「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る「どこまでもヴァイナル中毒」(第15回)「バレンタインの音楽」を語る!

2019-02-14 09:17:23 | 『ハウリンメガネ』コラム集

読者諸賢、
日々は慌しく過ぎ去り、
早々と二月だ!

ハウリンメガネである。

本日2月14日といえば
やはりこの話題は外せまい!

ということで今回は掲載日にちなみ、
バレンタインスペシャル!

…でお送りするのだが、
今回も事の始まりは
いつもの
「Mash氏からの無理難題メール」
からであった。

「やあ!(以下、盤の話が続く)ところで今回、君のコラム掲載日、バレンタインだろ?なにかバレンタインに合う盤で書いてよ!」

…出たー!コレが噂の
「Mash氏必殺の盤大喜利」
である!

メールを読んだ瞬間、
正直、筆者は頭を抱えた。

そう、おわかりの方もおられるだろうが、
バレンタインというイベントにちなんだ盤…
実は全然ないのである!
もちろん探せばあるのだろうが、
少なくとも筆者の引き出しにはない!

これ、バレンタインには女性からチョコを戴く
というイベント(要するに特徴的なイベント)
が、ほとんど日本に限定された文化である…
そんなことも大いに関係する話で、
これぞバレンタイン・ソング!
という曲が洋楽には本当にない!

ついでにいえば、邦楽だって
国生さゆりの「バレンタイン・キッス」
以降、目立つバレンタインソングなんざ
パフュームの「チョコレイト・ディスコ」
ぐらいのものだ
(今でもこの時期に「バレンタイン・キッス」が流れることを考えれば国生さゆり一強といってもよい…凄いな)

一瞬何かアイディアを…
と「白旗を上げてしまおうか…」
とも頭をよぎったが、
こちとらくさってもヴァイナル・マニア!
どうにかこのお題に応えねば、名が廃る!

というわけで、
今回はチョコ…甘くて黒い…甘くて黒い音!
という連想ゲームのもと、

「チョコ食ってる場合か!
チョコより甘い!
チョコより黒い!
魅惑のスウィート・ブラックミュージック特集!」

である!

まずは写真左。
The 13th Floorの「Steppin’ out」
(UK,2017リシュー)!

まあ、このジャケを見てくれ…
セクシーだろう(笑)?
もうこれだけで購買意欲をそそられてしまう
(事実、筆者は大阪某所で盤を漁っていた際にジャケ買いしたのだ!)

「The 13th Floorといえば?」
ソリャ「エレベーター!」
と答えがちな
「ジェリーズ関係者」ではあるが(笑)
こちらの「The 13th Floor」も内容充実!
スウィートソウルど真ん中!

オリジナルは1975年発。
野太いベースとタイトなドラムを主役に
ファンキーな鍵盤やホーン、
ボーカルが軽やかに跳ねるGood Sound!

甘いボーカルやハーモニーも素晴らしく、
メロウで図太い良盤なのだが、
売れなかったのか、
バンドが継続できなかったのか、
残念ながら発表されているのはこの一枚だけ
(結果、レアグルーヴ盤として有名になり、
近年になってリシューされている、というわけ)

[A-1]Sweet Thangはチャカ・カーンの在籍したバンド、ルーファスのアルバム「Rufus featuring ChakaKhan」からのカバー曲だが、原曲以上にメロウな解釈でサックスが歌う!
(なお、原曲はSweet Th”i”ngなのだが、なぜかこちらはジャケットでの表記がSweet Th”a”ngとなっている)

また、[B-2]Get Upから[B-4]Riseまでのベースを中心としたファンクネスは必聴!

チョコに例えるなら
「フルーツの入ってるやつ」かな。
甘さのなかにゴロっと入る果実…
そんなナチュラルな太さを是非感じて欲しい!

次!写真中央!
John Lee & Gerry Brownで「Chaser」
(US org。1979年)!

これまた「ジョン・リーとくれば?」
「フッカー!」と答えがちな
「ジェリーズ関係者」だが(笑)

待て待て、
こっちの「ジョン・リー」も凄いんだぜ?
ジャズ界隈での重鎮であるベーシスト、
「ジョン・リー」が名ドラマーである
「ジェリー・ブラウン」との連名で出した
このアルバム!

フュージョンしながら
きっちり黒い!太い!

ちなみに「ジョン・リー」はディジー・ガレスピーや、ラリー・コリエルとのプレイで、
「ジェリー・ブラウン」はスタンリー・クラークとのプレイやリターン・トゥ・フォーエバー(以下RTF)での活動が有名!

まさに「80年代突入直前!」
といった時代を感じるサウンドであり、
もろにRTF的だったり、
TOTO辺りを彷彿とさせる
魅惑の「AORサウンド」なのだが、
いやいや!
これ、アナログ盤で聴くとイイのよ!

[A-2]Will It Last?のシンセパートや
[A-3]Fate Ripperのリードベースなんか
もう笑ってしまうくらいRTFしてるのだが、
RTFと比べ、どこか図太く感じるのが不思議だ。

[B-2]What It Ifなんかはスティーリー・ダンのアルバムに入っていてもおかしくないような「ロッキン・ジャズ・ファンク」に仕上がっている。

全曲インストなのだが、
飽きさせず、一気に聴ける!

そしてこれまたジャケットを見てくれ。
二人の男がジョッキを呷る。
タイトルからいっても明らかにこれはウィスキーをやった後にチェイサーを流し込む男だ。

そう!この盤は例えるなら
「ウイスキーボンボン」!

「甘さの中にガツン!とキツくてアツいやつ」
がトロッ〜と入ってるのさ!

さあ、今回ラスト!写真右!
Chaka Khan!
「Chaka」(US org。1978年)

一枚目の「The 13th Floor」でも話題にでた
チャカ姐さんだ!
なんでこれかって?
邦題が「恋するチャカ」だからさ(笑)!

恋…いいねぇ…甘いじゃないの…。
ただし、この盤、当然甘いだけじゃない!

チャカの歌はもちろん良いが、
分かっちゃいるが、参加メンバーが贅沢すぎる!

ドラムにスティーヴ・フェローン!
ベースにウィル・リー!アンソニー・ジャクソン!
ローズピアノにリチャード・ティー!
ホーンにランディとマイケルのブレッカー兄弟!
ギターではフィル・アップチャーチにコーネル・デュプリー!
そして[B-1]We Got the Loveではジョージ・ベンソンとデュエット!(これでも一部を抜き出しただけ…)

後にホイットニー・ヒューストンのカバーでもバカ売れした
[A-1]I'm Every Womanを筆頭に、
盛り上がっては落とすクールネスがしびれる
[A-4]Sleep on It。
過酷なショウビズの世界で生きる彼女の思いを歌った
[B-3]A Woman in a Man's Worldなど、
どれもこれもタイトなサウンドで迫ってくる、
一筋縄ではいかない、強烈な盤だ

(この頃のチャカはソウルマナーに溢れるスタンダードなサウンドが心地よい。「ミネアポリス・サウンド」でビシバシキメる時期も大好きだが)

そしてやはり、ジャケットを見て欲しい。
見よ!
まだうら若き乙女だった頃のチャカ姐さん(笑)!(いや、今の姐さんも素敵ですよ!?誤解なきように!)

うーむ、この盤を例えるならなんだろうなぁ。
「ピシッと包装された高級なチョコレート」
だろうか。
でも中身は「ヌガーバー並みに濃い」しな(笑)
駄目だ!浮かばん(笑)!

以上、毛色を変えて三枚。
「甘いだけではなくスパイスも効いた盤」
をご紹介したが、いかがだっただろうか。

冒頭でも少し触れたが、
バレンタインチョコの風習は
本当に日本独特だそうだ。

なぜか?
答えは簡単で、
世界ではバレンタインじゃなくたって気軽にプレゼントを贈りあうからさ!

「気持ちを伝えるのに日付は関係ない」

とはいえせっかくのバレンタインデー!
気になるあの人に!
彼氏、彼女に!
「チョコより黒いヴァイナル」
で「スウィートなサウンド」を
プレゼントしてはいかがだろうか?

以上、今年も義理チョコを貪り食う
(貰えるだけでもありがたい!)
ハウリンメガネでした。

( 企画・編集・校正・加筆リライト「Mash」)

https://1on1.crayonsite.com


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ゲスト・ライター陣紹介
〈ハウリンメガネ〉
俺「Mash」の店「ジェリーズ」に
16歳の時に来店!
来店初日から「サン・ハウス」の話をし
俺に強烈インパクトを与える。

以後数々のバンド活動を続けながら
ソロ活動も「ハウリンメガネ」として活躍。
この明石のブルースマンが繰り出す
「ハウリンメガネShow」は一見の価値有り!

ジェリーズ軍団では
「Starman☆アルチ」
「ジョーカーウーマン」
と共に、音楽専門ライター陣
「ロック・マニアックス」
を2019年新規結成。