「き」?うーん「き」か。
この前お題に「き」が来たときに
あれだこれだと考えたけど、
時間が経つと「なんか違うもん」を出したくなる…
今出したいもの……
今聴いてほしい人…
これだ!
「キャント・ウェイト・ノー・ロンガー」
オーティス・ラッシュ!
アルバート・キング御大同様、
右利き用ギターを弦の張り方も右利き用のまま
レフティで弾きこなし、バディ・ガイと共に
マディ以降のシカゴブルースシーンを支えた・・・
そんな「偉大なるブルースマン」それが
オーティス・ラッシュ。
残念ながら
「シカゴブルース第二世代」の中で
一般的知名度としてはバディ・ガイに水を空けられ、
その特異なレフティスタイルについては
アルバート・キング御大のイメージが強すぎ、
今や「オーティスと云えば?」「レディング!」(大御所!)
と応える人が大半という・・・
歯噛みしたくなる現状なのであります……
(なお、「レディング!」って応える人も少ないのでは?という疑問については「レディングも聴け!」の一言で片付けさせて頂きたい。聴け!)
しかし待て。
確かに現代において、彼の知名度は下がったかも知れぬ。
だが、彼の影響を受けていないロックギタリストはいない。
ZEPの1st収録の「I Can't Quit You Baby」
クラプトンがブルースブレイカーズでやった「All Your Love」
そしてSRVのバンド名の由来にもなった「Double Trouble」
これぜーんぶオーティス・ラッシュ!
そう!
オーティス・ラッシュはブルースロックのギタリストに
多大な影響を与えた男!
つまりZEPやクラプトン、SRVに影響された人は
みーんなオーティス・ラッシュの孫弟子!
みたいなもんなのであります。
今回ご紹介の「キャント・ウェイト・ノー・ロンガー」は
そんなオーティス・ラッシュの1stアルバム
「Mourning in the Morning」(69年作)の
B面エンディング曲でございます
(なお、写真の筆者所有盤は73年の「フランス・リシュー盤」!ジャケもオリジナルは本人の写真だがこちらはイラスト。でもいい味出てるでしょ?)。
「えっ?69年に1stアルバム?ZEPとかクラプトンが影響されたなら、もっと前から活躍してたんじゃないの?」
いいところに気づきましたお客人。
そもそも当時のブルース(ブラックミュージック)レコードと云えば
シングル盤が殆ど。
オーティス・ラッシュもレコードデビュー自体は56年、
コブラレコードから「I Can't Quit You Baby」でデビュー!
その後続々とコブラでシングルを吹き込むも色々あってコブラが倒産。
その後は名門チェスでシングルを吹き込むもアルバムは出ず、
結果このアルバムが1stとなるわけです。
実はこのアルバム、以前「マシュメガネ対談」で名前の出た
ポール・バターフィールド・ブルース・バンドのギタリストにして
ボブの「追憶のハイウェイ61」への参加でもお馴染み、
マイク・ブルームフィールドがプロデュースを務めており、
大半の曲がブルームフィールド作。
当時、コブラ、チェスでのサウンドを期待していた・・・
そんなブルースファンから「酷評を受ける」
という曰く付きのアルバムなのですが、なんのなんの!
確かにコブラやチェスでのオーティスサウンドではないが、
このアルバム、ソウルミュージックの聖地
「マッスルショールズスタジオ」で録音されており、
濃口ソウルのバンドをバックにオーティス・ラッシュが
オーティス・レディングばりに唸り上げ(ややこしいな)、
ギターのキレも抜群のご機嫌R&Bアルバムとなっているのであります!
(実はデュアン・オールマンも一曲参加!)
そんなアルバムのエンディングを〆る
「キャント・ウェイト・ノー・ロンガー」は
ブルック・ベントン先生やボビー・"ブルー"・ブランド師匠をも思い起こさせる、
カラッとした明るさの後ろにセンチメントが見え隠れする!
涙ちょちょぎれ系のソウルブルース!
女性のコーラスも入ったバックを背にオーティスの野太い歌声が沁みる!
時代の流れと情報の海に押し流され忘れられがちな偉人、
オーティス・ラッシュ。
あなたも是非如何?
……というわけで
とうとうブルースを出しちゃいました!
編集長!次は「ガ」です!
益々濃くなる「しりとり対決!」
次の手や如何に!乞うご期待!
《 ハウリンメガネ筆 》