阿部ブログ

日々思うこと

世界一クールな電力会社イエロー・シュトローム(Yello Strom)社のスマートメーター

2010年11月29日 | 日記
ドイツは、1998年4月末より電気事業を全面自由化し垂直統合型の4大電力会社(RWE社、E.ON社、EnBW社、Vattenfall社)と、配電事業をメインとする約900社の地方自治体電力会社が乱立して競争している状況で、スマートメーターの導入も個々の事業者が個別にプロジェクトを進めており、ドイツ全体としてのまとまりがつかない状態となっている。

このような中で、ドイツ第3位の電力会社EnBW-EnergieBaden-Wurttemberg AGの子会社であり、世界一クールな電力会社と報道されているイエロー・シュトローム(Yello Strom)社(契約者数:約140万)の取り組み事例を紹介する 。

世界一クールな電力会社と言われる由縁は、上のような格好いい(クールな)スマートメーターを開発した事による。このメーターは、イエロー・シュトローム社自らが開発した。電力会社がスマートメーターを開発するのは珍しい。スマートメーターには、OSとしてMicrosoft Windows CEを搭載し、ウェブサーバーとクライアントが稼動している。

 http://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#

このスマートメーターは「Saving Meter」として2008年12月に販売が開始され、リースか買取りのどちらかを選択する。リースの場合には、月額$5.60から$11.24で、サービスや機能の種類によって変わる。米国などでは、電力会社がメーターを無料、若しくは低価格で提供するのが普通だがドイツでは違っている。このSaving Meterの販売総数は公表されていないが、1日当り100~200個売れていると言われている。

イエロー・シュトローム社のSaving Meterがユニークな点は、顧客のブロードバンド環境を使う所で、例えばTwitter のアカウントを持ち、自動的にエネルギー消費量をPostし、Microsoft Hohmでエネルギー消費量を確認する事も可能で、同様にグーグルのPower Meterにもアクセスできる。勿論、Saving Meterに付属するソフトウェアを利用することも可能。

Saving Meterは、家庭の部屋単位での電力消費量をモニタリングする。現状ではエアコン、冷蔵庫、TV、デジタル機器など家電の制御が出来るところまでは到っていないが、電力消費に応じてもっとも安い電力料金のサービスを受けること出来る自動選択機能を有している。ユーザーは電気料金設定をWebで簡単に確認できる。

イエロー・シュトローム社は、2008年末から顧客の電力消費情報のオンライン提供を開始し、2009年6月からグーグルのPower Meterを利用した情報提供を開始した。iGoogleにサインアップして利用すると15分刻みで詳細な情報が得ることができ、さらにドイツ各地の電力消費動向や電力会社の料金サービスの内容、省エネに関する情報もあわせて見ることが出来るようになる。
イエロー・シュトローム社は2007年からスウェーデンでも営業を開始しており、同社のクールなスマートメーター導入が期待される。

スマートグリッドからスーパーグリッドへ

2010年11月29日 | 日記
中国は2010年までに北部、中部、南部の3つの地域の電力網を相互に連結させる計画が進行中であり、800キロボルトの中国版スーパーグリッドを2020年までに構築するとしている。
米国電力研究所の研究によれば、もし中国と同じ800キロボルトの電力網を米国ないに構築すると、最大負荷時のロスを1万Mw(250万世帯に供給する電力と同じ)以上削減可能で、二酸化炭素の排出量も年間数百万トン規模で削減できると試算している。

北東アジアでも「環日本海・黄海電力網」が考えられる。地中海同様、日本海は内海であり、黄海まで範囲を広げると日本、ロシア、韓国、北朝鮮、そして中国が国境を接する。EUにはアフリカと言うグリーン電力供給地があるが、アジア版スーパーグリッドの場合には、中国内陸部がその候補となる。灼熱のタクラマカン砂漠など中国の砂漠地帯において太陽光・熱発電や風力発電など行い、東アジアや中央アジアへ輸出することが可能となるだろう。サハラ砂漠、タクラマカン砂漠のほかにも、雲がほとんどなく雨も降らない地域が過去の気象データから特定されている。カリフォルニアのネバダ砂漠、サウジアラビアのルブアルハリ砂漠、南米チリのアタカマ砂漠などである。

そのアタカマ砂漠で世界に先駆け東京大学が、5600メートルの山頂に太陽光発電所を建設し、発電した電気を電気抵抗なしの超電導ケーブルで、赤外線望遠鏡を備える天文台に電力を供給するという「Solar-TAO(ソーラー・タオ)」が動き出した。TAOは東京大学アタカマ天文台の略。東京大学が設置を計画中の天文台の電力をクリーンエネルギーで賄い、一部は地元の市に供給する。発電規模は決して大きくないが、高地砂漠地帯で実用規模の太陽光発電・超伝導送電する世界初の試みである。

今後のビジネスを考えた場合、スマートグリッドそのものをターゲットにするのではなく、インフラ構築と資源開発を織り込んだスーパーグリッド構築プロジェクトを世界各地で主導的に手がけることにある。
例えば、アタカマ砂漠やそのウユニ塩湖周辺において、大規模な太陽光&太陽熱発電所を幾つか建設し、電力不足に悩まされているアルゼンチン、ボリビア、チリなどABC三国のアンデス地域にグリーン電力を供給する。
このエリアに点在する約100近い塩湖でリチウムなどの資源開発を行い、更に南米屈指の潜在的グリーン電力供給地であるこの地域を核として南米スーパーグリッドを構築する。またこのスーパーグリッド構築と併せて、道路、鉄道、トンネル、橋梁などのインフラ整備も同時に行う。

特に、この地域においては、大西洋に面したブラジルやアルゼンチンと、太平洋に面したチリとを結ぶ、アンデス山脈を縦貫したシームレスな交通インフラの構築を行う事で、豊富な鉱物資源や農作物などを、新興著しいアジア・オセアニア地域に輸出する事ができる。これは世界的に見ても意義深いプロジェクトとなるだろう。

このようにスーパーグリッド構築とインフラ整備、そして資源開発を同時に行うことで、大きなビジネスを組み立てることができるだろう。既にビジネスのフロンティアは、アフリカや南米などにシフトしている。