カシミールでインド兵17人が死亡 中国がうごめく印パ紛争に「光」はあるか
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11939
インド北部のジャム・カシミール州で18日、インド軍の拠点が武装集団に襲われ、インド兵17人、武装集団側4人が死亡する事件が起きました。
この襲撃について、インド側は、パキスタンの過激派組織が関与したとしていますが、パキスタン側は関与を否定しています。
この地域では、今年7月に、インドからの分離独立を主張する武装組織の司令官が、インド軍に殺害されました。これを受けて、地元の警察や自治体の庁舎が襲われるなどして、治安部隊とデモ隊が衝突。約1カ月で80人近くが死亡しているといいます(18日付NHK NEWS電子版)。
印パは地理的に離れているので、「対岸の火事」と捉えがちです。しかし、パキスタンを支援しているのは中国です。最大の民主主義国であり、核大国でもあるインドとの協力が欠かせない日本は、こうした問題にも関心を持つ必要があるでしょう。
◎インド・パキスタンの対立の歴史
では、初めに、70年ほど対立を続けている印パの「カシミール問題」について見ていきます。
インドは1947年、イギリスから独立を勝ち取ります。この時に、ヒンドゥー教徒の国であるインド連邦と、イスラム教徒の国であるパキスタンに分離独立して、2つの国が誕生しました。
この印パ分離独立の際に、帰属が決まらず宙に浮いたのが、インド北部のカシミール地方でした。カシミールの住民は大半がイスラム教徒でしたが、藩主がヒンドゥー教徒であったため、どちらに帰属するかもめたのです。
帰属が決まらないままのカシミールをめぐって、分離独立から2カ月後、第一次印パ戦争が勃発しました。
事の始まりは、カシミール藩主に揺さぶりをかけるべく、パキスタンがイスラム教徒の暴徒をカシミールに侵入させたことです。この危機に際し、藩主はインドのネルー首相に援軍を求めました。ネルー首相は、カシミールがインドへの帰属を暫定的に表明することを条件に、援軍を派遣。これを機に、パキスタンも軍隊を派遣し、第一次印パ戦争が始まったのです。
その後も1965年、71年に相次いで第二次、第三次印パ戦争が起こり、両国は今なお対立を続けています。
◎パキスタンへの影響を強める中国
この印パの対立を語る上で欠かせないのが、中国とパキスタンの関係です。
中国は、インフラ投資や核開発など、パキスタンへの支援に力を入れています。中国とインドの間でも、たびたび国境紛争が起きていますが、印パの対立が激しくなれば、インドの力が割かれて、間接的にインドを弱めることができるからです。
パキスタンは昨年、アラビア海に面したグワダル港の経済特区の運営を43年間、中国に任せることを決めるなどしています。パキスタンの存在は、アジアと欧州をつないで巨大な経済圏をつくる中国の「一帯一路(陸と海のシルクロード)」構想にとって、とても重要なのです。
インドもパキスタンも核を保有していることから、両国の衝突が激化すれば、核兵器が使われる懸念もあり、アジアの周辺諸国にも甚大な影響を及ぼします。
しかし、インド一国では、中パ両国に対峙することは難しい状況です。アメリカも、テロ組織との関係上、パキスタンから手を引く流れになっています。また、印パの問題には、ヒンドゥー教とイスラム教の宗教対立も絡んでいて、キリスト教国による介入は、新たな禍根を生む懸念もあります。
◎印パ問題への政治的・宗教的なアプローチ
この問題を解決できるのは、宗教的な確執がなく、本来、アジアを率いる国力を持つ日本ではないでしょうか。
中国の軍事的な脅威にさらされている日本は、インドとの関係を強化し、日印同盟を結ぶことも視野に入れた外交戦略が必要です。ただ、この関係が日本だけのためのものでなく、印パの架け橋になるものへと発展させたいところです。
そのためには、政治的なアプローチに加えて、宗教的なアプローチも必要となるでしょう。
インドが信仰する多神教のヒンドゥー教、パキスタンが信仰する一神教のイスラム教、日本はこの両者を融和できる宗教的土壌があります。
大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『正義の法』で、仏教と日本神道に関して次のように指摘しています。
「『複数形としての「神々」はいる。しかし、その神々よりも仏陀が上である』というのが仏教の考え方なのです。『神々よりも仏陀が上である』ということからすれば、一神教ではなく、『至高神』の考え方にやや近いと言えます」
「また、日本神道にも、一段秀でた神がいます。(中略)秀でた神のほかにもたくさんの神々がいらっしゃって、神評定をなさっているわけです。要するに、古代から"国会"を開いているのが、日本神道なのです」
「至高神」という考えを持つ仏教、民主主義的な宗教観を持つ日本神道。こうした宗教観をベースにする日本は、印パの対立を融和させる可能性を秘めています。
そのためにも、日本は経済面・防衛面の力をつけ、国際社会での発言力を高めていかなければいけません。そして、そのベースになくてはならないのは、日本人一人ひとりの精神性の高さであり、寛容な宗教観であると言えるでしょう。(片)
【関連記事】
2015年7月12日付本欄 印パの首脳会談と上海機構に加盟 中国の動向に注視
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9885
2015年4月25日付本欄 中国の「シルクロード構想」って何?【リバ犬×そもそモグラ博士のそもそも解説】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9547
2011年12月1日付本欄 冷え込む米パ関係 パキスタンがアフガン復興会議欠席へ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=3420