「今度、海外の企業へ派遣されることになったのですが、
自分の年金はどうなるんでしょう?」
そんな質問を受けることがあります。
海外派遣の場合は、就労先の国の年金制度の適用を受ける場合がありますので、
初めて海外へ派遣される方は、自分の年金がどうなるのか不安ですよね。
●二重加入の問題
日本の企業に勤めている方が海外に派遣される場合は、日本の企業の従業員
である限り年金制度の加入はそのまま続きますが、派遣先の企業でも
その国の年金制度に加入しなければならない場合があります。
このように、年金保険料を二重に払わなければならないという
「二重加入の問題」が生じる場合があります。
●保険料掛け捨て問題
また、派遣期間が短い場合は、せっかく派遣先国の年金制度に加入しても
加入期間が短いため、年金が受けられないという「保険料掛け捨ての問題」
が生じる場合があります。
●14ヵ国との社会保障協定
以上のような問題を解決するため、日本は、平成12年より、ドイツ、イギリス、韓国、
アメリカなど14か国と、次のような「社会保障協定」を結んでいます。
・派遣期間が5年未満の方
申請により、海外派遣期間中でも、そのまま日本の年金制度に加入し続け、派遣先国の
年金制度への加入が免除されます。
・派遣期間が5年以上の方
申請により、海外派遣期間中は派遣先国の年金制度に加入し、日本の年金制度の加入が
免除されます(資格喪失届が必要です)。
・年金期間の加入期間の両国通算
派遣期間が5年以上等の方が申請により、派遣中は派遣先国の年金制度に加入することに
なった場合は、年金加入期間は日本の年金期間と海外の年金期間が「通算」されます。
各国の制度にもよりますが、例えば、
日本の年金制度に20年加入し、派遣先国の年金制度に5年加入した場合は、
全部で年金の加入期間が25年になり、日本の年金も派遣先国の年金も両方
受給することができる、という具合です(相手国の制度によります)。
(但し、イギリス、韓国とは、この通算協定は結んでいません。)
●ご注意
上記の取り扱いは、日本の企業から派遣される方に限られ、
日本の企業を辞めて、協定相手国で現地採用された方は除きます。
この場合は、普通に現地の年金制度の適用を受けることになります。
●配偶者の年金はどうなるの?
海外派遣された人の被扶養配偶者の年金はどうなるのでしょうか。
・派遣期間が5年未満等引き続き日本の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第3号被保険者のままです。
・派遣期間が5年以上等海外の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第1号被保険者となります。
この場合、配偶者が海外に居住している場合は、国民年金は強制加入ではなく
任意加入となります(20歳以上65歳未満に限る)。
●年金の申請はどうするの?
年金を受け取る場合の手続きは両国で行えます。
・日本の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能
・協定相手国の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能
――どうです? 結構便利な制度ができているのですね。
各国の年金事情が違いますから、協定相手国が一律同じ内容というわけではありませんが、
原則的な「社会保障協定」の考え方を知っていただければ幸いです。
年金もかなり国際化されてきているといえます。
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自分の年金はどうなるんでしょう?」
そんな質問を受けることがあります。
海外派遣の場合は、就労先の国の年金制度の適用を受ける場合がありますので、
初めて海外へ派遣される方は、自分の年金がどうなるのか不安ですよね。
●二重加入の問題
日本の企業に勤めている方が海外に派遣される場合は、日本の企業の従業員
である限り年金制度の加入はそのまま続きますが、派遣先の企業でも
その国の年金制度に加入しなければならない場合があります。
このように、年金保険料を二重に払わなければならないという
「二重加入の問題」が生じる場合があります。
●保険料掛け捨て問題
また、派遣期間が短い場合は、せっかく派遣先国の年金制度に加入しても
加入期間が短いため、年金が受けられないという「保険料掛け捨ての問題」
が生じる場合があります。
●14ヵ国との社会保障協定
以上のような問題を解決するため、日本は、平成12年より、ドイツ、イギリス、韓国、
アメリカなど14か国と、次のような「社会保障協定」を結んでいます。
・派遣期間が5年未満の方
申請により、海外派遣期間中でも、そのまま日本の年金制度に加入し続け、派遣先国の
年金制度への加入が免除されます。
・派遣期間が5年以上の方
申請により、海外派遣期間中は派遣先国の年金制度に加入し、日本の年金制度の加入が
免除されます(資格喪失届が必要です)。
・年金期間の加入期間の両国通算
派遣期間が5年以上等の方が申請により、派遣中は派遣先国の年金制度に加入することに
なった場合は、年金加入期間は日本の年金期間と海外の年金期間が「通算」されます。
各国の制度にもよりますが、例えば、
日本の年金制度に20年加入し、派遣先国の年金制度に5年加入した場合は、
全部で年金の加入期間が25年になり、日本の年金も派遣先国の年金も両方
受給することができる、という具合です(相手国の制度によります)。
(但し、イギリス、韓国とは、この通算協定は結んでいません。)
●ご注意
上記の取り扱いは、日本の企業から派遣される方に限られ、
日本の企業を辞めて、協定相手国で現地採用された方は除きます。
この場合は、普通に現地の年金制度の適用を受けることになります。
●配偶者の年金はどうなるの?
海外派遣された人の被扶養配偶者の年金はどうなるのでしょうか。
・派遣期間が5年未満等引き続き日本の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第3号被保険者のままです。
・派遣期間が5年以上等海外の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第1号被保険者となります。
この場合、配偶者が海外に居住している場合は、国民年金は強制加入ではなく
任意加入となります(20歳以上65歳未満に限る)。
●年金の申請はどうするの?
年金を受け取る場合の手続きは両国で行えます。
・日本の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能
・協定相手国の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能
――どうです? 結構便利な制度ができているのですね。
各国の年金事情が違いますから、協定相手国が一律同じ内容というわけではありませんが、
原則的な「社会保障協定」の考え方を知っていただければ幸いです。
年金もかなり国際化されてきているといえます。

