ナレーションのお仕事でお世話になってる、サウンドブレーンの斎藤さんから「音の絵本作りたいんだよ」という話は、ずいぶん前から聞いていた。単なる読み聞かせではなく、効果音を入れたり、複数のキャストで読んだりと、ちょいと手の込んだ音素材を作って、幼稚園とか保育園、視覚支援学校などで活用してもらえたら良いなぁ、という企画である。
関係者は手弁当。でまあ、オレの役割としては、企画書書いたり、音の絵本の導入部分のシナリオを書いたりというところ。
第1回目の作品は「かみさまにあう」作/森川沙紀。この森川さんは、地域おこし協力隊で、花巻に滞在していた頃に、早池峰神楽に出合い、その魅力を絵本にしたい! と思っただけでなく、実際に作ってしまった大した人である。
出版社が絡んでいるわけではないので、本人の了解があれば、権利関係の処理に手間取らないので、はじめの一歩としては、取り組みやすいところ。
で、ようやく完成を見て、さて、どこら辺に贈ろうかいなと、いろいろと検討した結果、まずは花巻市、そして、盛岡視覚支援学校あたりに贈ることにした。
すると、花巻市では、とりあえず職員の方に会って、手渡しして、なんか活用してください、的な感じで終わったのだが、盛岡視覚支援学校の方では、なんだか、贈呈式みたいなことをするというのである。しかも、その取材にテレビが来るというのである。普段は、テレビの裏方である音屋の斎藤さんは、バンドのドラマーでもあり、しゃべりは無限に出てくるのだが、こと、立場を逆にして、取材されて喋るとなると、あんまり慣れていない。これは見ものである。
当日は、オレと斎藤さんの他に、本編の語りを担当してくれた平田純子さんが同席。初めて足を踏み入れる視覚支援学校の一室で、開式の言葉から、校長先生のあいさつがあり、斎藤さんのあいさつもあり、音源のCDを生徒代表の子に贈呈し、みんなで音の絵本を聞き、生徒の感想を聞く、という流れである。実にちゃんとした儀式である。
そして取材。たどたどしく答えながら、ときおりオレの方をチラ見する斎藤さん。語り担当の平田さんはさすがの安定感というかなんというか。
今回の作品には、実は子役が出ていて、それは、演劇仲間のKちゃんことFMさんの息子で、実に達者な子である。まだ声変わり前の可愛らしい声もあと少しの寿命だなぁと感じてしまうのである。
さて、第2弾はどうなるかな?
ナレーションでお世話になっているSさんから電話があったのは8月1日の前の晩のこと。
「明日だった」
一瞬何のことかわからなかったが、早池峰神社の例大祭のことだった。とある企画の準備で、早池峰神楽のお囃子を録音する予定でいたのだが、うっかり連絡を忘れていたというのだ。オレも行くつもりではあったが、たまたま1日は日中に特に予定がなかったので、ICレコーダーを持って同行することにした。
思えば何十年かぶりの早池峰神社である。以前行ったのは、例大祭の前日の夜に行われる宵宮の早池峰神楽を見るためだった。
そのときは、薄暗くなる頃を目指して車を走らせ、早池峰神社の境内に着くと、神楽殿の周りはびっしりと観客で埋まっていて、人里離れた山奥の神社に、こんなに人が集まってるのだと感動したものである。
昔は夜通しやっていたとの話も聞いたことがあるが、その日の夜神楽は、大体夜10時頃までだった。
それ以来の早池峰神社のような気がする。
お祭りなので、露店があったり、子どもたちが駆け回ってたり、昼日中から大人たちは飲んでいて声高に喋っていたりして、録音環境としてはあんまりよろしくない。とはいえ、どこか使える部分もあるだろうとお囃子にマイクを向けた。
昔見た頃とは世代が替わって若返っている。
思えば郷土芸能とは縁のない幼少期を過ごしてきたが、岩手で初めて見た早池峰神楽は衝撃だった。特に大償の名人と呼ばれた、佐々木隆さんの舞を見たときは、なんと表現すれば良いのかわからない感動を覚えたものである。何が違うのかはわからないが、なんというか見入ってしまったのである。
型の力と、途方もない長い時間の修練が、目を離せない魅力を培うのだろう。
そういえば、毛越寺延年の舞「老女」を舞う南洞頼賢さんを見たときもなんとも言えない感動を覚えたものだ。この舞は、のちに「花の塔婆」という芝居の中で、なんちゃって老女の舞で、コピーさせてもらった。ま、そんな簡単にコピーできるもんじゃないですがね。
久しぶりの早池峰神社は相変わらず巨木があたりを囲んでいて、なんともしみじみした風情だった。
フェスなるものに初めて行ってきた。何フェスかというと「チャグチャグロックフェスティバル」である。テレビ岩手が手がける初のフェスとのことで、出場メンバーのラインナップにも気合いが感じられる。
カミさんは奥田民生やユニコーンのライブがあると、東北ならば可能な限り駆けつけるという推し活をしている。今回のチャグロックには「地球三兄弟」が出るということで、当然参加の意志は固い。勢いで3人分の駐車場付きチケットを手に入れたのは、息子もオレも民生は観たいからである。息子は弘前から戻ってきて、参戦予定。
ちなみに地球三兄弟は、奥田民生と真心ブラザーズの三人組である。
チャグチャグ馬コ当日の6月8日、渋滞覚悟で岩手産業文化センター、じゃなかった、というか、じゃなくはないけど、ネーミングライツでそうなった、ツガワ未来館アピオを目指す。
拍子抜けするほど順調に駐車場までたどり着き、キャンプ用の折りたたみ椅子などを肩に会場まで徒歩。入場パスのリストバンドを付け入場口を通過し、まずは落ち着き場所を決めようと会場へ向かう。
客席は舞台側からスタンディング、持ち込み椅子、持ち込みテントと分かれていて、お目当てのアーティストのライブのときにスタンディングに移動することになっている。 オープニングはフライングキッズ。デビュー35周年になるそうだ。イカ天初代グランドチャンピオンの実力はオープニングアクトとして会場全体を温めてさすがである。
続くフジファブリックでは、息子がスタンディング席に参加し、その後、隣の馬っこパークに抜け出し、なじみの豚ブドウちゃんにごあいさつしたりして会場に戻る。食事ブースも充実していて、しかも、無茶に並んだりしていないので、すんなりと昼食にありつくことも出来た。
バンドの入れ替えで30分くらいあり、それぞれの演奏も大体30分前後。アンコールはないので、粛々とプログラムが進んでいく印象である。
地球三兄弟の前には、日向坂46が炎天下に踊ってて感心。この日1番のスタンディング席の入りだったようだ。入れ替えでオレたちもスタンディング席に移動。それなりのポジションに無理なく入り込む。
地球三兄弟は、ゆるーく登場し、例によって民生の飲み物はビール。すでに顔は赤かった。さすがに演奏は確かなモノで、実は良く知らない地球三兄弟の曲も堪能できた。
名前だけは知っていた水曜日のカンパネラや、名前も知らなかった羊文学もそれなりに楽しめて、やはりライブは良いモノだと再確認した。しかもフェスって、立ったり座ったり盛り上がったりダラダラしたりが、自由に出来るところが良い。
最後のウルフルズにも心惹かれたが、疲れちゃうので後ろ髪引かれながらも会場を後にした。
総じて初フェスは良いモノでした。何しろ混み具合が絶妙で、これ以上混み混みにならないでいただきたい。去年のコーヒーフェスは、あまりの混雑に途中で挫折した。だってコーヒー1杯飲むのに1時間待ちとかだったからねぇ。3杯飲めるチケットだったけど2杯で引き揚げちゃったからね。
まあ、そういうことにならないくらいの実に絶妙な会場コントロールだったと思う。来年も、お目当てのバンドが1つあれば参加して良いフェスだと思ったね。
「最近欲しいものがないねー、あんまり物欲が無いね」
「そうだよなぁ」
などとカミさんと話していたのだが、SNSやネットの広告で、なぜか「サウンドバー」なるものが出てきた。物欲が無いねと言った舌の根も乾かぬうちに、むくむくと物欲が沸き上がってしまった。
ついついテレビは見てしまう方である。YouTubeなども見ることは見るのだが、なんというか、いちいち操作したりするのが面倒なので、流しっぱなしで勝手にやってくれるテレビの方がそこらへんは楽なのだ。
アマプラとHuluはカミさんが入っていて、映画やライブの動画なんかも見られる。最近の映画ではドルビーアトモスとかいう技術で音響設計をしているらしく、サウンドバーでは、そんな立体音響もある程度再現出来るらしいのだ。
価格帯は1万円くらいから10数万円するものまで、サブウーファーまでついてるものもある。そんな中から、いろいろとネットでレビューを漁り、最もコスパが良さそうで、手の届く価格のDENONのDHT-S217というのを買ってみることにした。
DENONは、今はデノンと発音するらしい。オレくらいの年齢のおじさんにはデンオンの方がなじみ深い。古くからの音響メーカーで、1980年代あたりのスピーカーなどはかなりヒットした商品もあったはずだ。
家庭用のオーディオ機器は、アナログからデジタルへの進化もあり、デバイスの様相もすっかり変化している。昔は、アンプ、CDとカセットのデッキ、ラジオのチューナー、アナログのレコードプレーヤー、それにスピーカーを配線でつなぎ、スピーカーには下駄を履かせた方がいいだの、レコードプレーヤーの置き場所には重い土台が必要だの、無茶にこだわれる、趣味性の高いものだった。
そんな時代と比べると、ずいぶん手軽にハイクオリティな音を手に入れられるようになった。そして、スペースも取らない。そんなサウンドバーが欲しくなってしまった。
物欲が湧き出してから買う決定をするまでほぼ半日、検討に半日、物欲が無くなっているというのは錯覚だったようだ。
で、今のテレビは、なかなか良い音で鳴っているのだ。そして気づいたことがある。結構テレビっていい音出してたのね。それがまあ、大体2週間前くらいのことである。
ゴールデンウィーク初日の記事の2回目を書いてから早くも20日が経とうとしている。その間、ネタが何もなかったかというとそういうモノでもなく、ネタはありつつも書いてなかっただけである。
で、今日書こうと思っているのは、5月3日のことである。まったくもって記憶も遠くなりにけりなのだが、初めての経験もあるので、そこら辺をつらつら書き綴ってみよう。
5月3日は言わずと知れた、と書いてから、ふと「何の日だっけ?」と思い、思い出す努力もせず(こういうところに努力しなければならないのが悲しい)ネットで調べると、ああ憲法記念日だと、わかっちゃいるけど忘れてました。11月3日は文化の日なのだが、あれ? と何かが引っかかる。これもまた調べてみると、日本国憲法の施行が5月3日で、発布が11月3日ということらしい。この引っかかりはそういうことに由来する。
その憲法記念日に、何をしたかというと、仙台までプロ野球「楽天×ロッテ」戦を見に行ったのである。昔koboスタジアムだった時代に見に行ったときも「楽天×ロッテ」戦だった。前の席に座っていたバリバリ楽天ファンの兄ちゃんが「俺、ロッテの応援は好きなんだよなぁ」と言っていたことを思い出す。
この日もロッテの応援団は、レフト外野席最上段に陣取り、見事な応援を見せていた、と思う。
とまあ久しぶりのプロ野球観戦なのだが、何が初体験かというと、盛岡駅からの「バスツアー」で行ってみたこと。以前行ったときは、かみさんの実家(仙台にある)から地下鉄と電車でナイターを見に行き、帰りの電車がものすごい混みようだったのを覚えている。盛岡から行って、帰りに混み混みの電車で帰ってくるよりは、まあ、バスツアーで行ってみようというわけだ。お一人様12000円ちょっとだったような気がする。交通費と入場料を考えると、比較的割安なのではないだろうか?
9時盛岡駅発。数人の乗車で出発する。この人数で果たして採算取れるのだろうか? と心配になったが、それは杞憂になる。盛岡駅を発ってから、南インター近くの営業所で数人、花巻インターで数人、北上インターで数人、水沢インターで数人、一関インターで数人、気づくと総勢28人のツアーになっていた。なるほどと思うが、そんな風に途中でお客さんを拾っていくので、到着までは3時間15分ほどかかった。それでも、お昼直後に到着なので、14時の試合開始には十分間がある。
球場内には、飲食物の持ち込みは禁止されていて、支払いは電子マネーのみ。当然楽天Edyが推奨されている。ただし、自動販売機は現金も使用出来る。そして当然一般価格よりはちょっと高い。屋台村状態になっているところで、家族3人分のお昼を購入。三塁側内野席に着くと、カミさんが早速ビールを買いに行ってくれた。何回も買いに行くのはめんどくさいのでということで、メガサイズを2つ、両手に持ってそろそろと通路を歩く。
売り子さんも各メーカー結構いるのだが、アサヒのマルエフがあったスタンドを選んだのだ。座席にはカップホルダーはあるものの、テーブルは無く、座席前にもあんまり余裕が無いので、膝をテーブル代わりに、お昼となる。ここで誤算が。メガカップは、カップホルダーに入らない! 必然的に席の下に置くことになるので、蹴らないよう十二分に気をつけねばならない。前の方には、テーブル席もあり、これはいいなぁ、と思う。とはいえ、天気も良く風も無く、暑くも寒くも無い、とても良いコンディション。外で食べるお昼とビールはどうあっても美味い。
大学生の息子は、小中学生の時はサッカーをやっていた。特に野球経験は無いのだが、いつの間にか日ハムファンになっていて、エスコンフィールド行きてぇ、とか言い出すようになっている。選手では清宮に頑張って欲しいらしく、YouTubeでシーズン前のキャンプも見ていたという。何だかよくわからないうちに野球好きになっていたのが不思議である。
楽天先発は則本。やはり則本、田中あたりが見られると嬉しい。ロッテの先発が佐々木朗希だったりすると、三塁側ホーム応援席にいながら、こ心の中では佐々木朗希の快投を見たくなったりしちゃうので、ロッテ先発小島はありがたい。心置きなく楽天を応援出来るというもの。
5月の日差しは強かったが、少し薄曇りになったりして、観戦コンディションは上々である。試合は投手戦でサクサクと進み、9回には絶対的押さえの松井裕樹も見られた。
ロッテの抑えも沢村が登場し、結局9回0×0で、延長となった。結局試合は延長10回表、ロッテがツーランホームランで2点を勝ち越し、そのまま試合終了。試合終了から30分後にバスは出発する。
大体駐車場から出るまでに30分くらいはかかり、本格的に出発したのは18時過ぎになった。帰りも行き同様、各地のインターに停車して盛岡駅に到着。夜の9時過ぎになったので、12時間以上の日帰り旅となった。都合6時間以上バスに乗るので、それなりに疲れるのだが、運転しないでビールを飲めるのはありがたい。
なんだかんだいいながら、スポーツでも演劇でも音楽でもライブってのは良い。またそのうちどこかに何かを見に行ってこよう。