(2024.8.18 読了)
(2024.8.18 読了)
数ヶ月、アンソロジーばかり読むことになっている。
短編ばかりなので記憶に残らないし、色んなテーマで編纂されているので、同じ話がまた出てくるといった興醒めな部分があるので暫く感想はあげていないが、少し読みごたえがあるものがあったのでご紹介しよう。
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『ホラー・ミステリーアンソロジー 魍魎回廊』朝日文庫
生活の中に潜む魑魅魍魎。他の文庫にも載っていたが、小野不由美さんの『雨の鈴』はヒタヒタと近づく恐怖に冷ややかな気分を味わう。意外だったのは京極夏彦さんの『鬼一口』がそれほどヒタヒタ来なかったことかな。
全体的に恐怖、ホラー、怪異を感じるほどではなかったのでホッとした😅 どちらかと言えば、ミステリー、謎解き的。
著名な作家さんが名を連ねるので読みごたえのある一冊だったと思う。
そして2冊目。
『アミの会(仮) アンソロジー 迷 まよう』実業之日本社文庫
こちらも日々の生活の中での迷い、から起こる世界。確かに...と思わせられる着眼点である。自分が生きる時間とそうでない時間。自分の考えること、そうでないことを考えることはあるだろうか。世界は一面ではない。自分一人も他から見れば違うものである。 そんなことをじっくり考えさせてくれる一冊。
こちらは知らない作家さんがほとんどであったが、読みごたえある一冊だった。
続編で『惑 まどう』も今年2月に出ているようだ。両方合わせれば『迷・惑』😃 読んでみようと思う。
『薬指の標本』 小川 洋子 著 2022.8.19読了
次の二話からなる1冊。珠玉の2話だそうだ。
『薬指の標本』『六角形の小部屋』
なんというかな、現実ではあり得ない話である。1話めも標題と冒頭の一文でほんとに標本か...と、ホラーな展開を想像してしまった。
借りるときの一言が、『自分とは「怖い」っていうイメージが違うみたいだから』だったから増幅する。
てっきり人体の標本でも扱う小説かと思った。
読み進んでもそこまでじゃなかったから良かった😅
小川さんはお名前は知っていたが読んだことがなかった。ストーリーの作りがしっかりしている。
梨木香歩さんの書き方と似ているが、梨木さんほど迷宮に入らない。きっちりゴールを目指しているっていうのかな? 小説家の想像力に入り込まない感じでスッキリしていた。
迷宮に入る方は、3行読むのも苦労する。グルグル回ってもイメージが重ならなくなる。ついに飛ばしてしまうこともある😵
この本の2話はスッキリしていたから一気に読める感じ。不思議な世界を味わえる。
『シャドウ』 神田 茜 著 2022.8.16読了
神田茜さんの本はハラハラする。一気に読み耽るストーリーである。
今回は売れっ子女優である姉を支え続ける妹が、姉から離れられるのか...と、ずっとハラハラする。姉はしたたかな性格なので放っておいても良いように思うが、小さい頃から姉を信頼しすぎている妹にはそれがわからない。
姉に尽くすのが当たり前に身についてきたのだ。疑うことも知らないから人間関係の多い人間からすれば疑問に思うことも多い。
キーパーソンは、妹に恋した青年。恋した理由も切ないのだが、姉にしたら、こいつが姉妹の関係を崩したようなものだろう。しかし姉の策略に二人は翻弄され続ける。
何よりもラスト... それはないでしょう?という終わりかた。
読み終わって、『神田茜 シャドウ 続編』よ検索してしまった😅
どうやら、今のところ続編は出ないようだ。読者を放り投げたままにしないでほしい。 青年を想うあまり垢抜けて自立した生き方ができるようになった妹。人間、やりたいことが見つかると光出すものだ。美しく成長した妹ももう30代...青年と人生を歩んで行ってほしい。
『ビオレタ』 寺地 はるな 著 2022.8.10読了
寺地さんの小説は展開が想像つかないのに読みごたえがあるから面白い。今回は嬉々として病室に持ち込んだ甲斐があった。
のめり込めるストーリーでないと、他の患者の動向が気になってストレスフルとなる。
よくもこう、登場人物がバラバラな立場で事情も異なるのに うまく作り上げるなあ...と毎回思う。
結婚目前で別れを切り出され、雨のなかで泣き崩れる女と、それを拾った女。拾った女が経営する店には見えない雑貨屋の名前が『ビオレタ』だそうだ。
破談女が繋ぎで付き合ったかなり年上の男性がビオレタ店主の元だんな...ややこしい...っていうか、人間関係のどろどろじゃん。
その他たくさん登場人物がいる。なかなか面白いから読んでみるといい。