“お伺い"を立ててから発表されたなど、根拠のないことが次々と明らかになっている。幸福実現党が本談話の白紙撤回を求める署名活動を展開している理由がお分かりいただけただろうか。日本の誇りを取り戻せるのは、現在生きている日本人しかいないのだ。
【及川幸久の自虐史観を撃つ】http://the-liberty.com/article.php?item_id=7317
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2014年1月30日付本欄 【及川幸久の自虐史観を撃つ】アメリカ慰安婦問題の真の黒幕は誰か? 米歳出法に紛れ込んだ謝罪要求(前編)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7314
2014年1月17日付本欄 米予算法案に潜り込んだ「慰安婦問題で日本は謝罪を」 韓国の姑息なロビー活動
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7230
Web記事 安倍首相の靖国参拝は当然だ! 歴史捏造の中国・韓国・米国こそ反省すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7153
2013年9月号記事 河野・村山談話は無効である 歴史問題を永遠に葬り去る 大川談話―私案― -1-