ウクライナ戦争は2週間目に入ったがいまだに停戦の見通しはなく、ウクライナの難民はすでに140万人を越したという。プーチンはウクライナに侵攻したことで世界各国から非難されている。アメリカは戦争に加わらず武器を提供しても平和調停をしない。損害を被っているのはウクライナ人民だ。
世界中のニュースは西側の報道だけでロシア側の報道はほとんどない。西側の偏った報道はロシアが悪い、プーチンが悪いというが、戦争の主な原因はアメリカが無理にウクライナのNATO加盟を推進したからである。東西ドイツが統一した後、1992年にNATOを解散するという約束を破ってNATOの東進を推進した。悪いのはアメリカだ。民主主義は世界の普遍的価値だと言うが、アメリカがNATO加盟でロシアを包囲するのは民主自由を理由にして世界制覇を目指すネオコンの覇権拡張である。
戦争で酷い目に遭っているのはウクライナだがアメリカは何の痛痒も感じない。バイデンはロシアが侵攻したら厳重な経済制裁を加えると警告したが、ロシアをSWIFTから排除しても石油販売を制裁に加えていない。つまりアメリカは戦争が始まった今でもロシアから石油を買っているのである。戦争を仕掛けた相手から石油を買っているアメリカは本気で戦争をしていない。損害を蒙っているのはウクライナだけだ。
戦争になったらウクライナだけが被害を受ける。ロシアはアメリカと欧州に石油を売っている。つまりロシアには敵意がない証拠だが、ウクライナをNATOに加盟させてロシアに向けた軍事基地を構築しようとするのはアメリカが一方的に悪い。しかもアメリカは戦争が起きた後でもロシアから石油を買っているのだ。石油価格がバレル100ドルを突破してアメリカ国民も被害を受けている。
アメリカは平和交渉を呼びかけないで戦争拡大を嗾けている。ウクライナの難民が百万人を越えたというのに武器を提供してもっと戦えと嗾けている。メディアはウクライナの議員や市民が鉄砲を持って戦うニュースを大々的に報道しているが、国民が困っている状況とか戦争に反対と言う報道はない。メディアがゼレンスキーを煽ったので彼は英雄気取りになって徹底的に戦うと言っている。
西側のメディアはロシア軍の侵害が甚大で6000人が戦死したと伝えている。それなのにウクライナ軍の死傷者の数は報道しない。誰もおかしいと思わないのか。戦死者が6000人なら戦傷者は2倍以上あるはずだ。まるで第2次大戦の時の大本営発表、「我が方の損害軽微」なのか。もしも1週間の戦闘だけでロシア軍に2万人の死傷者があったらかなり大規模な戦争でロシア側の敗戦、プーチンは辞職するはずだ。つまり西側の一方的情報戦は信用できない。
水曜日に初めてロシア側の報道があった。アルジャジーラの報道によるとロシア軍の死者は498人で戦傷者は1597人、そしてウクライナ軍の死者は2870人で戦傷者は3700人、一般市民の死者は136人となっていた。西側の報道に比べるとアルジャジーラの方が信用できる気がする。
ネオコンの一方的情報に踊らされているのはアメリカの左翼も右翼も同様だ。数日前にはFoxnewsのキャスター、ショーン・ハニティ氏がテレビ番組で「アメリカはプーチンを暗殺すべきだ」と宣伝したのである。これは直ちに多くの人から反対された。
アメリカのフォード大統領(当時)は「アメリカは絶対に外国の政治家を暗殺してはならない」という大統領命令を発布した。つまりアメリカがプーチンを暗殺することは絶対にない。ところがハニティ氏は「フォード大統領の命令に従うことはない。現状ではプーチンを暗殺すればウクライナ戦争は終わる」と主張し続けている。
それだけでなく、共和党のリンゼイ・グラム上院議員もハニティのテレビ番組でハニティ氏に同調して「アメリカがロシアのブルータス(シーザーを刺殺した)の出現を呼び掛ける」と発言したのだ。
グラム氏はアメリカの上院議員である。アメリカの政治家が公然とロシア国民にプーチンの暗殺を呼び掛けたのだ。テキサスのクルース上院議員など数名が直ちに反対したが、グラム議員は尚も自説を曲げず二度三度とプーチン暗殺を呼びかけている。呆れた話だ。
ハニティ氏やグラム議員はプーチンが暗殺されたらロシアは直ちにウクライナから撤収して戦争は終わると思っているらしい。実に幼稚で馬鹿げた考えだ。ウクライナがNATOに加盟しないというのが、ロシアにとって絶対に譲れない条件である。絶対に譲れない条件だからウクライナに侵攻したのである。どうしてグラム議員やハニティ氏は、プーチンのウクライナ侵攻は多くのロシア政治家が賛成しているという認識がないのか。どうしてウクライナ侵攻はプーチン一人の主張と思うのか。
もしもアメリカの介入でプーチンが暗殺されたらウクライナ戦争は第3次大戦に発展するだろう。立場を変えて考えてみればわかる。若しもロシアの介入があってバイデン大統領が暗殺されたらアメリカは必ずロシアと戦争を起こすはずだ。
アメリカもドイツも平和交渉を推進しない。フランスのマクロン大統領がプーチンと話し合いをしたが、平和交渉に進展はなかった。プーチンは昨日、もしもゼレンスキーが平和交渉に応じないならウクライナは国を亡くす(つまり国の破滅)だろうと警告した。
今日のWall Street Journalは、イスラエルのナフタリ・ベネット(Naftali Benett)首相がクレムリンでプーチンと会談し、ウクライナのゼレンスキー大統領とも会談したと報道した。西側が同意すればイスラエルのベネット首相が平和交渉の仲裁役を務めることになるだろう。