10月20日の国のアドバイザリーボードで押谷先生ほかから第8波のリスク評価についてリポートが提出されました。
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新型コロナウイルス感染症第8波へ向けてのリスク評価の考え方"
資料3-10押谷先生、鈴木先生、西浦先生、脇田座長提出資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001003670.pdf
それによると、各論では根拠となる論文などの紹介があるのですが、詳細の理解が及ばないので、新しい図表に置き換え、ポイントのみを記載します。
◎リスク評価の基本的考え方 リスクの原因となるHazard・Exposure(暴露)、Context(状況)の評価(↓)。
・同じHazard(新型コロナウイルス感染症ではSARS-CoV-2)でも
どのような人が暴露(Exposure)を受けるかや
人口中の免疫の状態などの状況(Context)によってもリスクは大きく異なる
◎パンデミックのリスク評価について<WHO(PISA)> インフルエンザパンデミック(新型インフルエンザ)を想定
・伝播性(Transmissibility)、
・疾患としての重症度(Seriousness of disease)、
・医療や社会へのインパクト(Impact)を評価
◎第8波の流行のリスク評価• 国内の多くの地域で感染者は増加や一部のヨーロッパやアジアの国々の状況から第8波の流行が起こる可能性は非常に高い
• 今後、伝播性や病原性の大きく異なる変異株が出現するリスクは存在しているが、オミクロン株のさまざまな派生株はBA.5に比べ伝播性は必ずしも高くない
• 今後の流行の規模や重症者数・死亡者数は人口内の免疫状況によって大きく規定されていく可能性
• ワクチンや自然感染の免疫は減弱、比較的長期にわたって維持されるワクチン初回接種後の重症化阻止効果も接種後8ヵ月以降には減弱
• 多くの高齢者が3回目接種後8ヶ月が経過、高齢者の4回目接種の接種率は76%程度、60歳未満の多くの人は今後4回目接種の対象となることが第8波の流行のリスクに影響する可能性
☆(10/20アドバイザリーボード資料3-3西浦先生より
• 各国に比べて人口あたりの既感染者の割合が低く第8波の流行動態に影響する可能性
• 2022年2月から3月にかけては顕著な超過死亡が観察、この理由として医療ひっ迫の影響。
感染や再感染による長期的な影響を示すデータ、リスクを考えるためには被害の全体像を正しく把握することが必要
☆超過死亡の分析(10/20アドバイザリーボード資料3-2鈴木先生より
• 今後、呼吸器ウイルスが流行しやすいとされる冬、12月以降忘年会などイベントがあること、人の移動が増えていることが感染拡大のリスクを高める
• 加えて、冬季には心筋梗塞・脳卒中などで救急医療の需要が高まる。第7波でも救急搬送困難事案が急増するなど顕著な医療ひっ迫、第8波でも医療ひっ迫が生じるリスクは高い
☆救急医療のひっ迫とCOVID-19流行状況(10/20アドバイザリーボード資料3-5-②中島先生より
今後の変異株の感染力や免疫保持者の割合などの要因が第8波の発生、程度への影響があるといわれていますが、専門家のリスク評価への取組みと医療体制のひっ迫、崩壊を防ぐ対策への対応が大事ですね。