定年退職後も働いていると、60歳台前半の老齢年金の一部又は全部が
支給停止になることは、皆様ご存じの通りです。
このブログでも説明してきました。
さて、今日は「65歳以降の年金支給停止」をテーマとして選びました。
お客様からご質問や誤解が多く寄せられているからです。
高齢化が進み、60歳台前半は多くの方が働き、また、65歳以降も嘱託などで
働き続ける方も多くなってきました。
前置きが長くなって恐縮ですが、まずは60歳台前半の老齢年金の支給停止から。
●60歳台前半の老齢年金の支給停止
(1)在職中の支給停止(※)
賃金(正しくは標準報酬月額)と年金の合計が28万円を超えると
年金が一部又は全部支給停止になります。
配偶者等の扶養手当の意味合いの加給年金が支給される方は、
加給年金を除いて合計「28万円」で算定します。
※短い勤務時間等で働いている社会保険適用対象外の方は関係ありません。全額支給されます。
この28万円を超えた部分が「支給停止」の対象となります。
賃金が多ければ年金の支給停止額も多くなります。
例えば、賃金が20万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は1万円です(29万円)。
例えば、賃金が20万円、年金が8万円の方の場合、支給停止はありません(28万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は6万円です(34万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が8万円の方の場合、支給停止は5万円です(33万円)。
( )内は税引き前総額。
賃金が46万円以下の人の場合は、賃金と年金の合計が28万円を超えると、
その超えた額の半分が支給停止になると覚えておくと、わかり易いかも知れません。
(2)高年齢雇用継続給付受給中の支給停止
「高年齢雇用継続給付」とは、60歳定年時の賃金と、その嘱託等後の賃金が
75%未満に低下した場合に、最大で賃金の15%の範囲内でお金がもらえるという制度です。
仮に、40万だった人が20万に低下したら、賃金の15%=3万円が受給できます。
雇用保険から「高年齢雇用継続給付」を受給している人は、(1)の在職中の年金の
支給停止に加え、更に年金が最大、賃金の6%の範囲内で支給停止されます。
賃金の低下率が大きければ年金の支給停止は限りなく6%に近づき、
低下率が小さければ年金の支給停止は限りなく0%に近づきます。
例えば、高年齢雇用継続給付を受給していると、
賃金が40万円から20万円に低下した人は、年金の支給停止は1.2万円(支給停止率6%)。
賃金が40万円から26万円に低下した人は、同じく1.452万円(支給停止率4.02%)。
定年後、嘱託等で賃金が40万から20万に低下(低下率50%)し、
その人の老齢年金が10万円とします。すると、
(1)在職中による支給停止で、1万円の支給停止。
(2)高年齢雇用継続給付受給による支給停止で、1.2万円の支給停止。
合計で、年金が2.2万円支給停止になる、こんな感じです。年金は7.8万円受給ですね。
この例で被扶養配偶者がいる場合は、
・賃金 20万円
・年金 7.8万円
・加給年金 1.86万円
・高年齢雇用継続給付 3万円
合計 20万+7.8万+1.86万+3万円=32.66万円が税引き前総額ということになります。
もっとも、60歳台前半の老齢年金は、段階的に繰り上がっていきますので、
現在60歳に到達した男子は61歳にならないと年金がもらえません(女子は5年遅れで実施)。
この場合は、賃金+高年齢雇用継続給付のみとなります。
●65歳以降の老齢年金の支給停止
65歳以降も在職している場合は、まったく年金がもらえない、と思っている人がいます。
しかし、それは間違っています。
65歳以降は、初めて、国民年金から老齢年金が支給されます(全国民共通)。
国民年金部分の支給停止はありません。全額もらえます。
65歳以降支給停止対象年金は、厚生年金(共済組合)の老齢年金の部分です。
この老齢年金部分のみ賃金額により支給停止があります。
65歳以降の老齢年金(厚生年金・共済組合)は、賃金と年金の合計が月46万円を
超えたら、その超えた部分の半額が支給停止の対象になります。
① 賃金が30万円、年金が15万円の方は合計45万円。年金は全額支給です。
② 賃金が40万円、年金が18万円の方は合計58万円。年金は6万円支給停止になります。
②の人の例でみてみましょう。
・賃金 40万円
・国民年金 6.5541万円(40年加入の場合)
・厚生年金 12万円
合計 40万+6.5541万+12万=58.5541万円
このように、65歳以降の年金の支給停止は、一般的な額の給与所得者の場合は
あまり目くじらを立てることもないのです。
自分自身の年金額は、年金事務所や年金相談コーナーに行き、聞くことができます。
年金手帳と認印を持参してください。年金額は紙で出力してもらえます。
わからない数字や年金支給停止について、その場で詳しく聞くことができます。
正しい知識で、理解が深まります。
ネットより抜群の効果がありますよ。
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支給停止になることは、皆様ご存じの通りです。
このブログでも説明してきました。
さて、今日は「65歳以降の年金支給停止」をテーマとして選びました。
お客様からご質問や誤解が多く寄せられているからです。
高齢化が進み、60歳台前半は多くの方が働き、また、65歳以降も嘱託などで
働き続ける方も多くなってきました。
前置きが長くなって恐縮ですが、まずは60歳台前半の老齢年金の支給停止から。
●60歳台前半の老齢年金の支給停止
(1)在職中の支給停止(※)
賃金(正しくは標準報酬月額)と年金の合計が28万円を超えると
年金が一部又は全部支給停止になります。
配偶者等の扶養手当の意味合いの加給年金が支給される方は、
加給年金を除いて合計「28万円」で算定します。
※短い勤務時間等で働いている社会保険適用対象外の方は関係ありません。全額支給されます。
この28万円を超えた部分が「支給停止」の対象となります。
賃金が多ければ年金の支給停止額も多くなります。
例えば、賃金が20万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は1万円です(29万円)。
例えば、賃金が20万円、年金が8万円の方の場合、支給停止はありません(28万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は6万円です(34万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が8万円の方の場合、支給停止は5万円です(33万円)。
( )内は税引き前総額。
賃金が46万円以下の人の場合は、賃金と年金の合計が28万円を超えると、
その超えた額の半分が支給停止になると覚えておくと、わかり易いかも知れません。
(2)高年齢雇用継続給付受給中の支給停止
「高年齢雇用継続給付」とは、60歳定年時の賃金と、その嘱託等後の賃金が
75%未満に低下した場合に、最大で賃金の15%の範囲内でお金がもらえるという制度です。
仮に、40万だった人が20万に低下したら、賃金の15%=3万円が受給できます。
雇用保険から「高年齢雇用継続給付」を受給している人は、(1)の在職中の年金の
支給停止に加え、更に年金が最大、賃金の6%の範囲内で支給停止されます。
賃金の低下率が大きければ年金の支給停止は限りなく6%に近づき、
低下率が小さければ年金の支給停止は限りなく0%に近づきます。
例えば、高年齢雇用継続給付を受給していると、
賃金が40万円から20万円に低下した人は、年金の支給停止は1.2万円(支給停止率6%)。
賃金が40万円から26万円に低下した人は、同じく1.452万円(支給停止率4.02%)。
定年後、嘱託等で賃金が40万から20万に低下(低下率50%)し、
その人の老齢年金が10万円とします。すると、
(1)在職中による支給停止で、1万円の支給停止。
(2)高年齢雇用継続給付受給による支給停止で、1.2万円の支給停止。
合計で、年金が2.2万円支給停止になる、こんな感じです。年金は7.8万円受給ですね。
この例で被扶養配偶者がいる場合は、
・賃金 20万円
・年金 7.8万円
・加給年金 1.86万円
・高年齢雇用継続給付 3万円
合計 20万+7.8万+1.86万+3万円=32.66万円が税引き前総額ということになります。
もっとも、60歳台前半の老齢年金は、段階的に繰り上がっていきますので、
現在60歳に到達した男子は61歳にならないと年金がもらえません(女子は5年遅れで実施)。
この場合は、賃金+高年齢雇用継続給付のみとなります。
●65歳以降の老齢年金の支給停止
65歳以降も在職している場合は、まったく年金がもらえない、と思っている人がいます。
しかし、それは間違っています。
65歳以降は、初めて、国民年金から老齢年金が支給されます(全国民共通)。
国民年金部分の支給停止はありません。全額もらえます。
65歳以降支給停止対象年金は、厚生年金(共済組合)の老齢年金の部分です。
この老齢年金部分のみ賃金額により支給停止があります。
65歳以降の老齢年金(厚生年金・共済組合)は、賃金と年金の合計が月46万円を
超えたら、その超えた部分の半額が支給停止の対象になります。
① 賃金が30万円、年金が15万円の方は合計45万円。年金は全額支給です。
② 賃金が40万円、年金が18万円の方は合計58万円。年金は6万円支給停止になります。
②の人の例でみてみましょう。
・賃金 40万円
・国民年金 6.5541万円(40年加入の場合)
・厚生年金 12万円
合計 40万+6.5541万+12万=58.5541万円
このように、65歳以降の年金の支給停止は、一般的な額の給与所得者の場合は
あまり目くじらを立てることもないのです。
自分自身の年金額は、年金事務所や年金相談コーナーに行き、聞くことができます。
年金手帳と認印を持参してください。年金額は紙で出力してもらえます。
わからない数字や年金支給停止について、その場で詳しく聞くことができます。
正しい知識で、理解が深まります。
ネットより抜群の効果がありますよ。

