♪探し物はなんですか~ 見つけにくい物ですか~♪ と、探し物をしていたわけだが、♪探すのをやめたとき~ 見つかることも良くある話で♪ と、井上陽水もカバーで歌った斉藤由貴も言ってるので、とりあえず探すのをやめていた箸箱のフタである。
それがタイトル通り、見つかったのである。踊ったり夢の中へ行ったりしないで見つかった。いや、途中、夢の中へは行ったかもしれないが、多分踊ってはいない。
見つかったのは食洗機の中。あの長くてそれなりにかさばるものが、どうやって食洗機のどこに収まっていたのか?
ある日、食洗機に食器をセットしようと、扉を開け、中のカゴを引き出そうと思ったとき、何となく違和感を感じた。
扉のすぐ下、食洗機の回転翼の干渉しないところに、黒い影がかすかに見えた。ん? こんなところに黒いパーツはないはずだが・・・あ! 箸箱のフタだ! こんなところに! 灯台もと暗し。しかしまあなんともピッタリと収まったものだ。
この食洗機というヤツは、細長いものを雑にセットすると、水流の勢いでバランスを崩し、カゴから滑り落ちることがある。そして、回転翼に引っかかってしまい、結果、ものすごく洗われてしまう部分と、全然洗われない部分とが出てしまったりするのである。洗い終わってカゴを引き出すときに当然引っかかってしまうので、気づかないことはない。それがどうだ、この箸箱のフタ、長さも大きさも結構あるにもかかわらず、回転翼にもカゴにも他の食器にも干渉しない場所に、奇跡のように収まって隠れていたのである。
一見して目につかない扉の下、カゴも回転翼も干渉しないところにピタッと収まって、ひっそりと毎日洗われ続けていた箸箱のフタよ、お前はどうやってそんなところに入り込んだのだ? お前は家庭内ブラックホールに入り込んでしまったのではなかったのか? そしてホワイトホールから吐き出され、布団のスキマから発見されるのではなかったのか?
ともあれ箸箱のフタは見つかった。感動の再会である。そして唯一無二のパートナー箸箱の本体とご対面だ。中の箸は、娘の使っていた箸箱に収まったままだったが、その箸を取り出し、長年の相棒だった箸箱の本体に収める。こころなしか箸が喜んでいるような気がする。
スライド式の箸箱のフタは、毎日過酷な熱湯で洗われていたにも関わらず、寸分の歪みも出さず、カチリと本体に収まった。
大学時代の劇団かっぱの同期、大阪在住通称じゃんぐるせぶんがやって来るというので、同じく同期の双子と、後輩でもあるカミさんを誘い、飲むことにしたのは17日の夜。直前のもりげき王の審査員で一緒になった、かっぱ時代の後輩、通称せばすも誘って店も予約してあとは集まるだけの金曜の夜。
この日は風が強かった。なんとなく心配になり、17時15分花巻空港到着便の情報を見てみた。あれ? 大阪空港じゃない? どこから来るんだ? あ、神戸空港発に花巻便があった。
すると、強風につき欠航! なに? 欠航? ということは、うっかり間に合わなかったら単なる地元にいるかっぱOBの飲み会になる?
とまあそんな危惧があり、すでに出発の途についているかも知れないじゃんぐるせぶんにショートメールで連絡を試みるモノの、通じない。まあ、旅慣れているヤツのことだから、なんかあったときは連絡をくれるだろうと、半分は心配しながら店へ向かった。 なんと言っても旅慣れているのスケールが違う。ヤツは北極や南極にまで出かけているのだ。うっかりすると1年間で地球を何周かしてしまうかも知れないような旅慣れなのである。
とはいえ相手は天候のことである。どうにもならない場合もあるよねぇ。
そんな心配は杞憂だったようで、ほぼ時間通りにヤツは、赤いシャツを着て現れた。家族や子どもたちの近況を報告し、和やかに酒宴はすすむ。「最近は南極とか行ってんの?」みたいな話から、「実はこの赤いシャツ、カンボジアで買った」みたいな話になり、「タグがついてないんだよ」と、首の後ろをめくって見せてくれた。
とある市場のようなところで食事中、通り向かいを見るともなく見ていると、何やらミシンで服を仕立てているところがあったそうだ。近づいて見てみると、なんだかよさげなモノだったので、「それを売ってくれないか?」と聞いてみたところ、ちょっとビックリされたらしい。でまあ、一応値切ってみたらしいのだが「これはそういうモノじゃない」と突っぱねられ、言い値で購入したという。
実際モノは丁寧に作られていて、布質も良く、確かに「そういうモノじゃない」感じだった。
そこから導かれるように、せばすはインドに行ったときの、絵に描いたような詐欺に遭いかけた話を始めた。
その日の宿泊は、目の前の駅を越えたあたりにあるのだが、その通路前には、何やらマシンガンのようなモノを持って立っている警官風情がいたらしい。「何かあったのか?」「ここは通れるのか?」などと逡巡していると、怪しげな男が寄ってきて「どうした? 何か困ってるのか?」みたいに話しかけてきたという。「ここは通れるのか? 向こうのホテルに行きたいのだが、もしかしてなんか事件があったのか?」みたいなことを聞いてみると、「そのホテルで爆破事件があって泊まれないから、オレが別のホテルを紹介してやる」みたいなことを言われたという。
でもそれって、ガイドブックに書いてある典型的な詐欺の手口なんだよねぇ。とまあ、そういう絵に描いたような詐欺に声をかけられたのが、警官風情の目の前! でもその警官風情は何にも言わないらしい。注意くらいしろよ! と思ったそうだ。そりゃそうだよね。
とまあ、世界はいろいろだなぁと。
急に思い立ったわけでもないのだが、家族が揃っているので、山田の道の駅「おいすた」に行ってみようということになった。ここのところ、沿岸に新しい道の駅が出来たりなんだりそういうニュースが結構あって、そのうち行ってみたいと思っていたのだ。
それが5月2日のことである。前の記事が1日のことなので、出来事的には2日連続だ。まあゴールデンウィークは、いろいろと出来事があるわけですね。
朝の天気は快晴。ゴミ捨てに出たときの青空があまりに見事だったので写真を撮ってみたが、あんまり再現度は高くない。まさに雲ひとつない空だった。
ドライブ日和ということで新緑を愛でながら106号線を東へ。宮古までのみちのりは随分速くなったものである。学生時代に夜中車を飛ばしていったころは2時間かかっていたが、それが1時間ちょっと。
宮古までは順調だったのだが、三陸道の分岐でうっかり道を間違えた。宮古港の方に行ってしまったのである。まあ急ぐ旅でもないので、45号線を南へ走り、途中で三陸道に入る。
ところが、そこでもまたうっかり発動! 宮古市内の方に戻って来てしまったのである。さすがに2回間違うと、もしかしたらオレたち家族は永遠に山田に到達できないのではないか? もしかしたら何か大きな力が働いていて、オレたちを山田に近づけないように結界が張られているのではないか? という疑念がよぎる。
疑念はよぎったが、さすがに三度目の正直、というわけで、なんとか山田にたどり着いた。目的の「おいすた」に到着。
実はここにカミさんの教え子がいて、クレープ屋さんをやっているのだった。カミさんは、かつて某専門学校で非常勤講師をしていた。公衆衛生かなんかの授業を持っていて、教え子たちはパティシエ科に所属していたという。
そんな教え子が作るクレープを食べるのもひとつの目的。ここでハタと気づく。オレ、クレープ食べるの何年ぶりだろう? 少なくとも10年くらいは食っていない。そういう意味でも感慨深い。結構いろいろ種類はあるのだが、オレが選んだのは山田せんべいのクレープ。生地にごまが入っていて、トッピングにも山田せんべいがあしらわれている。
そんな久しぶりのクレープはもちろん美味しかったのだが、なかなかボリューミーであった。結構ね、お腹にたまるのね、クレープ。
腹ごなしに風光明媚なところを検索してみると「山田湾展望台」というところがある。行ってみると、なんか扉があって、フォトスポットみたいになっている。掲示板を読むと、どうやらアニメ「すずめの戸締まり」で登場する場所らしい。
映画は未見なのだが、聖地巡礼をしてしまったようである。
とにかく天気が良かったので、山田湾の眺望は素晴らしかった。オランダ島と周りの養殖いかだが、濃い青の海と鮮やかな青の空とに映える。
お昼は「梅の家」というところで食べたが、ここの牡蠣フライは今までで1番美味いくらいの牡蠣フライだった。まあ、オレ食ってたのは、牡蠣フライの入っていない定食だったんだけど、心優しき息子が一口くれた。いやほんと美味しかった。
そして、お土産は「びはん」で買うことにしていた。オレはどっか行ったときには、必ずと言っていいほど地元のスーパーに寄って買い物をしたいのである。お土産屋さんで売っているものと同じものがあったりして、それは大概安い。
何を買ったかというと「イシモチ」。丸ものの魚である。最近息子が魚をさばくことを覚え、何かと丸ものをさばきたいようで、それならばと、あまり見かけない魚を買ったのであった。沿岸のスーパーは、地物の、盛岡だとあまり見かけないような魚が安く売っているというのもありがたいのである。
そして帰りには、新里の「湯ったり館」でサウナも堪能し、充実の日帰り旅だったのである。
一般的に考えれば「物置に片付ける」のが普通だと思うのだが、今回は「物置を片付ける」なのだ。どう言うことかというと、その字面の通り、物置を片付けたのだ。
我が家には屋外に置いておく物置が2つあった。1つは駐車場のところに置いてあり、ペレットストーブに使うペレットが置いてあったり、高圧洗浄機や鎌や塗料や簡易セメントなどが入れてある。
もう一つは家の裏に置いてあり、テントや電気チェーンソー、斧、バーベキューコンロなどが入っていた。このやや小さめの物置は、お隣のYさんからもらったモノで、かなりの年季が入っているモノだった。とはいえ、ものを入れておくのに不便はなかった。戸の開け閉てに苦労することを除いては。
駐車場の物置で、主にスペースをとっていたのはペレット。多いときには40袋以上入っていた。そのため、そのスペースは確保しておかねばならなかった。しかし、この春、ついに薪ストーブに入れ替えることにして、ネスターマーティンがやって来た。
そうなると、ペレットのスペースが空くことになる。薪は物置には保管しないので、ペレットのスペースが丸々空くということになった。となると、開け閉ての手間がかかる小さめの物置の中を整理し、物置を1つにまとめたほうがいいんじゃないか? と考えた。
考えてはいたものの、そういうことはなかなか実行しない。しかし、この日5月1日は天気が良かったので、とりあえず小さい物置の中身を移すくらいはやってみようと、片付けを始めた。
その作業が案外サクサクと進み、とりあえず、物置の解体まではやってみようと開け閉ての大変だった引き戸を外した。構造はそれほど複雑ではないものの、結構サビが来ているので、ネジを外すのが大変そうなところがありそうだった。
実際外しにかかってみると、サビでネジが回らないところもあり、なかなかの難儀である。うちの電ドラはインパクトではないので、ネジ山もナメてしまったりして、すんなりとは解体されてくれない。
しかしまあ、サビてるので脆い。背板を外し、平行四辺形にゆがんだものを何回か折りたたんでいると、徐々に金属疲労で切れてくる。
そんなこんなで格闘すること約1時間。物置の中身は移動され、本体はは解体された。勢いがついたので、駐車場まで廃材を運んだ。
そこで平日だったことに気づき、もしかしたら、リサイクルセンター開いてるじゃん! と思いついた。調べてみると、やはりやっているらしい。
そんなわけでそいつらを車に積み、ついでにペレットストーブの灰も引き受けてるらしいので、それも積む。
結局、物置の中のモノの移動から、解体、廃棄まで済ませることが出来た。これを最初から、全部片付けようとしていたら、恐らく手を付けずにいただろう。せめて中身の移動くらい、とハードルを下げたので、勢いがついたのだ。
よく、やる気の出ないときどうするか? という質問に「とにかくなんでもいいから手を付けてみる」と、回答されるのだが、真意をまさに体現した出来事になった。やる気の出ないときは、なんかやってみると勢いついちゃうよ、ってことですね。