【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」㊻
「あらぁ~久しぶりですね!」
パークゴルフ場で見かけたUさんご夫婦に声をかけると、
「しばらくプレーをしていないので、二人で来ているんです」
以前に所属していた会の人だが、何かと忙しいらしく、あまり出席の少ない人たちではあった。ご夫婦そろって仲がいいので、
「良いですねえ」
と、私は挨拶した。すると、ご主人が私にこう聞いた。
「少し太りました?」
「はぁい…楽をしていますので」
そう明るく答えたが、心の中はトホホである。
確かに「太ったな」と、十分に自覚もしているこの頃だ。そして、体重計に乗るのが怖い状態でもある。この暑いのに、そして孫たちが我が家に滞在している日々なので、楽をしているつもりはないが、咄嗟にはそう言わざるを得ない心境だった。この人たちには何も、へつらったりする必要はないのだが……。
私が以前のパークゴルフの会を去った理由などは、十分に理解もしてくれていたし、お互いに愚痴も言わず分かり合えていた人である。前の会を辞めたいきさつは、以前にこのエッセーでも書いたので、もしかすると、その経緯を知ってもらっているかも。ある日、夫と二人でパークゴルフをしているときに、顔見知りであった「Gの会」の創設者に誘われて入部することになったのだ。
今の私は週1のペースで、現在所属している会でパークゴルフをしている。この春からは当番幹事として、プレーに参加してきた人たちの組み合わせをしたり、順位を決めたり。なので、少々の雨でも、猛暑が予想されて心が折れそうになっても、早めに出かけてその準備をする。
会員のほとんどの人の力量が平均している上、ルールやマナーも心得ている人たちだ。同じ組になった人たちと協力し合って競争するという、新しい楽しみ方もあって、お互いの良い所を褒め合ったりする。たとえ失敗があっても、励まし、笑い合ってプレーをしている。今では精神的に、「楽」が出来ているのが何よりだ。
今年は長く続いた梅雨時から、一気に猛暑がやってきた。パークゴルフのプレーをしていて、一番辛いのは梅雨明けの時で、体が暑さに慣れていないため、悲鳴をあげる。夏の間は熱中症にならないための対策が欠かせない。
当たり前のことだが、水分補給には麦茶の他、市販の経口補水液を凍らせたものなどを持参する。塩分補給のための塩飴や、梅干し入りのおにぎり、日よけ帽はもちろん、首には手ぬぐいに保冷剤の凍らせたものを巻く。
この競技は高齢者が多いが、今年のような暑さでも「元気な人は元気だなぁ」と感心する。手前味噌かもしれないが、夫も元気な人の部類に入っているのかも。本当のゴルフはコースの距離も長いし、時間もかかる。カートに乗ることもあるが、基本は炎天下での競技だ。それを、週に2回もプレーすることがあるし、パークゴルフにも出かけたりする。あまりにも頻繁にプレーするので、ゴルフ仲間からも少し呆れられているようだ。
あまり図に乗るのも良くないが、60代半ばごろの夫の腰痛の酷さを思うと、有難いと思わねばならない。ゴルフやパークゴルフを一緒にしてきた人で、最近見かけなくなった人もいる。急な老け込みを見聞きすることや、時には訃報を聞くことも。だから、いつかは我が身にも起こりうることなのだと、言い聞かせる。
テレビやネットのニュースでは、高齢者が自宅で冷房をつけずに熱中症で亡くなっていたと伝えているし、怪我なども自宅で起きることが多いと聞く。ま、出来ることの注意事項に留意しながら、日々元気でいられることに、感謝するしかない。