例年なら藍色の花を次々と咲かせている時期なのだが、家をぐるりと取り巻きかけていたオーシャンブルーは、この度の駐車場作りでごっそりと引き抜かれ、まるで残り火のように(小さくなってしまった)緑の葉っぱだけがあちこちでちょろちょろとのぞいているのみである。
また、写真の朝顔は3、4年前に近所で種をもらってきて植えてから毎年落ちた種で勝手に生えてくるものなのだが、小ぶりで色が浅く、秋の季語にふさわしくちょっぴり寂しげな雰囲気である。
そして、そんな朝顔で思い出すのは、源氏物語に出てくる源氏のいとこ。
源氏に好意は抱きながら、しかし源氏が決して自分ひとりのものにならないことを確信するが故に、源氏を拒み続けてプラトニックな関係を保ち、折に触れて手紙を交わす友人に終始するという姫君である。
私がつくづく感心するのは、物語の中に実に様々なタイプの女性を登場させている中で、名前の付け方にまで配慮が行き届いているところである。
つまり、対極として「夕顔」が描かれているという点である。
「夕顔」は素直で男の言うがまま、見も心も頼り切ってしまうかわいい女として描かれ、男性読者にも人気の高いキャラクターである。
「朝」と「夕べ」ほど違うそれぞれの花は、しかし、自らのDNAの導くまま、“らしく”生涯を終えたということになるんでしょうね。
何にせよ、現実ではさまざまな草花の移ろいで、猛暑の影にも秋が潜んでるのを感じます。