命に触れること。

先日の夜のこと。
いつものように残業しての帰り。数日雷雨が多く、この日も激しい雨の合間の小止みの時間だった。
もう少しで自宅周辺という路上で、横向きに道を塞ぐものが見えた。
道幅の左右は空いているようなので、『落ちているものを避ける場合、右か左か…』と数秒思考をめぐらし、物体を右にして左から通過するのを選んだ。
通り過ぎながら落ちているものを目視。
野生のイタチのようだった。
大きさはハクビシンのようにでっぷりしている。でも、鼻筋が短く顔が丸めなのでいたちと思う。きっと車が来てるのに横切ってしまったのだろう。
数m通り過ぎて、前を向いたままバイクを止めて数秒考えた。
思い浮かんだのは親しかった友人が、そういうものを見つけると必ず路肩に寄せてあげていたこと。持っているタオルでも何でも使って必ず。
私はそういうものに触れるのが苦手だ。
しかしそれは、母親が刷り込んだ考えだ。
何の理由か分からないが、路上に落ちて死んでいた雀を触ろうとした幼い私に『汚いから触っちゃだめ。』って。
確かに、綺麗に生活している人間が、野生のものに急に接したら強い病原菌なんかにやられることがある。間違った教えではない。

少し迷ったが『えーい』とばかりにUターン。
片道1車線で、その時間は殆ど車は通らないから決心した。
周辺が暗いので、あとからくる車に再度轢かれるのも時間の問題だ。

前側か後ろ側かか‥バイクをどっち側に止めるかも迷った。
近くにアパートがあるのでエンジンは切る。
この日に限って、雨用のグローブがなく、素手だった。
頭をめぐらしたが、大きめのタオルなんかは持っていなかったので、バイクのかごに入っていたビニールの袋を手に取り、死んでいるイタチを包むように脇のあたりを持ち上げた。

『あ‥』っと思った。
まだ轢かれたばかりだったのだろう。随分身体が温かだった(._.)
脳震盪を起こしていたら助かるのかもしれないと、顔を覗き込んだり少し揺すったりしたが、目を閉じた苦しそうな顔つきは変わらなかった。
包んだビニールをずらしたら血がついていたので諦めた。
少しでも柔らかいところ‥と、空き地の草むらに置きかけたが、そこは草刈りが時々行なわれ、そうか持ち主がいるだろうな…と思い直し、すぐ手前の歩道の側溝の蓋の上に横たえた。
ビニールはどうする？
そう思ったが、目印になるし、雨も降っているのでカッパ代わりでいいかもしれない。そのまま着ておいてもらうことにした。

それにしても熱い体温だった。素手で抱き上げたから余計だろう。
ふわふわの毛皮と肉付きと体温と…しっかり記憶に残るものとなった。
ただ生きるために歩いていたのに、人間の使う鉄の塊が飛んでくる日常。
命を落とす野生動物はたくさんいるだろう。
家猫も時々犠牲になっている。

そんな虚しいことを考えながら帰途についた。
バイクだから、カッパを着てる分、自由に作業できたのが良かった。車だったら傘さしてうまくできないところだった。

翌日はその地区の環境課に電話。
埋葬できないのが残念であった。数日悲しい気分を引きずり、毎日そこを通るときは冥福を祈る。子供はいなかったろうか…。

どういう意味??

暫く気持ちが動かなくなっているので日常の出来事にも書くこともない状態だったが、久々にイラッとした話。

メンタルで休んでいた人がおり、1ヶ月で落ち着いたとかで出勤してきた。
上司が言うには、今まで端っこだった座席を私と交代して真ん中にしてはどうかという。
へえ。
いい大人がねえ。
以前メンタルだった人にはなんの対応もなく、可哀想な雰囲気をわざわざ醸している人間には大層な手厚さだと思う。へー。
まあ、関わることはない。勝手にすればいいので、私はこれから一番窓口側の端っこの席である。「係の総括的存在」と言ってる割に酷い対応である、と苦笑いするがな。

仕方なく机を移動し始めたら、イベント好きなおばさんが同じように立ち上がっているので、何度か「仕事しててもらっていいですよ」と言った。落ち着いて仕事できないって言うが、わかったようなことを言って仕切りたいだけだから手伝って欲しくない。

全く、それにしても、机を急に動かせと言われてもどういう想像をしているんだろう。私はちっとも仕事が減らないので整理整頓する時間もなく、机はいつも書類で溢れている。全部どかせっていうのか？全く…急に言って人を動かすから、うちの係長は将来有望視されてるらしい。馬鹿らしい。
周囲に気を遣う人に是非習得していただきたい。気遣いは愚鈍だそうだ。人に気を遣わないことが出世やデキるやつと思わせるコツだって。嫌な世の中だ。
世の中で褒めそやされてる人間を見ててもわかるだろう？ご尤もな話をしても、聞き手の都合には理解を示さず、こっちは不完全燃焼で受け取ってもらえなかった会話があったことで虚しくなった人はたくさんいると思う。


こっちの都合は無視をして（そんな作業を始めたら、小一時間仕事にならない。仕事の遅れを気にしているとは思えない話だ。それで出世されるって言うんだから本当に馬鹿らしい。）平気で人を巻き込む態度にもイラッとしたが、机を動かしているときに、当事者のメンタルのやつが自分のせいで作業が発生したって悲観しないようにさせる心理が働いたので、雑談を出した私が「よくみんなフラットな机で顔突き合わせて仕事できるよね」（これには、「片付ける時間があるほど暇でいいよね」っていう嫌味も含んでいる。愚鈍な人間が多いので何を言われているか解らないだろう。）って言ったら、おばさんが「仕事だからね」と言った。
私は他人より光を強く感じ、眩しいから机の上にボール紙で衝立を作って立てている。何も遮るものがない場合、ビルの端っこの我が執務室は窓が多い。PC見てるとその向こうに窓があるのだが、無神経な人間がブラインドをサッと開けることがある。アホじゃないかと思う。明るいとかではない。鈍いと感じないから言っても無駄だが、PC見てる瞳孔にそれ以上の光が入るとどうなると思う？
地下鉄でもスマホを信じられない明度で見ている人間がいるが、鈍い人間って本当に多いよね。
私は右目の瞳孔が閉じにくいのか、眩しさが脳に響き、頭痛となって痛みで何もできなくなるのだ。刺すような痛みで右目が開いているのか閉じているのかさえ分からなくなってくる。個性と思って可哀想な雰囲気を出さないようにはしているが、今回のメンタルな人を見ていれば弱者度をアピールした方が周囲は同情してくれるのだ。
そんなのしたくないから自衛策で衝立を立てているんだが、何人かに話しても周知の事実にはならなくて、いちいちわざとらしく話題にしないといけないのだ。いちいち自分で言うと変人度が増すのは解っている。でも痛みには変えられないのだから我慢して説明している。言わなくても訊いてくる程の人はいない。気にせず変人と思われてれば一緒なんだけど。

話は戻るがおばさんが発した返事が意味が分からなかったから、つい聞き返した。「仕事となんか関係あるの？」と。
すると、「そんなこと気にならないよねー。仕事しながら。自意識過剰じゃないの？！」って言いやがった。

は？なんでお前にそんなこと言われないかんの？

なんでこう失礼な人間が多いんだろう。
自分の不躾を棚に上げ、自意識過剰！

はは。笑える。

今まで遠慮していたが、そういう感覚で人を見てるんなら、もっと事務的に接することにしよう。口調に冗談っぽさは微塵もなかった。気にせず出た本音だろう。
いやらしい話を私に仕事中だというのにしてくる男がいたから、おばさんがセクハラ相談員を務めたときに相談したが、きっとあの時も自意識過剰って言われていたんだろう。

このおばさん、新しく入社して数年の女性とトラブルを起こし、あわやパワハラで失職させるとこだったのだ。
うちの課を異動先に選んでるって聞いたとき、社交辞令で「お待ちしてますね」って言ったのはそんなの希望通らんぞって思っているからだ。まさか本当に来るとは思っていなかった。

来たときから態度には感じていたが、いちいち棘のある女。一緒に仕事したくない。

言われたことがPTSDとなった為、今日も時々反芻していたが、思い当たったのは、私はPHSだが自意識過剰ではない。正直みっともない人間を目の当たりにしたくない方だ。
数年前によく書かせてもらった惚婆が正面にいるとき、最初はフラットな机で仕事していたが、奇行ばかり目にするので鬱陶しくてファイルを置くようにした記憶がある。前の前の事務所でも机の上はフラットだったわ。そうそう。
前にいるのが好きな人間なら率先して何とか光を避ける努力をして、壁は立てないようにする(笑)

自意識過剰？ ふざけんじゃないよ。