安倍首相、２０年までに改憲を表明…

　安倍首相が、昨日の改憲を訴える会合にビデオメッセージを寄せて「２０２０年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明しました。

　その内容は、戦争放棄などを定めた九条を維持した上で自衛隊の存在を明記する文言を追加するよう提案し、高等教育の無償化を巡る議論の進展も促しました（以上新聞記事より）。

　何だか矛盾したお話です。

　まずは「９条を維持した上で自衛隊の存在を明記する」ですが、「戦力を保持しない」を維持して「自衛隊がある」ということだけを追加するなら、現在の自衛隊法の趣旨と同じですから、ある意味現状のままということで反対する理由がありません。

　問題は「自衛隊の任務」がこれまでと同じなのか、「安全保障関連法」によって「他国と自衛のため？の戦争ができるような戦力を持つこと」ができるのかどうかです。

　明治以降日本の行ってきた「戦争」の理由は、どれもが「自衛のため」という屁理屈から始まっています。

　「自衛隊」を憲法に明記することによって現行憲法では存在しないはずの「自衛隊」を認めたいだけならいいんですが、「自衛のための戦力保持は可能（現在でもそうだが）」で軍備拡張や任務の拡大が推進されれば、自衛のため？に同盟国が始めた戦いに巻き込まれる確率が高まります。

　アメリカとの同盟関係を深めるためじゃなくて、『日本国民の安全と財産、そして領土を守るためのみに「自衛隊」が存在する』ということも明記して、アメリカなど同盟国が「自衛のため？」に行う戦争に追随しないようにして欲しいです。

　「高等教育の無償化を巡る議論の進展」というのは、９条の追記のために「国民受けする」内容も入れとかないと国民の理解が得られないからという姑息な手段にすぎません。

　「高等教育」というのは「高校まで？」「大学も？」という議論も深めて欲しいです。

　問題は、「国民投票」をする際に、この二つの（もしかしたら、他にも出てくるんじゃないか）改憲（加憲）項目を一緒くたに国民が判断しなけりゃいけないことです。

　「９条の加憲には反対」でも、「高等教育の無償化には賛成」という人もたくさんいるでしょう。

　教育費は、ますます高騰していくでしょうから、子供を持つ親たちは「無償化」という言葉に賛成するに決まっています。

　こんな「アメとムチ」のような手法でないと改憲（加憲）できんのならヤメてしまえ！

　２０年まで残り時間も少ないから、安倍さんが一番やりたい「９条改正」に議論を特化して、まずは堂々とやってご覧なさい。

　それじゃないと国民は「平和憲法」の存在意義の判断が難しくなってしまいます。

　安倍さんが「姑息な手段」を使ってでも、やりたい「憲法改正」の向こうには一体何があるんでしょうか？