白井健康元気村

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趣味に生きるカナダ人 私が出会った「元気人」①

2018-05-03 23:58:24 | 私が出会った「元気人」

私が出会った「元気人」①

趣味に生きるカナダ人


山本徳造(フリー・ジャーナリスト)

 

 ゴールデン・ウィークが始まる数日前、外務省を昨年退官した友人Tから「赴任先で懇意になったカナダ人が来日するので、一晩付き合ってもらえませんか」という電話が入った。Tはアルコールをまったく受け付けないという、なんともかわいそうな人だ。しかし、カナダ人はというと、美食家で酒飲み。だから、酒飲みの私に庶民的な居酒屋を案内してもらいたいというわけ。横浜から別のカナダ人も合流するとか。
 そんなわけで、4月30日にかつて住んでいた東京・高円寺に出陣した。JR高円寺駅で合流し、さっそく近くのガード沿いにある焼鳥屋へ。Tの知りあいのカナダ人は、数年前までアルバータ州の州議会議員だったニール・ブラウン。御年72歳で、生物学者としても有名な人物だという。もう一人はニールの友人、グレン。3週間ほど前に日本にやって来て、横浜で英語教師の職を得た。まだ50代の「若者」である。
 さ、まずはビールで乾杯だ! かーっ、うまい! 赤ら顔で恰幅のいいニールは元気そのもので、とても70過ぎには見えない。私の隣に座ったニールはスマホを取り出し、写真を見せ始めた。鹿、トナカイ、白熊などの剥製が壁という壁に掲げられているではないか。「これは博物館なの?」と尋ねる私にニールは「いいや、私の自宅だよ。狩猟が趣味なんだ。フィッシングも好きだよ。これを見なさい」と別の写真を見せた。ニールが大きな鱒をぶら下げている。
 アルバータ州の州都カルガリーにある自宅の全景が映った写真も見せてくれた。大きいとしか言いようがない。「いったい家族何人で住んでるの?」「家族? 私一人だよ」「ん? 奥さんは?」「もう30年も前に離婚した」「で、子供は?」「そんなのいないよ」「へー、自由でいいね」「ああ、自由だ。政界を引退してから狩猟とフィッシング、それに気ままな旅に出る。そんな生活さ」
 うらやましいの一言に尽きる。ところで、狩猟で仕留めた獲物の肉だが、もちろん食べる。独身生活の長い彼のことだから料理の腕前も相当なものらしい。友人Tが口をはさむ。「私も一度自宅に招待されたんだけど、その手料理が美味いのなんの。もうプロのシェフですよ」
 うー、食べたい。そんな私の気持ちを察したのか、「カナダにやって来たら、いつでも私の家で食べさせてあげるよ」とニールは少年のように目を輝かせた。趣味の狩猟とフィッシング。捕った獲物は自分で料理して食する。気が向いたら、ふらっと旅に。そんな気儘な日々を送るニールの辞書には、退屈という単語がない。まさに「趣味に生きる」だ。それが元気で、しかも若々しさを保つ秘訣なのかも。いや、きっとそうだ。

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