久保裕也 サッカー日本代表落選について「すべてを受け止め、前を向く」
6月に開幕するロシアW杯を前に、苦悩し、進化し続けている若きストライカーが、その知られざる思いを「ゲーテ」だけに綴る連載エッセイ。
テレビを見ながら、ワールドカップロシア大会の日本代表メンバーの発表の瞬間を待っていた。正直、メンバーに選んでもらえるだろうと期待していた。代表では、いいときもあったし、悪いときもあった。それでも苦しい予選を戦ってきた。もがきつづけるなかでチームワークも生まれてきていた。クラブでも試合に出続け、ゴールも重ねてきた。コンディションも上がってきている。
リーグが終わり、日本に帰ってきてからも、いつでも代表チームに合流できるように厳しいトレーニングを重ねていた。できることはすべてやってきた。名前を呼んでもらえれば、ロシアで自分の持てるすべてを出し切る気持ちでいた。
ついにそのときがきた。自分の名前が呼ばれるとしたら最後になるだろう。だが、西野朗監督がひとりずつ読み上げる名前を聞きながら、いやな予感がこみあげてきた。自信があったはずなのに、なぜか急に不安な気持ちになった。そして、その悪い予感はあたった。僕の名前は最後まで呼ばれることはなかった。
落胆、悔しさ、悲しさ……いろんな感情が一気に吹き上がってきた。なんでやろ? なにが足りなかったんやろ? 何度考えても答えが見つからない。発表が終わってからも自分の気持ちを整理することができなかった。正直に言えば、発表から数日経ったいまでも、整理できないままの気持ちを無理やり抑えているような状態だ。
この感情をすべて受け止め、忘れず、そして前を向こう。
いま自分に何度もそう言い聞かせている。ここ数年は、リーグが終わると日本代表に合流していた。6月になにも予定がないのは久しぶりだ。思いがけずに空いてしまったこの時間を、自分の未来のために使いたい。
いまの自分に何が足りないのか、とことん考えよう。先に進むために、まずは来シーズンをどう過ごすか。自分をどう進化させるか。そうやって1年、1年を積み重ねて、4年後のワールドカップでは、絶対に日本代表に必要だといわれる選手になっていたい。
少しリフレッシュしたら、あの日から止めてしまったトレーニングを再開する。いまの思いを、この悔しさを、この悲しさを、未来の糧にするために、僕は足を止めるわけにはいかないのだ。
(GOETHE)
大人の階段登る
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます