Special Masterは任命された
DOJ(司法省)/FBIがトランプのマーララーゴ別荘を家宅捜査した事件について、Special Master(特別裁判官)を任命すると決定したAileen Cannon裁判官は、DOJ側とトランプ側の主張を勘案した後、双方が任命に同意したNY州のRaymond Dearie判事を特別裁判官に任命すると発表した。
DOJ側 はDeearie特別裁判官の任命に際し、押収した100件余りの機密文書の独自調査を継続したいと要求したがCannon判事は要求を却下した。つまりSpecial Masterが調査している間、DOJは押収した文書を調査することや調査結果を理由にトランプを起訴することはできない。一般にDOJ/FBIは押収した資料をもとにして中間選挙の投票日の前にトランプを起訴するだろうと言われていたが、それができなくなった。
但し任命されたDearie特別裁判官はDOJが押収した11,000件以上の資料を概括調査し、資料の重要性と以後の調査の順序を11月30日までに報告するとされた。FBIが押収した10,000件以上の資料のうち、100件ほどは機密資料とされている。
DOJはトランプ元大統領の個人資料と、大統領特権による所持資料に包括されない100件ほどの資料は政府のものだから独自に継続調査したいと主張した。少し詳しく説明すると、トランプ側の主張は大統領は一国の最高司令官であるから、いかなる文書でも機密を解除する権利があることを憲法で定められているという。DOJ側は文書の機密設定は文書を作成したそれぞれの機関が設定したもの(例えばヒラリーとFBIがデッチ上げたロシアゲートの資料?)であるから、機密解除の権限はそれぞれの機関にあるというのである。これが本当なら大統領には機密解除の権限はなくなる。
DOJはこの100件の文書の調査を継続したいと要求したのだが、Cannon裁判官が下した判定では「もしもDOJが要求するように、これら100件以上の資料が政府の所有でトランンプの特権ではない。だからSpecial Masterの調査は意味がないと主張するなら、本官(Cannon)はDOJの主張を却下する。」
つまりDOJが勝手に独自の調査をしたい要求は受け付けられないとした。
Cannon法官は更に、「本官はDOJがこのように重要で論争の的となっている資料を、第三者が中立で中正な立場で調査しないでもよいというDOJの結論を受け付けることはできない。」と判定した。DOJ側の決定的敗北である。
この判決の結果、DOJは押収した資料を調査することも、それを使ってトランプを起訴することもできなくなった。Special Masterの調査結果の発表は投票日(11月7日)の後の11月30日である。
しかもこの判決では、DOJ/FBIが家宅捜査で取った行動(30人以上の武装人員を使った家宅捜査)の調査を続けることができる。しかもトランプ側の弁護士は、FBIが押収した100件あまりの機密資料の詳細がどんなものかを調べることができる。つまりDOJが主張している機密資料の中にはトランプが既に機密解除をした文書があるかもしれないからである。
トランプ側の弁護士によると、FBIが押収したトランプの個人資料、パスポートや納税記録、健康検査記録や訴訟問題で弁護士とやり取りしたプライベート資料などは未だにトランプに返還されていない。
FBIはマーララーゴでトランプの弁護士や家族人員を屋外に追い出して9時間も密室作業で調査したが、この際にFBIが屋内の監視カメラをストップするよう要求してトランプの弁護士に拒絶された。監視カメラの記録はトランプ側が所有しているがいずれ公開するだろうと弁護士は述べた。