5月下旬から「未央柳」と「金糸梅」の花が咲き始めました。
オトギリソウ科:属の❶「ビヨウヤナギ(未央柳、美容柳)」、❷「キンシバイ(金糸梅)」、❸「コボウズオトギリ(小坊主弟切)」
どれも黄金色の美しい5弁花を咲かせます。❶と❷は江戸時代に日本に渡来し、古くから庭・公園などに植えられています。
この3つは比較的容易に見分けがつきます。ところがこれに❹「西洋金糸梅」、❺「大輪金糸梅」が加わると混乱してきます。
これらを総称して属名から「ヒペリカム(Hypericum)」と言います。
❶「未央柳・美容柳」(H. chinense:ヒペリカム・キネンセ)
中国原産の半落葉小低木(自生地では落葉だが、暖かい地方では落葉しないことが多い)
樹高:0.5m~1.5m。開花期:5~7月。
名は枝先がやや垂れ下がり、葉が「ヤナギ」に似ていることに由来。
花径4~6cmの大きな花。花弁はくさび形。雄しべは花弁より長く、30~40個づつが5つの束に分かれ、カールする。
葉は長さ4~8cmで十字対生。
❷「金糸梅」(H. patulum:ヒペリカム・パツルム)
中国原産の半落葉低木。樹高:1mほど。
開花期:5~7月。名は花の形が梅に似ていて、色が黄色であることに由来。
未央柳より葉が小さく(長さ2cm)、花も小さく(3~4cm)カップ形。
雄しべは花弁より短く(1/2以下)、60個づつが5つの束に分かれる。枝は垂れ下がります。葉は二列対生。
写真はあまりカップ形に見えませんが、二列対生で、雄しべが花弁より短いという特徴はあります。
❸「小坊主弟切」(H. androsaemum:ヒペリカム・アンドロサエマム)
ヨーロッパ西部~南部原産の半常緑低木(自生地では常緑だが、寒い地方では落葉することが多い)
樹高:0.6~0.9m。開花期:6~9月。
花径は2cmで、雄しべは花弁より長く、20~25個づつ5つの束に分かれる。子房が大きい。
長さ6~12mmの大きな卵形の萼片は平開し、花後も残る。
果実は赤色から黒色まで成熟につれて変化。
赤やピンク、クリーム色の美しい果実を観賞。
葉は長さ8~10cm、幅5cmの広卵形で対生
切花での花材として花屋さんでよく見かけます。
❹「西洋金糸梅」(H. calycinum:ヒペリカム・カリキナム(カリシナム))
別名:姫金糸梅 葯が赤色を帯びる。小アジア原産の常緑小低木。
開花期:6~7月 未央柳とよく似た花姿ですが、樹高:0.2~0.6mと低い。
見た目は金糸梅より「未央柳」似。花径は5~10cmで、広角に開く。
雄しべは花弁より長く、直線的で90~120個づつ5つの束に分かれる。
葉は二列対生し、長さ4.5~10cmの楕円形から卵形。匍匐茎で広がり、グランドカバーとして利用。
❺「大輪金糸梅」(H. patulum cv. Hidcote:ヒペリカム・ヒドコート)
「金糸梅」がヨーロッパで品種改良された園芸品種で半落葉低木。
樹高:0.6~1.0m。開花期:5~7月。
花径8cmと大きく、花弁は広角に開き、ほぼ平開し、普通、先が浅く切れ込む。
葉は対生~十字対生(ちょっとずれた)。長さ4~8cmの狭長楕円形。雄しべは花弁より短い(1/2以下)。
上と同じ株ですが少しだけ二列対生の枝も。「金糸梅」の名残か?ややこしい!
❶未央柳と❹西洋金糸梅及び❷金糸梅と❸大輪金糸梅が混同しやすい。
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