ある朝、朝食のおかずの明太子を箸でちぎり取って口に入れたとき「この味わいはピリ辛ではないのではないか?」という疑念が、というか、ある確信が頭をよぎった。
この世の中には「ピリ辛」と称される食べ物が数多あるのだが、そのほとんどは唐辛子の辛さのような気がする
この唐辛子の辛さ、それが日本の鷹の爪であろうが韓国唐辛子であろうがブートジョロキアであろうがハバネロであろうが、舌の上で即座にピリッと辛いと言うよりは、食べたのち、舌を含めた口の中全体がじわじわと辛くなり、度を超すと耐えがたい、と言う類いの辛さだと思うのだ。
この日、初めて「ピリ辛」という言葉と「ピリ辛と言われる食べ物の辛さ」との違和感に「ハタ!」と気づいたような気がした。
それまでは、ハッキリとした違和感はなく、そういうものだと受け入れていたのだが、ある朝に「ピリ辛」という言葉と「ピリ辛と言われる食べ物の辛さ」との違和感をハッキリと意識したのだ。
「山椒は小粒でピリリと辛い」という言葉はどこかで聞いたことがあると思うが、というか、「山椒は小粒で」まで入力すると「ぴりりと辛い」と予測変換されてしまうほどの慣用句だが、これは感覚としても間違いがないと感じる。
舌の上に触れた瞬間に、痺れるような感覚が直撃するからだ。つまり、これが「ピリ辛」なのではないかと思ったのである。同様に舌の上で即「ピリ辛」と感じられるものは「胡椒」ではないか? それ以外は「ピリ辛」とは違うのではないか? と、気づいてしまったのである。
もちろん、そんなことを考えない、あるいは「それはピリ辛だよ」という意見もあろう。「んじゃワサビはどうするんだ?」とか「和辛子は?」「タバスコは立場はどうなんだ?」という意見もあろう。
ワサビは鼻からツーンと抜ける辛さなので、あえて名付けるとすれば「ツン辛」。和辛子も感覚的には近いので「ツン辛」を採用してみよう。となると唐辛子はジワジワと辛みが広がり、強くなっていくので「ジワ辛」。タバスコは酸味とともに辛みが来るので「酸っぱ辛」。当然「ピリ辛」は山椒と胡椒である。
とまあそんなことをカミさんに報告してみたのだが、全く同意は得られなかった。
フェスなるものに初めて行ってきた。何フェスかというと「チャグチャグロックフェスティバル」である。テレビ岩手が手がける初のフェスとのことで、出場メンバーのラインナップにも気合いが感じられる。
カミさんは奥田民生やユニコーンのライブがあると、東北ならば可能な限り駆けつけるという推し活をしている。今回のチャグロックには「地球三兄弟」が出るということで、当然参加の意志は固い。勢いで3人分の駐車場付きチケットを手に入れたのは、息子もオレも民生は観たいからである。息子は弘前から戻ってきて、参戦予定。
ちなみに地球三兄弟は、奥田民生と真心ブラザーズの三人組である。
チャグチャグ馬コ当日の6月8日、渋滞覚悟で岩手産業文化センター、じゃなかった、というか、じゃなくはないけど、ネーミングライツでそうなった、ツガワ未来館アピオを目指す。
拍子抜けするほど順調に駐車場までたどり着き、キャンプ用の折りたたみ椅子などを肩に会場まで徒歩。入場パスのリストバンドを付け入場口を通過し、まずは落ち着き場所を決めようと会場へ向かう。
客席は舞台側からスタンディング、持ち込み椅子、持ち込みテントと分かれていて、お目当てのアーティストのライブのときにスタンディングに移動することになっている。 オープニングはフライングキッズ。デビュー35周年になるそうだ。イカ天初代グランドチャンピオンの実力はオープニングアクトとして会場全体を温めてさすがである。
続くフジファブリックでは、息子がスタンディング席に参加し、その後、隣の馬っこパークに抜け出し、なじみの豚ブドウちゃんにごあいさつしたりして会場に戻る。食事ブースも充実していて、しかも、無茶に並んだりしていないので、すんなりと昼食にありつくことも出来た。
バンドの入れ替えで30分くらいあり、それぞれの演奏も大体30分前後。アンコールはないので、粛々とプログラムが進んでいく印象である。
地球三兄弟の前には、日向坂46が炎天下に踊ってて感心。この日1番のスタンディング席の入りだったようだ。入れ替えでオレたちもスタンディング席に移動。それなりのポジションに無理なく入り込む。
地球三兄弟は、ゆるーく登場し、例によって民生の飲み物はビール。すでに顔は赤かった。さすがに演奏は確かなモノで、実は良く知らない地球三兄弟の曲も堪能できた。
名前だけは知っていた水曜日のカンパネラや、名前も知らなかった羊文学もそれなりに楽しめて、やはりライブは良いモノだと再確認した。しかもフェスって、立ったり座ったり盛り上がったりダラダラしたりが、自由に出来るところが良い。
最後のウルフルズにも心惹かれたが、疲れちゃうので後ろ髪引かれながらも会場を後にした。
総じて初フェスは良いモノでした。何しろ混み具合が絶妙で、これ以上混み混みにならないでいただきたい。去年のコーヒーフェスは、あまりの混雑に途中で挫折した。だってコーヒー1杯飲むのに1時間待ちとかだったからねぇ。3杯飲めるチケットだったけど2杯で引き揚げちゃったからね。
まあ、そういうことにならないくらいの実に絶妙な会場コントロールだったと思う。来年も、お目当てのバンドが1つあれば参加して良いフェスだと思ったね。
https://blog.goo.ne.jp/abusann/e/dc7432d9a8f03990cb1a6242fc02a27d
上の記事以来の東京に行ってきた。前回は渋谷だったが今回は新宿と王子である。新宿は所属している日本劇作家協会の総会で、芸能花伝舎という、稽古場と演出者協会が入っているところ。ビルの谷間に取り残されたような小学校の跡地を利用した施設である。
王子は震災10年企画のとき協力してくれた、熊本の「劇団きらら」がちょうど公演中ということもあり、初めて足を運んだ。王子スタジオ1という、幹線道路に面した小さな劇場。
まずは芸能花伝舎での総会。最寄り駅は西新宿ということで、新宿乗り換えで地下鉄丸の内線に乗らねばならない。盛岡からだと、大宮乗り換えで湘南新宿ライン、もしくは埼京線が便利らしい。
新宿駅から丸ノ内線を探して歩いているうちに、新宿三丁目駅に到達してしまう。東京は一駅くらいあっという間だ。西新宿まではもう一駅なのだが、歩くと大汗かきそうな気温だったので、大人しく一駅乗った。
総会は、対面と配信のハイブリッドで、これもなかなか手間がかかるが、遠隔の人もリアルタイムで参加できるのは、全国に会員がいる組織として、ありがたいことでもある。そんな総会は、滞りなく終了。
劇団きらら「きなこつみ物語」は、熊本のショッピングモールの、とある和菓子屋チェーンの店先を舞台に、新人男子店員とベテラン女子店員のやり取り、本部からの視察員、客として訪れる風変わりな人物などが交差し、それぞれの背景が見えてくるような作品。熊本弁を駆使しているが、理解できないことはない。役者たちの安定した力量と、小さな共感を積み重ねていく展開に説得力があり、前のめりで観てしまう。遠く離れた熊本でこういう芝居を作っていると思うと、なんとも励まされるものである。
この日は宿泊予定で、翌日、就職したばかりの娘が住んでいる横浜に様子を見に行く予定であった。当初、劇団きららは予定していなかったので、芸能花伝舎近くでホテルを探したモノの、いやいや値段がインフレしている。わりと普通のビジネスホテルで2万円越えてくるんだからたまったもんではない。
ちょうど上手い具合に王子に行くことになったもんだから、そこら辺で探してみると、新宿よりは大分安い。TOKIO's HOTELという、無人のホテルがとりあえず1万円切り。そこも、予約サイトによっていくらか値段が違うので、迷わず最安のBooking.comを活用。
とまあ最近は、ホテル予約もネット活用で便利になったもんだが、案外とそれだけでもないようである。というのも、翌日は、横浜で宿泊予定で、その宿は、合流するカミさんにお任せで取ってもらっていた。ところが、何日か前にそのホテルから急遽電話があり、ダブルブッキングがあって、可能であれば、別のホテルに移ってほしいとのこと。まあ、特にこだわりがあるわけでもないので、別のホテルに移ることにしたのだが、えらく感謝されたという。
コンピュータで処理していても、ダブルブッキングが出てしまうような仕様なんだなぁ、と驚いた。
で、まあ、移った先のホテルはグレードアップだったので、結果オーライ。
前回の渋谷は、ドアtoドアみたいな感じで、寄り道もほとんどせず、最短距離で行ったものだからあんまり感じなかったが、今回ちょっと歩いたので、なんというか、人が多すぎるとしみじみ思った。街を歩いてる人もそうだけど、見上げるとビルが林立していて、そこにも人がいると思うと、目眩すら覚えそうである。
そこから横浜まで来ると、ちょっと落ち着いた感じになって、少しホッとした気分になる。やっぱり盛岡あたりがちょうどいいんだなぁ。